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冒頭の写真は以前の記事からの転載であり、写真と本文とは関係ありません。

 

電車は切符を買って乗るもの。管理人の世代では、そういう常識というか、文化のようなものがあります。

しかし、20年近く前の平成12(2000)年に切符を買わずに直接自動改札に投入して電車に乗れる「パスネット」が出現、さらにその翌年にはJR東日本の肝煎りでICカード「Suica」が登場、その「Suica」は平成19(2007)年には関東圏の私鉄・地下鉄・バスで使えるようにもなりました。

つまり、「電車に切符を買って乗る」という行為が、短距離利用を中心に減少しつつあるのですが、まさか「切符の買い方・使い方」を知らない人が出てくるとは…。

 

「きっぷってなに?」 越谷レイクタウン駅、若年層に向け「使い方」の説明書き掲出

 

JR武蔵野線「越谷レイクタウン駅」の券売機横に切符の使い方を記した説明書き「きっぷってなに?」が掲出されており、SNSで話題になっている。(春日部経済新聞)

「きっぷってなに?No.1」と題し、4月から掲出している説明書き。切符の画像と共に、「券売機(緑)、多機能券売機(黒)で購入できるきっぷ」と紹介。中央部分には「当駅から乗車する際のみ利用可能なきっぷ」「購入した当日のみ利用可能」「途中駅での下車は出来ません(下車する場合、差額分は収受し過剰分はお返ししません)」などの説明書きもある(後略)

 

Yahoo!ニュースより)

 

率直に言って、管理人は大きな衝撃を受けました。

確かに地方であれば、親が必ずと言っていいほど自家用車を保有しており、18歳になれば必ず免許を取得するので、高校生になって電車通学を始めて、そこで初めて電車・バスといった公共交通機関を利用する人も多いそうです。実際にどこかの小学校(中学校だったかもしれない)は、電車の乗り方をレクチャーするために、わざわざ電車に乗ってどこかへ出かける「校外学習」をしているとか。

しかし、武蔵野線沿線といえば、そこまで自家用車への依存度は高くないエリア。にもかかわらず、こんなものをわざわざ、ポスターを作って啓蒙する必要が出てきたとは…。

そしてなぜこのようなポスターを作ったかといえば、こういうことのようです↓

 

「Suica(スイカ)を忘れたので切符を購入したが使い方を間違えるなど、10~20代のお客さまに多い。説明すると、『えっ、そうなんですか?』という反応。月1~2回は、このような説明をしているので、この説明書きを作ることにした。スムーズな利用のため、多くの方に切符の(正しい)の使い方を知ってもらえたら」と期待を込める。

(前掲リンク先から引用。赤字は管理人)

 

これを見て「やはりそうなのか」と思ってしまいました。

10~20代であれば、物心ついたころには既にICカード、あるいは少なくとも「パスネット」があって、切符を購入せずとも電車に乗ることができるのが当たり前になっているのも、無理からぬところ。勿論、新幹線とか特急とか、長距離の利用であれば紙の切符を購入するのは必須ですから、こちらの方は(今のところ)なくなりませんが、都市近郊では「切符を買わない」のが当たり前になっているということです。だから切符の買い方がわからないのも当たり前といえます。

 

しかしこれ、「公衆電話の使い方がわからない問題」と同根ですね。あれも物心ついた時から携帯電話があるのが当たり前になって、公衆電話を使う機会がないから掛け方がわからない人が多くなっているという、都市部で切符を買う必要がない問題と根っこは同じです。

 

かつて国鉄では「きっぷは正しく買いましょう」というキャンペーンを行っていたものですが、「パスネット」のようなストアードフェアカード(SuicaやPASMOなどのICカードも機能的にはこれと同じ)の出現と自動改札化により、運賃の捕捉はかなり正確に行えるようになりました。となれば、今後紙の切符が減っていくのは避けられないでしょう。韓国の地下鉄は全てICカードで運賃を収受する形態で、切符を一切売っていないそうですが、今後は日本もそのようになるのでしょうか。

なお、今回のタイトルの元ネタは、ビートルズやカーペンターズが歌った「涙の乗車券」の原タイトルです。もし「きっぷ(乗車券)」なるものが完全になくなった、韓国の地下鉄のような状態に日本の鉄道がなってしまったら、この歌のタイトルや歌詞の意味が分からなくなる人も出るんだろうな。そんなことはないか(^_^;)