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夜8時半過ぎといえば、銀座・新宿・六本木など東京の繁華街ではまだまだ宵の口。

しかし、ここ新松田では、その同じ時間帯、既に深夜の様相を呈しておりました。

 

冒頭の写真は、小田急新松田駅の駅舎を撮影したものですが(夜間でフラッシュ不使用のため、お見苦しいところはご容赦ください)、この写真を撮影した場所で回れ右すると、JR御殿場線の松田駅があります。つまり、小田急新松田駅とJR松田駅とは、道路を挟んで向かい合っている形であり、位置関係は東武の牛田と京成関屋とのそれと似ています。

 

何故この駅に、こんな夜遅くに降り立ったのか。その理由はこちらです↓

 

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「さがみ90号」に乗る

 

そうです。1月19日のメインイベント。

3月17日に実施されるダイヤ改正に伴い、向ヶ丘遊園・新松田の両駅に停車する特急ロマンスカーがなくなるため、両駅停車の列車の「葬式」を行おうというもの。現行ダイヤでは、幸いなことに(?)、上下とも向ヶ丘遊園・新松田停車の列車は、両駅共に停車します。だからどちらの方向の列車に乗っても、ダイヤ改正後に停車しなくなる駅相互間での乗り降りが可能なわけでして。

ただ、上り列車の場合は朝晩ともに停車列車が存在するのに対し、下り列車の場合は朝にしか停車しないので、朝が弱い(笑)管理人は夜の上り列車を狙った次第です。

 

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該当列車の特急券

 

このような特急券は、ダイヤ改正以降は(定期列車では)発券できなくなります。

 

21時00分発の各停本厚木行きが出て数分後。

21時10分発の特急「さがみ90号」が入線してきます。

 

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EXE未更新車の10連

 

使用車両がEXEということで、更新車「EXEα」を期待したのですが(^_^;) でもいずれ全車が更新されるでしょうから、未更新EXEに乗れる機会も貴重です。

 

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新松田発車直後の車内

 

新松田発車直後の車内は、同駅で乗車したお客を迎えてもなお、窓側席の3分の2くらいが埋まる、低めの乗車率。これでは10連の大編成を持て余しているとしか映りませんが、折り返しの「ホームウェイ」に使うので、10連が必要なのでしょう。

 

定刻どおり21時10分に発車。夜故車窓は割愛します。

「さがみ」には車内販売がありませんので、時折車掌さんが巡回する以外は、静かな空気が流れていました。

その空気が破られたのが、途中停車駅の本厚木と町田。とくに町田ではまとまった乗車があり、管理人の乗車した車両にも10人くらいが乗車してきましたが、いずれも乗車した後は声高に会話を交わすこともなく、宴会モードに陥ることもなく、すぐに静かになってしまっていました。昭和の「さがみ」なら、本厚木の次は向ヶ丘遊園だったはずだが…というのは、昔話ですね(^_^;) しかし、こんな時間でも町田に停めてそれなりの乗車があるということは、やはり町田の集客力は侮れません。だからこそ、旧来の停車駅を守り切ることは現実的ではなくなったのでしょうが。

 

そしていよいよ、「次は向ヶ丘遊園」の表示が出ました!

 

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3月17日以降はこの表示を出すことはない

 

川崎市西部の拠点駅にして、特急ロマンスカーの停車列車も多い新百合ヶ丘を悠然と通過、21時56分、向ヶ丘遊園に到着しました。この駅で降車した「さがみ90号」の乗客は、管理人も含めて数人くらい。なるほど、これでは向ヶ丘遊園の停車列車がなくなるのも無理からぬことだ、と思ったことです。

向ヶ丘遊園駅にロマンスカーが停車中であるという証拠写真を2点、あえてノーキャプションで。

 

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1枚目は、発車案内表示が出ている写真。2枚目は、駅名標と表示灯が点灯している姿を撮影しました。2枚目は、この駅でEXEが扉を開いている、客扱いしているという証拠写真でもあります。

 

さて、感想。

新松田も向ヶ丘遊園も、昭和41(1966)年に「さがみ」が運転を開始したころから停車駅とされていました。この2駅がなぜ停車駅になったのかといえば、それは新松田については御殿場線連絡とゴルフ客・登山客の需要を見込んだためであり、向ヶ丘遊園については同名の遊園地の需要を見込んだからでしょう。確かに「あさぎり」の連絡急行券がプラチナチケットと化し、遊園地が主要なファミリー層のレジャーの行先であれば、それは正しかったのです。しかし、その後の時代の変化によりゴルフ客が激減、同時に御殿場線への乗り換え・直通需要も減少したことに伴い、新松田停車のメリットは薄れてしまいました。同じように、遊園地が閉園しレジャー客がいなくなった向ヶ丘遊園は、ビジネス・用務の需要を新百合ヶ丘に奪われ、新百合ヶ丘停車の特急ロマンスカーが増えるのに反比例するように、向ヶ丘遊園停車のそれは減少していきました。

そして来年のダイヤ改正で遂に、両駅停車の特急ロマンスカーが全滅することになります。もっとも、新松田に関しては、隣接するJR東海・松田駅に「あさぎり」改め「ふじさん」が継続して停車することから、新松田からの需要に応える余地は残されていますが、逆に言えばこれも「全て御殿場線直通列車で賄える」ということですから、そこまで需要が縮小したということです。向ヶ丘遊園に至っては、もはやレジャー客の利用が全く見込めなくなってしまったので(藤子不二雄ミュージアムの最寄り駅は向ヶ丘遊園であり、同駅から一般路線バスでアクセスすることは可能だが、直通バスは登戸駅から出ており、こちらの方が本数は多い)、全滅しても致し方なし、ということなのでしょう。そこで、対新宿は切り捨て、対小田原・箱根に関しては新百合ヶ丘に一任するということで、向ヶ丘遊園を停車駅から外す決断をしたのでしょう。

管理人が乗車したのは平日の夜間ですが、それで新松田乗車が数人、向ヶ丘遊園下車が数人では、両駅の停車を取り止めてもやむを得ないと思ってしまいました。

 

次回と次々回は、新松田・向ヶ丘遊園両駅のホーム上の特急券券売機などを取り上げます。

 

※ 当記事は01/23付の投稿とします。