(以前の記事から転載)
既に特急運用の大半を3000形に譲り、観光列車としての特別仕様「旅人」「水都」だけになっていた8000形が、遂に完全引退するようです。
西日本鉄道が観光列車「旅人(たびと)」と「水都(すいと)」を今夏、現在の「8000形」から別の車両に変更することが11日、分かった。かつて西鉄の看板電車だった「8000形」は、完全に引退する。
「8000形」は平成元年、西鉄の創業80周年を記念して6編成(1編成6両)を導入した。先頭部分の流線形のデザインが目を引き、先頭車両の前部からの眺めが良い。
ただ、老朽化が進み、西鉄は、徐々に引退させた。現在は、観光列車の旅人(平成26年3月導入)と、水都(27年10月導入)の2編成だけが、現役で走っている。
西鉄は、観光列車部門の強化を目指し、旅人と水都の車両変更を決めた。6000形や3000形の使用が想定されるという。
西鉄は今回のモデルチェンジで、30年度中に導入する3本目の観光列車と合わせ、さらなる観光客の呼び水にしたい考えだ。
西鉄の鉄道車両の主力は5000形で、現在、39編成(133両)が在籍する(28年3月末現在)。今年3月に新型車両「9000形」を導入した。
(産経ニュースより)
遂に観光列車用も退役ですか…。
もともと、8000形が退役する大きな理由が、過酷な運用をこなしてきたために老朽化が進行したという理由でした。これはかつての新幹線100系X編成や300系J編成の初期車と同じですが、特急でずっと走ってきたため走行距離がべらぼうなものになり、それ故に老朽化が進んだということです。
確かによく考えたら、「旅人」「水都」も改造されるまでは条件が同じだったわけですから、そりゃ老朽化が問題になるのは無理からぬところはあります。
あともう一つの問題が、8000形が「非VVVF」であること。
8000形が完全に退役してしまえば、西鉄に残る非VVVF車は5000形と6000形だけとなります(貝塚線車両を除く)。とはいえ、5000形は133両、6000形は33両ですから、結構な両数の非VVVF車が残っていますから、全てVVVF車になるにはもっと時間がかかると思われます。
【チラシの裏】
大手私鉄16社の中では、京王が一番乗りで「営業車全車のVVVF化」を達成しましたが、2社目はどこになるんでしょうか。私は2社目は小田急、3社目が京成になるんじゃないかと大真面目に考えていますが…。
ちなみに、京成は大手私鉄の中で真っ先に吊り掛け車を営業車から放逐した会社です。
…閑話休題。
8000形の退役で、西鉄から完全に「2扉転換クロス」の系譜が潰えることになります。大手私鉄に残る「2扉転換クロス」は、阪急6300を除けば(除くのは、嵐山線専用車と観光列車になっているから)、京阪8000系と京急2100形、それと名鉄5700・5300系だけになってしまいます。また、8000形の退役は、バブル期の特徴だった、豪華な内装の車両が退役することをも意味します。
特別料金の不要な列車にしては、豪華な装備だった8000形が退役するのは残念ですが、これも時代の流れというやつなんでしょうかねえ…。
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