本来なら火曜日は連載記事の更新の曜日なのですが、今年の連載記事が全て完結してしまったため、12月の火曜日は当ブログの10周年企画として、「Decade~あれから10年経ちました」をお送りしようと思います。どうぞお付き合いください。

今回はJR編です。

 

当ブログ発足後現在までの10年の間に、JRも随分変わりました。北陸新幹線・北海道新幹線の開業もそうですが、ブルートレインなどの長距離列車が激減したのもそう。10年前は「出雲」がなくなったとはいえ、まだ「富士ぶさ」こと「富士・はやぶさ」は健在でしたし、急行ですが「銀河」も然り。「日本海」は函館発着がなくなったものの2往復を堅持し、「北斗星」も2往復。「あけぼの」「北陸」もまだ走っていました。国鉄時代よりは大幅に減ったものの、それでも主要幹線の骨格では残っていました。

それが、当ブログ開設の2年後に「銀河」が廃止され、さらにその翌年「富士・はやぶさ」も廃止。「富士・はやぶさ」の廃止は、昭和33(1958)年からの九州ブルトレの歴史を閉じるものであったと同時に、東京駅を発着する定期客車列車が消滅したということで、歴史に残るものとなりました。

現在、JR各社はセクショナリズムを強める傾向にあり、新幹線以外の他社乗り入れ列車は、それなりの需要が見込める区間に限られるようになってきています。それがいいことなのかどうかは、ここでの言及は止めておきます。

 

車両の面でもかなり変わりました。

新幹線でも「のぞみ」の主役だった300系が退役し、その後登場した700系も、N700系に追われる形で数を減らしつつあります。JR西日本が西日本区間の乗客をできる限り東へ引っ張るために開発された「走り屋」500系の東海道乗り入れも、平成22(2010)年に見られなくなり、東海道新幹線は現在、700系とN700系の寡占状態が続いています。西日本区間でも、最後の活躍を続けていた古豪0系、短編成になりながら懸命に働いていた100系も、この10年の間に軒並み姿を消しています。

ただし九州新幹線の開業により、西日本区間の列車・車種のバラエティーはかえって増すことになりました。九州直通に特化したN700系の登場により、JR西日本の車両だけではなく、JR九州の車両も西日本区間に入ってきています。そのかわり、かつての「ひかりレールスター」のスジは大半が九州直通の「さくら」のそれに取って代わられ、それによって700系7000番代が「こだま」運用に転身、本来の「ひかりレールスター」として走る機会は激減してしまいました。

東北上越系統でも、国鉄時代からの息の長い活躍を続けてきた200系が退役、山形新幹線用の初代400系も退役、これら車両の退役により、新幹線から直流電動機を装備した車両が消えました。山形・秋田両新幹線でも、前者にはE3系が投入されて400系を置き換え、後者には新たにE6系が投入されてE3系を直通運用から追い出しています。さらに車齢が若いはずのE1系初代Maxも、その大き過ぎる収容力を持て余し、結局退役に追い込まれています。長野新幹線用として登場したE2系も、北陸新幹線金沢開業用に準備されたE7系により、その大半が退役しています。

現在、東北(北海道含む)・上越・北陸は、東北がE5系と山形・秋田直通車、上越がE2・E4系、北陸がE7/W7系が多数を占めています。この10年の間には新青森開業もあったのですが、それ用に増備されたはずのE2系が、現在は新青森に達する定期運用がありません。このことも、新幹線運用の移り変わりの早さを実感する話です。

 

在来線も随分様変わりしました。

首都圏では車輛のほとんどがE231系、E233系とその兄弟車に席巻される状態となり、京浜東北線にあれだけ沢山いた209系も現在は房総に転身しています。201系の中央快速線からの引退により、首都圏では「色を塗った通勤電車」が消えました。

10年前にはちょうど東海道線に残っていた113系が全て211系とE231系に置き換えられました。その211系も、今度はE233系の大量投入により、東北・高崎線用の211系まで含めて置き換えられ、押し出された211系は一時的に房総地区で使用された後、中央線や高崎地区で運用されることになり、当地の115系を置き換えています。新潟地区からも115系が放逐されつつありますが、こちらは211系では耐寒耐雪性能に難があるということか、新型車(E129系)による置き換えが進められています。

房総でも平成22(2010)年までにローカル用の113系が全て置き換えられ、その後中央ローカル用の115系も置き換えられたことから、これによって「スカ色」と呼ばれる紺+クリーム色のツートンカラーが消滅しています。

常磐線では415系などの鋼製車がE531系によって放逐されたのが10年前ですが、そのころから順次E531系編成にグリーン車を組み込む作業が開始され、翌年までに完成、翌年3月のダイヤ改正からグリーン車の営業を開始しています。

東海地区では国鉄型車両がほぼいなくなり、113・115・119系、キハ40系という面々が姿を消しました。西日本でも103・113・115系は着実に勢力を縮小しており、風前の灯となっています。北陸に残っていた475系などの急行型も、新幹線開業という外的要因こそあったものの、大半の車両が退役してしまいました。北海道でも、残っていた711系が退役し、国鉄型電車が北海道から消えました。

電車は着実に置き換えが進んでいますが、キハ40系は現在もなお、東海以外の各旅客会社で多く稼働しています。しかし、これも登場後40年が経過するので、いつまで活躍が続くのか分かりません。

 

以上は通勤・近郊型車両ですが、もっと大きく変わったのは特急車。何といっても特筆すべきは、485系運用の劇的な縮小です。

当ブログの開設当初は、数を減らしたとはいえまだまだ北陸~東北で元気に活躍しており、交流機器を降ろされた183系800番代も京都・大阪発着の北近畿地区の特急として走っていたのですが、その「こうのとり」なども287系投入などにより置き換えられ、「北越」は新幹線開業で列車そのものが廃止、「いなほ」「かもしか」などもE653系などに置き換えられました。最後に残った「白鳥」運用も新幹線開業により消滅、これによって485系の定期特急運用は全てなくなっています。

それでも485系にはまだ新潟-糸魚川間の快速運用が残っていますが、本当に定期運用がなくなったのは183・189系。こちらも新幹線開業により「妙高」が消え、団体・臨時列車用になっていますが、いつまで走るのかは不透明です。気動車でもキハ181系「はまかぜ」運用が消滅し、全車退役に追い込まれています。

こうなると、最後に残る国鉄型車両は何になるんでしょうね?

 

以上、駆け足で見て参りました。10年でこんなに変わったんだと、管理人自身驚かされるばかりです。

 

次回は、大手私鉄編をお送りします。

 

-大手私鉄編に続く-

 

【おことわり】

当記事は「当ブログ10周年企画」であることから、カテゴリを「連載記事(2016年)」としております。