以前の記事で三江線(江津-三次)について「廃止か?」という話題を取り上げていますが、今日遂に、廃線が本決まりになったというニュースが飛び込んできました…。

 

三江線の廃止、JR西が表明 輸送密度はJR最下位

 

JR西日本は1日、島根県江津(ごうつ)市と広島県三次(みよし)市を結ぶ三江(さんこう)線(108・1キロ)の廃止を沿線6市町に表明した。利用者数の低迷が理由で、今月末までに国土交通省中国運輸局に廃止届を提出する。JR線の廃止は、西日本管内では2003年に廃止された広島県の可部線の一部区間(可部―三段峡の46・2キロ、来春に1・6キロ区間は電化され復活予定)以来となる(後略)

 

asahi.comより)

 

これはメディアの報道ですが、JR西日本も正式にリリースを出しています。

 

三江線鉄道事業廃止の意思表示について

(内容はリンクをクリックしてください)

 

三江線の現状は以前の記事で取り上げたとおりですので、いまさら繰り返すことはしませんが、それにしても輸送密度が50人、営業係数が730(100円の収入を得るために730円の経費がかかっているということ)というのでは、残念ながら鉄道として維持することのできる限界をとっくに超えてしまっている、という感想しか出てきません。むしろ、今までよくぞ持ったとすら思います。

沿線自治体も存続を模索したようですが、別の報道によれば、島根県美郷町長の景山良材氏は「残念だが、受け止めざるを得ない」と述べ、第三セクター方式などによる鉄路存続は自治体の財政的負担が重く、バスへの移行が現実的だとしています。そりゃ沿線人口も希薄、輸送密度が50人の鉄道など、商売ベースで考えたら維持できるわけがないんですな。だから美郷町長の発言も、現実を見据え、受け入れたものと理解できます。

いずれにしても、今回のJR西日本の発表は、ボクシングで言うなら「タオルを投げ入れた」(降参の意思表示)ものといえます。遂にギブアップしてしまったわけですね…。

 

江津と三次を結び、さらに広島まで達していることから、広島と石見地方との短絡ルートになるのでは…と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、三江線は線形が悪くスピードアップが難しく、そのためバスや自家用車には所要時間で太刀打ちできません。したがって、都市間輸送のメインルートにも、残念ながらなり得ないのです。JR発足後しばらくの間は、多客期に広島-江津間で臨時急行「江の川」(三江線内は快速)が運転されていたのですが、時間がかかり過ぎて客足が付かなかったのか、最近はとんと設定がなくなってしまいました。だから三江線を都市間輸送に生かすということも難しかったのですね。

 

以前の記事にも記しましたが、こうなると芸備線の塩町-備後落合-新見間とか、福塩線の非電化区間とか、姫新線の津山-新見間とか、存続が心配になってしまいます。美祢線も、貨物輸送が無くなって重要性が低下していますし。それでなくとも経営基盤が本州3社の中では最も脆弱なJR西日本のことですから。

三江線の廃止は寂しいですが、止むを得ません。廃止までは無事故で、そして愛好家の変な暴走がないことを祈りたいと思います。

 

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