今後は大手私鉄では「2扉転換クロス」の車両は作られなくなっていくのでしょうか。

西日本新聞の5日朝刊に、「西鉄”看板車両”さよなら」という見出しで、西鉄8000形の写真と、同形が平成27(2015)年度から順次退役するという記事が出ました。

記事は→西鉄8000形引退へ…。(ついっぷるトレンド)
※ 5日の西日本新聞朝刊をそのまま写真撮影したものがアップされています。

今のところ、西日本新聞社の公式HP西鉄グループの公式HPのいずれにも、8000形退役にまつわる記事はアップされていませんが、西日本新聞といえば福岡の地元紙。それにこのようなニュースが載るということは、それなりの信憑性があってのことでしょう。

西鉄8000形は、平成元(1989)年に西鉄の創業80周年(8000形という車番はここに由来する)を記念して製造された特急用車両で、先代の2000形から特急運用を引き継ぎ、現在に至るまで西鉄のフラッグシップとして君臨してきました。眺望に配慮しているのも同形の特徴で、特に先頭部には、かつての国鉄151系クロ151「パーラーカー」の側窓の大きさを凌ぐ特大サイズの窓を運転台後部に配し、外観上の特徴となっています。


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運転台後部の特大窓からの眺めは素晴らしい
(平成20年11月撮影@西鉄久留米)

↑の編成は、当時導入が決定していた交通ICカード「nimoca(ニモカ)」の宣伝ラッピングが施されていますが、オリジナルは白地に深みのある赤のツートンカラーです。

この年には、西鉄グループ創業100周年ということで、こんな塗装(ラッピング?)の編成も↓


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黒装束だった100周年記念編成
(平成20年11月撮影@西鉄二日市)

↑の編成、車内には西鉄の歴史を振り返る写真があって、もっとじっくり見ておけばよかったと思いますorz

退役の理由ですが、老朽化という理由が大きいようです。8000形は特急用であるため他の車種より1日当たりの走行距離が長く、そのため検査期限がすぐに巡ってきてしまうのだとか。それと、やはり2扉故の乗降性の悪さは否定できないでしょう。改造後の2000形~3000形の「3扉転換クロス」という仕様が、快適性と乗降性を両立できるものとして評価されたものと思われます。実際、8000形の後継車には3000形を充てるようですし。


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これですか
(平成20年11月撮影@西鉄久留米)

8000形の後継車が3000形ということは、西鉄では2扉転換クロス車の系譜が途切れることを意味します。
他の大手私鉄でも、既に阪急(京都線)では2扉転換クロスの6300系が特急運用から退いて久しく、淀川を挟んで阪急京都線と対峙する京阪でも、2扉転換クロスを堅持する8000系がリニューアル改造を受けて意気軒昂ですが、実は車端部のロングシート化が施行されていて、オール転換クロスではなくなってしまいました。あとは京急ですが、京急でも2100形が混雑時の乗降性に難があることは事実であり、同形の後継車が2扉転換クロスになるかは不透明です。

以前に当ブログで西鉄8000形のことを取り上げたとき、そろそろリニューアルの声が聞こえても…と書いたものでしたが、実際にはリニューアルは現在に至るまでなされないままでした。リニューアルするより退役させるという方針だったのですね。
九州は遠いので、管理人がおいそれと行くことができる土地ではありませんが、せめて全編成退役前には西鉄に一度足を運びたいと思っています。

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※ 当記事で使用している写真は、全て以前の記事からの転載です。