久方ぶりの京王ネタです。

1月12日、長津田・恩田の視察を終えた管理人は、三軒茶屋から世田谷線を使って下高井戸へ抜け、京王線へと出かけました。
目的は、勿論

8000系中間車化改造車の捕獲

でした。

京王では、所謂「分割特急」の運転がなくなり、それ以外でも列車を分割して運転する機会が減少したため、6+4の編成について、数年前から順次10連貫通編成にするという方針を立てていました。平成23(2011)年8月、編成中間に入っているクハ8700とクハ8750(8850番代)を、それぞれサハ8500・サハ8550に形式変更していますが、中間車化改造が完成した編成から車号標記を変えているとのこと。なので、今なお先頭車の形状を残している編成については、車号標記の変更はなされていません。

さて。
下高井戸から1駅移動した桜上水駅。
反対側に、あの「偶然の確率」サハ8564を組み込んだ編成が入線してきました。


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向かって右が8514(←8764)、左が8564

8764の運転台部分はきれいに撤去され、客室に変わってしまいました。この編成は、中間車の8564と先頭車の8764が連結面を突き合わせる、京王としては極めて異例な編成だったのですが、これも解消されたことになります。
中間車と先頭車が連結面を付き合わせていたころの写真がこちら↓


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これはインパクトがあった(以前の記事から転載)

さらに各駅停車で下ってつつじヶ丘へ。ここなら反対側から撮影できる、と踏んだのですが、上り各駅停車に8703Fが来ました。


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京王八王子方先頭車8753

これが8553と8503の連結面です↓


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8553(左)と8503

比較の対象として、未改造編成の連結面をご覧ください↓


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こちらは先頭車の形状が残っている

運転台の機器が撤去されているのかどうかまでは確認できませんでした。

ステンレス車は事後の改造が難しいと言われますが、なぜ京王8000系はこのような、完全な中間車化ができたのか?
それは、同系の先頭部分、具体的には運転室(乗務員室)の扉の部分までが普通鋼製だから。これは8000系の先頭形状をデザインする際、複雑な曲面が入り組んだ形状だったため、複雑な造形をつくるためには普通鋼製である方が作りやすかったから、というのが理由です。
これに対し、東武の10030系や30000系は、先頭部の「お面」の部分だけがFRPで他がステンレスのため、ここまで徹底した改造ができなかった(やろうと思えばやれるのだろうがコスト面で引き合わなかった?)ため、運転台の機器を撤去しただけで、運転室の区画は残されています。

ちなみに、この区画は、かつて先頭車だったことをうかがわせる構造が残っています。それは、ここだけ戸袋窓がないこと。これは言うまでもなく、以前の構体を生かしているから。


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先頭車時代に貼られていた「KEIO」ロゴの跡

先頭車時代はここに「KEIO」のロゴが貼られていました。
ちなみに、8000系は「KEIO」のロゴを貼られて落成した初めての系列となっています。この車両の登場は平成4(1992)年ですが、その6年後、京王はそれまでの社名「京王帝都電鉄」から「帝都」を外し、「京王電鉄」となって現在に至っています。

そしてこの編成のもう一つの特徴は、座席のモケットを張り替えるなどのリニューアルを施したこと。以下に、以前運転席があった部分(優先席)と、一般席の部分を1点ずつアップします。あえてノーキャプションで。


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一般席のエメラルドグリーンのモケットは、それまでの京王の車両にはなかった色使いですね。この編成の運転台撤去も含めたリニューアルは昨年行われたそうですが(管理人も耳には入っていたが現車を捕獲できずにいた)、昨年といえば、京王から所謂「グリーン車」が退役して30年。この色の座席は、「グリーン車」に対するオマージュ…と見るのは、こじつけに過ぎるでしょうか(^_^;)

管理人は、つつじヶ丘で目的を達成したため、↑の写真を撮影し終わった後で一旦改札を出て運賃を精算し、再び改札を通って快速新宿行きで下高井戸まで戻り、世田谷線で帰りました。

登場24年目を迎え、なお意気軒昂たる8000系。そのフラッグシップとしての地位は、9000系列が登場した今も、いささかも揺らいでいない…と思っています。

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