美談仕立てに異様な嫌悪感―神戸男子高校生殺害事件に思う
事件から何日かは騒がれていたものの、その間に近隣国関連やノーベル賞 などのニュースもあったりで、今では薄れてしまいましたが、中高生の教育に携わってきた者として気になりましたので、少し気持ちを書きたいと思います。この件に関しては、賛否あると思いますし、まして教員経験者がこのような意見を述べる事に不快感を示す方もいらっしゃるかもしれない事を、最初にお詫びしておきますm(_ _)m
今月4日の夜、神戸市内で私立高校2年生の男子生徒が刺され、病院に搬送されたものの翌日に死亡した。
事件時の状況として、この被害者は、一緒にいた交際相手の女子中学生を庇って逃がして刺されたとされ、ニュースでは「恋人思いの勇気ある行動」と賞賛され、更には「明るく優しい生徒だった」「ブログでも交際相手との幸せな様子を更新」などとの美談 で書きたてていたが、個人的にはこうした報道に何故か、吐き気を催しそうなほどの嫌悪感を覚えていた。
最初は私もネットにて「高2男子刺されて死亡」との記事タイトルを見て、何とも胸が痛みました。![]()
しかし、事件の状況をざっとニュースで聞き、申し訳ないけれど、「不良っ気のある少年が、夜遅くに物騒な場所でいざこざorトラブルに遭ったのでは」そして「相手の女子生徒も素行面でよろしくない子なんだろうなあ」と感じてしまったのです。
もちろん、殺されてしまった事に関しては本当に気の毒だし、犯人の行為は許されるものではありません。まして、教職に携わっていた人間が、一高校生に対してこんな感想を抱くのは不謹慎かもしれません。
ただ仕事柄、様々な中高生(どちらかと言えば、比較的家庭環境も恵まれた私学の生徒達ですが)を見てきた者として、親御さんや学校(や塾)での指導を守り中高生としてふさわしい行動を取っている子かそうでないかは、事件時刻や現場の状況を伺えば勘付くものです。
最初の頃は「塾帰りの生徒だった可能性も」とう意見もありました。夜11時前というのは、高校生ならあり得なくもないですが、中学生では微妙な時刻ですね。![]()
それで思い出すのが、昨年の兼務先であった現役高校生対象の予備校 。授業は夜9:20に終了、講師に質疑応答する生徒達もいますが、それでも9:40の下校を厳しく指導しており、どうしても長引いてその時間を超えた場合は、塾から自宅に電話をかけさせて「集団で帰る事」を徹底させています。
そう考えると、交際相手と2人というのは正直、適切ではないと思います。
その後のテレビニュースでは、事件現場に「タバコ」がお供えされていた
映像が流れたそうですし、友人達の身なりからも、美談への疑問の声も出てきました。
ネットニュースのコメント
では更に、被害生徒のブログ(今は閉鎖されたようですが)を見た人々による書き込みも見られ、それらによると、男女共に金髪&眉毛無し、2人が女子の母親と産婦人科に通院、何度も警察のお世話になっていたようで・・・
それを聞いて、悪いけれど「やっぱり」と思ってしまいました。
(ちなみに、彼女の前彼も死亡しているんだと
スゴイ「人生」ですね!
失礼を承知で言えば、時々報道される赤ん坊を産み落として棄てる女子高生も、こういう感じなんだろうなと。)
やはり中高生として常識を逸した生活態度は、時には自身の身の危険に及ぶのだと。それを、あのように持ち上げて報道するのは、彼らと同世代以下の子供達には悪影響と思うし、大人にとっては不愉快に感じてしまうのです。
更に余計な事を言えば、この男子生徒も一緒に逃げれば良かったと思うし、女子生徒の行動や証言にも疑問が残る点は多々ありますが・・・これ以上言うのは止めておきます。
ですから、この事件においては、「事実」のみ報道すべきだったと考えます。もし多少の「味付け」をするなら、彼らの生活態度を教訓に、子供達や彼ら彼女らを取り巻く大人達に考える機会を与えるようなものであって欲しかったです。
少女逃がし…高2男子刺され死亡 神戸
2010/10/06 01:13
4日午後10時50分ごろ、神戸市北区筑紫が丘4丁目の路上で「彼氏が男に刺された」と、神戸市の市立中3年の女子生徒(15)が110番した。私立神戸弘陵学園高校2年の堤将太さん(16)=神戸市北区小倉台6丁目=が首や肩を数カ所刺されており、約1時間半後に搬送先の病院で死亡した。
県警捜査1課によると、女子生徒は「知らない男だった。いきなり近づいてきた」と話しており、捜査1課は5日、殺人事件として神戸北署に捜査本部を設置し、逃げた男の行方を追っている。
捜査本部によると、男は20~30代で身長160~170センチ、上下ジャージー姿でジャンパーを羽織っていた。凶器は見つかっていない。女子生徒は「堤さんと缶ジュースを飲んでいたら、道路の向かい側にいた小太りの男がこちらをじっと見ていた」と話している。
男が刃物のようなものを持ち1人で近づいてきたため、堤さんは女子生徒に「逃げろ」と促した。女子生徒がしばらくして戻ると、元の位置から北西に約70メートル離れた場所で堤さんが血を流して倒れており、路上には血痕が点々と続いていた。
堤さんには抵抗した際にできる「防御創」とみられる傷がなく、捜査本部は堤さんが少女を逃がした後、男に突然襲われたとみて、司法解剖 して死因を調べている。
現場は神戸電鉄山の街駅の東約1.5キロの住宅街で、片側2車線の大通り沿い。
殺害された堤将太さんは発見時、襲われた自動販売機前の路上から約70メートル離れた横断歩道上で倒れており、刃物男から交際中の女子生徒をかばい、薄れる意識の中で刺した男を追いかけたとみられる。
堤さんの知人や近所の住民によると、堤さんは4人きょうだいの末っ子で、中学時代は野球に打ち込んだ。最近はバイクに興味を持ち、週末には兄とミニバイクを磨いていたという。
ネット上には自身を紹介するブログを立ち上げ、オートバイの中型免許取得の教習所に通っていることを書き込み、3日には「はよ中免ほしいからがんばろ」「今日(女子生徒が)幸せって言うた。嬉しかった。俺もめっちゃ幸せや」などとつづっていた。
高校の同級生は「ムードメーカーで明るい、いいやつ」と話し、女子生徒の祖母は「毎日のように遊びに来たが、明るく素直な子だった」と語った。
一方、堤さんが通っていた神戸弘陵高校では5日朝、体育館で生徒を集めて全校集会。1分間の黙祷(もくとう)後、井上和彦教頭が「非常につらいショックな出来事。これから心配なことがあればカウンセリングをします」と呼びかけた。