なんで急に騒ぎ出したのか?
ってことについて少し説明.
まず,放射性物質としてどう違うのか.
ということで,崩壊についてみてみる.
生成物 | 半減期 | 生成物 | 半減期 | 生成物 | 半減期 |
Pu238 | 87.7y | Pu239 | 24.11ky | Pu240 | 6564y |
U234 | 24.55ky | U235 | 703.8My | U236 | 23.42My |
Th230 | 75.38ky | Th231 | 25.5h | Th232 | 14.05Gy |
Ra226 | 1.6ky | Pa231 | 32.76ky | Ra228 | 5.75y |
Rn222 | 3.8235d | Ra227 | 42.4min | Ac228 | 6.15h |
Po218 | 3.1min | Ac227 | 21.773y | Th228 | 1.9116y |
Pb214 | 26.8min | Th227 | 18.72d | Ra224 | 3.66d |
Bi214 | 19.9min | Ra223 | 11.435d | Rn220 | 55.6s |
Po214 | 164.3μs | Rn219 | 3.96s | Po216 | 0.145s |
Pb210 | 22.3y | Po215 | 1.781ms | Pb212 | 10.64h |
Bi210 | 5.013d | Pb211 | 36.1min | Bi212 | 60.55min |
Po210 | 138.376d | Bi211 | 2.14min | Po212 | 0.299μs |
Pb206 | 安定 | Tl207 | 4.77min | Pb208 | 安定 |
Pb207 | 安定 |
ここで示したのは主なもの(確率の最も高いもの)のみ.
また,斜体はベータ崩壊,太字のものからは崩壊系列に加わる.
崩壊系列は以下の通り.
同位体 | 崩壊系列 |
---|---|
Pu238 | ウラン系列 |
Pu239 | アクチニウム系列 |
Pu240 | トリウム系列 |
「プルト君」はともかくとして,プルトニウムの
半減期の数値だけをみると
早くても87年後なら死んでいるじゃん,
セシウムよりも大丈夫なんじゃないか,
って考えられるかもしれない.
まず,問題となるのは
実際に周辺土壌から検出された
ということ.
プルトニウムはウラン同様原子力発電の燃料となるもので,
それが外で検出されたということは燃料が外に漏れたこと
を意味しているのだ.
これは炉心溶融,つまりメルトダウンを意味している.
今まで東電はこれを抑えるべく対応していたのだが,
それに失敗したということだ.
次に,崩壊の仕方にも問題がある.
セシウム137やヨウ素131はベータ崩壊のうえ,
崩壊後にすぐ安定物質になったのだが,
プルトニウムはアルファ崩壊をし,
その後も安定せずに次から次へと
崩壊し続けるのだ.
なぜアルファ崩壊がより問題なのかというと,
ベータ崩壊は電子が出てくるのに対して,
アルファ崩壊はヘリウム核が出てくる.
電子は原子核に対して非常に軽いため,
電子が遺伝子にあたっても損傷する確率が
低いうえ,その損傷も小さい.
一方,ヘリウム核は遺伝子を主に構成する元素,
水素,炭素,窒素,酸素に対して十分に重く,
水素よりも重いし,他に対しても3から4分の1程度になる.
また,原子をつないでいる結合を切る確率もより高くなるのだ.
もちろん,プルトニウムも肌についただけなら花粉症対策と
同じことをすれば問題ないし,以前にも書いた ように
実際に体に取り込まれる量にも依存するので,
取り込まれない限りは大丈夫だけどね.
ただ,原子炉が重大な事態になっていることは確かだかな.
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