量子の新時代 | さすらいびとの徒然漂流記

さすらいびとの徒然漂流記

ふらふら漂流するさすらいびとのように,色々な話題についてお気楽極楽,徒然なるままに…

本屋での新書チェックで量子テクノロジーの読み物を見つけたので入手.

まあ,元物理屋としてはきちんとした専門書を読むべきなんだろうけど…


新聞記者,物理学の大家,量子情報の研究者というちょっと変わった

組み合わせの共著.

元になったのは甲南大学の量子ナノテクノロジー研究所で開催している

公開講座の第3回の内容とのこと.


量子ナノテクノロジー研究所 公開講座
第3回公開講座のプログラム


まだこの講座は続いていて次回は第15回ということらしい.



それはともかく,量子論の確率解釈,特に「重ねあわせ」の話が中心.

尾関氏は「多世界解釈」を一押しって感じで,

井元氏も「多世界解釈」より.

佐藤文隆氏は微妙な感じかな.



全体は3部構成になっていて,


一つ目は元物理屋の尾関氏が自分が関わるようになった経緯を

踏まえて,量子論や量子情報,量子コンピュータの話を展開.


二つ目は尾関氏が井元氏をインタビューする感じで確率解釈や

量子情報の世界について話を進める感じ.


三つ目は佐藤文隆氏によるアインシュタインの話を交えて

量子論の世界を振り返る感じのもの.



正直なところ何を伝えたいのか微妙な感じ.

まあ,「多世界解釈」という奇抜な考えを紹介するってところかな.

考えさせられるのは佐藤文隆氏の第三部の内容だね.

果たして物理学は「真の理論」なのか「よい理論」なのか.



量子論はやっぱり物理屋にも難しい感じだよね.

もちろん数式を使いこなすのは問題ない.

でも,何かもやもやが晴れないまま進むんだよね.


「波動関数の収縮」「重ね合わせ」,表現はともかく,

「これって何?」って感じ.


collisionが起こるとこれらは発生するのか,

その後はどうなるのか,また「拡散」するのか,


これらは人間の知覚によるものなのか,

他の動物ではどうなのか,あるいは測定器だったら,


更に,どのサイズからそれらはなくなるのか,

あるいは見えなくなるだけなのか,…


う~ん,まったく理解できない…



大体,時間対称な物理現象がどうなると

マクロ的なエントロピー増大という時間の矢を

生み出すのかも良く分からない…


科学の道のりはまだまだ長いなぁ.


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