例によって新刊の新書棚でちょっと見て面白そうだったので入手.
基本的には名言に対する誤解を明らかにすると言うもの.
4つの章で分けられ,誤解された,誇張された,カットされた,
などで分類されている.
個人的には半分ちょっとぐらいは知っていたけどと言うところ.
いくつかの例を挙げると,一番最初にあるエジソンの名言
「天才とは,99%の努力と1%のひらめきである」
これは実はエジソンが強調したかったのは「1%のひらめき」.
むしろ「努力」や「勤勉さ」ばかりに着目する世の中に対して
「ひらめき」の大切さを訴えたものだったのだと.
テレシコワの「私はカモメ」.
さすらいびとはテレシコワのコードネームだと何かで知って
覚えていたんだけど,どうやら宇宙船のコードネームとのこと.
つまり,「こちらボストーク6号」と言う意味だったというもの.
王莽の「酒は百薬の長」.
これも実は経済政策で
「塩は食べ物の将,酒は百薬の長,…,鉄は農業のもと」
と言う事で塩や鉄と同様に国が酒を専売することを言ったもの.
更にこの本では吉田兼好の言葉
「酒は百薬の長といへども,満の病は酒よりこそ起れ」
とむしろ酒が多くの問題を引き起こしているというこちらの
方が本当は正しいのではないかと紹介している.
マロリーの「そこに山があるからだ」.
これも実は「山」はエベレストを指していて,しかも,マロリーには
「誰も登頂していない山」であることが重要だったというもの.
単に山に惹かれて登るというものではなく,冒険的で英雄的な
発言だったのだと.
いろいろな人が多くの名言を残しているが,果たして本当に
その人物によるものなのか,本当にそう言ったのか,
古くなるほど怪しくなるって感じだね.
特に本人が文字を残していないものは本当に眉唾なんだろうね.
とにかく面白かったね.
目次を見てある程度の名言を知っているなら読んでみると
「へぇ~」って感じになるんじゃないかな.
特に定説だけしか知らない人には「目から鱗が落ちる」のでは.
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