こんにちは。広島市佐伯区の中央施術院です。
うだるような暑さが続く毎日…本当にお疲れ様です!
こんな日は、キンキンに冷えた飲み物で一気に体を冷ましたい!と思いますよね。
しかし、その一方でこんな言葉もよく耳にします。
「夏でも体は温めるべき」「内臓を冷やすと不調になるから、温かい飲み物を!」
この「冷たいもの vs 温かいもの」論争。
毎年夏になると繰り返されがちですが、一体どちらが正しいのでしょうか?
結論から言うと、酷暑において、この両極端な考え方はどちらも危険な落とし穴になり得ます。
今日は、私たちの体を守るための重要なキーワード「深部体温」を元に、この論争に終止符を打ち、本当に正しい夏の水分補給法を科学的・生理学的に解き明かしていきます。
あなたの体は2つの温度でできている。「体表面」と「深部」
まず大前提として、私たちの体には2種類の「体温」があります。
① 体表面温度
皮膚の表面の温度。外気温の影響を受けやすく、「体が熱い!」と感じる原因です。
② 深部体温
脳や内臓など、体の中心部の温度。生命維持のため、体はこれを約37℃前後に保とうと必死にコントロールしています。これが大きく変動すると、命の危険に繋がります。
夏の健康管理の鍵は、この「深部体温」をいかに安定させるかにかかっています。
そして、両極端な温度の飲み物は、この安定を乱す原因となるのです。
夏の落とし穴①:「キンキンに冷えた飲み物」が熱中症を招くメカニズム
まず、極端に冷たい飲み物(5℃以下など)の危険性です。
酷暑の中、体は汗をかいて必死に熱を逃がそうとしています。この時に冷たいものを一気に流し込むと…。
- 胃腸が「冷え」を感知し、脳に緊急信号を送る。
- 脳は生命の危機と判断し、「熱を作れ!」と命令を出す。
- 結果、汗が止まり、血管が収縮。体内に熱がこもってしまう。
これは、体を冷やすつもりが、逆に体の「冷却システム」を停止させてしまう最悪の誤作動です。
一時的な快感と引き換えに、気づかぬうちに熱中症のリスクを高めてしまいます。
夏の落とし穴②:「熱い飲み物」が“オーバーヒート”を引き起こす危険性
では、「内臓を冷やさないために」と、酷暑の中で熱い飲み物を飲むのはどうでしょうか?
これもまた、別の危険性をはらんでいます。
確かに、温かいものを飲むと一時的に発汗が促され、その汗が蒸発する気化熱で涼しく感じる「瞬間」はあります。
しかし、それは湿度が低く、風通しが良い環境での話です。
日本の夏のような高温多湿の環境では、汗をかいてもなかなか蒸発しません。
そんな状況で熱いものを飲むと…
体内に“火に油を注ぐ”行為
ただでさえ体温が上昇しているところに、さらに内側から熱を加えてしまうことになります。
体は必死に汗を出して体温を下げようとしますが、高温多湿で汗が蒸発しにくいため、冷却が追いつきません。
結果、体は余計な水分と体力を消耗し、脱水症状や熱疲労のリスクが急上昇。
最悪の場合、深部体温が危険なレベルまで上昇し、熱中症を悪化させる引き金になりかねないのです。
結論:体を守る飲み物の「最適温度」とは?
冷たすぎても、熱すぎてもダメ。
では、私たちの体にとって最も安全で効果的な飲み物の温度はどれくらいなのでしょうか?
その答えは、「5℃~15℃」の、少し冷たい飲み物です。
この温度帯は、
- 体の冷却システムを停止させるほど冷たすぎず、
- 体に余計な熱を加えるほど熱すぎない。
- 胃腸に負担をかけず、スムーズに水分とミネラルを吸収できる。
という、まさに「ゴールデンバランス」の温度なのです。
具体的には、冷蔵庫から出してすこし経った麦茶やスポーツドリンクなどをイメージしてください。
氷たっぷりや、クラッシュアイス入りのスムージーなど思わず頭がキーンと痛くなるような「キンキン」ではなく「ひんやり心地よい」がキーワードです。
夏の体を、賢くいたわろう
「冷たいものはダメ」「温かいものが良い」といった単純な情報に惑わされず、なぜそうなのか、どんな状況で危険なのかという体のメカニズムを理解することが、自分や家族の命を守ることに繋がります。
本当に体を冷ましたい時は、首筋や脇の下など、体の外側から冷やすのが最も安全で効果的です。
この夏は、「ひんやり心地よい」飲み物と、「外側からの冷却」を合言葉に、賢く酷暑を乗り切りましょう。