宝蔵絵詞より「切目王子の物語」
油彩・アキーラ・キャンバス 91.0×72.7cm 2023年
文安三(一四四六)年に伏見宮貞成親王が書き写した『宝蔵絵詞』と呼ばれる写本があります。前半部は失われています。
山本ひろ子著「大荒神頌」より切目王子のお話をモチーフにした作品です。
仏法守護の神々で、童子の形をして高僧や修験道の行者・山伏たち行者に仕え、霊地を守るものを金剛童子(王子)と呼びます。
王子が 大小便等不浄の行いをする所にも現れ、僧は困って先輩の僧に相談しました。
すると、「くたくたにしたものすごく臭い那木の葉に鰯を混ぜて頭から浴びるとよい」と聞き、僧は早速その臭い液体を頭から浴びました。
王子は「熊野権現から、命じられ、必死に仕えてきたのになんてひどいことをするのか」と怒って、僧の鼻をはじいたら僧は死んでしまいました。
王子は熊野へ帰り、「仕えていた僧が死んだので帰ってきました」と報告すると、熊野権現は怒り、王子を捕らえて右の足を切り落とし、切部山に追放しました。
その後王子は「熊野権現の勘当を解く方法はないが、このままではいられない」と考え、熊野詣でにきた人々の福幸いを奪い取って心のよりどころにする禍をなす麁乱神になってしまいました。
切目王子の行動に困り果てた熊野権現は稲荷大明神を呼び寄せ、相談すると、稲荷明神の眷属の阿子町と王子は親しい仲なので説得する事になりました。
阿子町は 王子の元へ行き、「王子を信頼しているのに、稲荷社へお詣りする信者で熊野詣でをして御利益を頂こうとする者達の福幸い奪うとは、立場がないです。悲しいです。」と訴えます。
王子は「沢山居る熊野詣での中で阿子町の元へ参る信者のみ見分けるにはどうしたらよいだろう」と考えます。
「阿子町のように化粧をした者を稲荷へ参る信者と見分けるのではどうか?」
「化粧をする者は多く、僧や男は?」と阿子町。
「豆の粉はとても臭いので自分は大っ嫌いだ!豆の粉で化粧した者に限り稲荷へ詣る信者として福幸い奪わないことにする」と約束しましたというお話です。
熊野詣でをした者は 切目王子の那木の葉を下向途中のお守りとして男は烏帽子、女は笠につけ、身を守る為に大豆の粉(きなこ)を両頬等に塗り、無事に都に着くとまず 伏見の稲荷社へ詣り、河原などで金剛童子を熊野へ返し、稲荷の御神木の杉の葉を腰に付けて都へ帰りました。
「渡辺つぶら展-お好み八百万神図-」
11月3日(金)-14日(火)
平日は11時-19時 土日は11時-17時
*水・木は休廊
神仏習合のカミサマ・異神好きな皆さま?是非お越しください~
A室では、内藤瑶子さんの個展が同時開催です。
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