【すみませんが・・】
度胸のないボクが、観客を注意する事など滅多にない事だ。
しかし今回は、注意させてもらった。
おそらくそれは、一種の病気であり、人間の性(さが)なのかも知れない。
やめろと言われても、そう簡単にやめられる事ではないのだ。
本来なら、ボクの方が一旦路上ライブをやめて、別の場所で再開すればいいだけなのだが、
今回は、相手がわかってくれると信じて、注意させてもらった。＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
22時25分
柏駅南口改札前通過。
Ｔシャツ１枚でOKなのだが、ついシャツを余計に着て来てしまった。
ボクは紫外線アレルギーなので、夏場でも昼間は長袖シャツが標準装備なのだが、その習慣で着て来てしまったのだ。始める前に脱ごう。
夜は、紫外線対策は必要なかった。
ビルごと解体するのか、リフォームだけなのかボクは知らないが、工事が進めばいずれわかるだろう。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
22時50分
さぁ、始めよう。
いつもの丸井側駅寄りの位置は、柱ベンチにまだ人がいたので、とりあえず２本目の柱との中間辺りで始めよう。
チューニングもテキトーに、とりあえずポロポロとギターを弾き始めると、柱ベンチに座ってる人が話しかけて来た。
それならば、自己紹介を兼ねてココで一番よく歌ってるのを行こう。
「終電なんか気にするな！」
♪♪〜♪
ヘィ、ヘィ、ヘィ！
ノリのいいオッチャンだった。
若い子みたいな勢いで、掛け声を入れて来る。
どうやらけっこう飲んでる。そしてかなり話し好きな人のようだ。
別にカップ(投げ銭入れ)を置くわけじゃないんでしょう？
いい趣味ですね
下手に売れて忙しくなっても大変でしょう？
いろいろと「決めつけ」で物を言う人だ。
投げ銭入れはすぐに出すし、稼ぐ気満々だ。成果には、毎回一喜一憂している。
趣味で路上ライブを演ってるつもりはない。いつも真剣勝負。
もし音楽だけで生計が成り立つなら、仕事は辞めたいくらいだ。
しかし、そう簡単に行かないから苦労しているのだ。
とにかく、さっさとセッティングして、ちゃんと始めよう。
続いて、
「会社を辞めたくなる時」
♪♪〜♪
ヘィ、ヘィ、ヘィ！
ありがとうございま〜す
オッチャンが、投げ銭を入れてくれた。
仕事に不満があるようで、この歌は割と好評だった。
そして、ノリは全然おとろえない。むしろ、最初よりもエスカレートしている感じだ。
女性が１人立ち止まった。
感じのいいネエさんだ。
次はどの歌ですか？
別に決めてないですが
どれでも気になるのを
床に並べた歌詞フリップの中で、この歌が目に止まったようだ。
「まだ働いてる人がいる」
♪♪〜
オッチャンは相変わらずノリがいいし、この歌を気に入った様子だった。
しかし、①番が終わった時点で、すぐに感想らしき事を話し出そうとする。
まだ終わってないんですけど。
♪〜
②番が終わり間奏の所で、今度は女性からも話しかけられる。
いつも何時頃までやってるんですか？
間奏のギターを弾きながら応える。
だいたい12時くらいまでは
また来ます
またヨロシク〜！
受け応えしながらで、長い間奏になったが、③番へと続けよう。
♪〜
オッチャンは話し好きな感じの人で、話し始めると止まらない。
レイソルファンかと思いきや、阪神ファンだそうで、かなり前に柏に引っ越して来たらしい。
年齢は70才で、ビミョーに上から目線な言葉遣いになって来たのは、彼からすれば、ボクはまだ若造なのだろう。
お酒好きらしいので、次は
「お酒足りないぜ！」
行こう。
♪〜
ますます調子に乗って話し出すオッチャン。
いいよねぇ
こうやって好きに歌うって
下手にレーベルに所属してCDなんか作ると、忙しくなっちゃうでしょ
今時、CDの時代ではないと思うが、音源を作るつもりでいる。
自分の歌が売れて忙しくなるなら、望む所だ。
続いて、
「人間だものお金は欲しいよ」
♪〜♪〜
下手にお金儲けちゃダメ
人間、汗水流さなきゃ
宝くじ売り場に並ぶのは、老人ばっかりで
オッチャンが、若造を諭すような感じで持論を展開し始めた。
宝くじ当てたいみたいな、濡手にあわみたいな歌詞ではないのだが、
だんだん、オッチャンの言ってる事のピントがズレて来る。お時間大丈夫ですか？
そろそろ帰る時間じゃないですか？
オッチャンは飲み会帰りらしく、たぶんココで酔いを冷ましていたのだろう。
それとなく帰るように促すが、全く気付かない。
まぁいい。続けよう。
続いて、「俺の人生思ってたんと違う」
♪
俺の人生思ってたんと違う〜
（オッチャン）
もっと努力せい！
♪
俺の人生思ってたんと違う〜
（オッチャン）
努力が足りないからだよ！
オッチャンはますます調子に乗って、１行ごとにいろいろ言って来るが、その言葉には、さすがにイラッとしてしまう。
感想なら、もっと文脈を読んで(聴いて)からにして欲しい。
どんなに努力しても、「思ってたんと違う」って事は沢山あるはずだ。
イケメンに生まれたかったとか、思ったほど背が伸びなかったとか、どんなに努力しても叶わない事も沢山ある。
「もっと努力せい！」と切り捨てられても困る。
それは、歌詞は聴いていても、何を曰んとしているか、全く理解してない証拠だ。
もう充分騒いだし、そろそろ帰って欲しいなぁと思う。しかし、帰ってくれとも言えないし、ボクの歌を楽しんでくれたのは確かだ。
あの〜、まだココにいるようでしたら、ボクは他の場所で演りますので・・
あ〜っ！？
迷惑でした？
気付きませんで・・
迷惑とも言い切れないが、ピント外れな掛け声を続けられると、さすがに疲れる。
こっちは、路上ライブを演りたいのだ。話し出すと止まらない人に、ずっとは付き合い切れない。
かと言って、ボクの方が後から来て、オッチャンのそばで始めたのだし、強く言える立場ではない。
続いて、
「やってみなけりゃ わかんねぇ」
♪♪〜
さすがにオッチャンも、帰るつもりになったようだが、
スミマセンねぇ
と言いつつも、言い訳っぽい事が長くなる。そして、最後にまた何か言おうとしている。
酔ってるせいもあると思うが、
「話しが止まらない」のは、一種の病気だ。
返事や挨拶のつもりで言葉を返しても、それに応えてまた何か言おうとして、さらに話しが長くなるのだ。
もう、返事をせずに歌うしかない。
♪〜
オッチャンを見送り、「またヨロシク〜！」と言いそうになったが、グッとこらえて終電リピートを始めた。
♪〜
しばらくは終電リピートしていたが、急に静かになってちょっと淋しい。
♪〜
年の差カップルが通りかかった。
終電、気にするよ！
と、年上男性が聞えよがしに嫌味を言って行った。嫌味を言われるのは久々だ。
しかし、連れの女の子はシャレが通じたようで、笑って目配せして行った。
あくまでも、終電間近の願望を歌ってるので、笑って聴き流して欲しい。良かったら聴いてって下さ〜い
女性が３人ほど立ち止まった。
若い子１人と、最初に聴いてくれてたネエさんが戻って来てくれた。そして、何度か見かけた気がする女性だ。
ちゃんと聴いてくれる人がいるなら
「七夕」行こう。
♪〜♪〜
さらに、５年前の新卒だった頃にCDをもらったという人も来てくれた。
当時も聴いて、この歌を覚えていたそうだ。
そんな人が来てくれるなら、新曲も聴いてもらおう。「俺の人生思ってたんと違う」
♪〜
そして、
「終電パート２」
♪〜
ボクの名前オサムサバト
オサムは本名
サバトはイタリア語で土曜日
柏に遊びに来た時は
またヨロシク〜！
前半は、オッチャンの勢いに巻き込まれた感じになったが、後半はまずまずの盛り上がりで、イイ感じで終われそうだ。
若い子は他も聴きに行く様子。
最初のネエさんとリピーターさんは、電車の時間らしい。
人通りが少なくなって来た。
このくらいの時間帯になれば、話しが止まらない人の話しに、多少は付き合えるのだが。
残った女性と、ゆるゆると続ける。
彼女もお酒を飲む人らしい。
♪〜
あのぉ・・
すみませんが、ずっとスマホ見てましたよね？
彼女は、ボクが「七夕」を歌っていた時も、ほとんどスマホを見ていた。
別に、スマホを絶対見るなとは言わないが、歌ってる最中に観客がスマホに夢中だと、良い気分はしない。
ライブの感想等を、リアルタイムで配信してるなんて事も有りうるので、スマホ禁止とは言わないが、ほどほどとかタイミングというのがあるだろう。
一応、言いたい事は言ったし、彼女もわかってくれたとは思う。
それからしばらく、柏ルールの事や、朝方まで演ってる人がいたとか、路上ライブに関する取り留めのない話しをしていた。
そろそろ最後の１曲にしよう。
「ワンコを家族にして下さい」
♪♪〜
勢いでついでに
「貧乏ロック」
①番だけ。
♪〜
0時33分
本日終了です
皆さん
ありがとうございました
オサムサバト
本日の成果→1967円
お酒の小瓶→１本
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終了し、すっかり片付け、シャッターが閉まった頃、若い子数人が寄って来た。
え〜！
もう終わっちゃうの？
CDはないんですか？
ゴメン
最近はCDプレーヤー持ってる人が少ないから、作ってなくて
先ほどの人とは違うが、やはり彼らの１人がCDもらったそうで、自分も欲しいという。
ニーズがあるなら、何枚か作っておいた方が良さそうだ。
せっかくなので、ギターを出してワンフレーズ歌おうかと思ったが、そこまでしなくていいという。
柏に遊びに来た時、
あっ！今日も演ってる！
とか言って、一緒に歌い、瞬間盛り上がり、聴きながら帰るのがいいという。
柏の風景、柏の名物になってるなら、それもまた一興だろう。
そういう事なら
その日を楽しみに
またヨロシク〜！
・・
みんなを見送り、完全撤収したあとは、シンジ君陣営に顔を出した。
ここもほとんど放課後モードで、ゆるい感じで演っていた。
先ほど何曲か聴いてくれた女の子が、ギターを弾いて歌っていた。
ハーモニカで勝手参戦させてもらう。
結局、３曲は演っていたと思う。
30分は居座ってしまったが、女の子はシンジ師匠の教えを乞いながら、いろいろ練習したいようなので、そろそろ退散した方が良さそうだ。
お疲れさま〜！
また来週〜！
1時26分
