「平家ブルース」(改2)
作詞/オサムサバト
①
祗園精舎の鐘の声
諸行無常の響きあり
娑羅双樹の花の色
盛者必衰の理をあらわす
おごれる者も久しからず
ただ春の夜の夢のごとし
たけき者も遂には滅びぬ
ひとえに
風の前の塵に同じ
平家ブルース、今も昔も
平家ブルース、悩みは同じ
人の世は
死ぬ日が来るまでの
悪あがき
②
祇園の鐘がゴーンと鳴ったら
ゲームオーバーだサヨナラだ
真っ赤な花もしおれて落ちる
皆同じだって言ってんのさ
勝ち組だって威張っていても
桜散ったら宴は終わり
道を踏み外し地獄に落ちる
チリは積もらず
ひゅるりら ひゅるり
平家ブルース、今も昔も
平家ブルース、宴が大好き
賽の河原
鬼を集めて
バーベキュー
(間奏)
☆
平家ブルース、今も昔も
平家ブルース、煩悩かかえて
落武者は
今日も墓場で
運動会
***************
色を着ける前に、このイラストを見て「ひらやブルース」と読んだ人が、実際にいたのだ。
【蛇足的な解説】
前回の歌詞に、とりあえずコードを付け歌い始め、何人かに聴いてもらった。
コード進行は、いわゆるブルースの曲によくある感じで、
「俺はゴキブリ」や
「会社を辞めたくなる時」と
けっこう似てしまっているが、その点はあまり気にしていない。
・・
さて、
試作段階を聴いてもらって、まあまあイイ感じの反応だった。
しかし、歌い慣れずメロディも固まってないせいもあるが、
ボク自身は、
何かしっくり来ない
何か物足りない
何か面白くない
そんな感じがしていた。
「平家物語」をブルースに乗せるアイデアは、それだけでイケテルと思う。
少々飛躍した口語訳を付けるのも、ワルくないと思う。
ただ、最初の歌詞では、
平家物語の教訓を、現代にどう活かしたら良いか?
という「問いかけ」みたいな感じになっている。
それでは、まるで普通な発想で、どこか上から目線だ。
普通な発想で、上から目線な歌が、ウケるはずがない。
要するに
「オチ」らしい「オチ」がないから、面白くないのだと気付いた。
最後に、「うまいこと」を言って、カッコよくシメたいのだ。
もっともっと、ぶっ飛んだ発想が欲しい。
例えるならこれは、
「平家物語」をお題にした
「大喜利」だ。
面白い答えを言って、
座布団をもらいたいのだ。
作詞の方針として、こうする事にした。
平家物語の教訓を、真正面に掲げつつも、歌ってる本人が、その教訓をよくわかってない雰囲気。
あるいは、
教訓を無視して、欲望や煩悩、もしくはナンセンスな方向に走ってしまう。
そういう歌詞の方が、面白いはずだ。
そんな風に考えて出来たのが、今回の歌詞だ。
これで、座布団をくれる人がいるかも知れないが、まだまだイマイチな気もする。
・・
最初の試作品や、少し修正した物を路上で歌ってみて、道行く人の反応を見て、構成を変更する事にした。
最初の歌詞では、半分づつ原文に口語訳を付けていたが、
①番に、
平家物語の原文
②番に、
少々飛躍した口語訳にした。
路上ライブで演る時は、
①番の原文をリピートして歌い、
人が立ち止まってから、口語訳の②番に移る。
そんなやり方の方が、良いのではないかと感じたのだ。
それだけ、原文の「平家物語」の古めかしい日本語が、人を惹き付けるパワーを持っているし、
学校で習っていて、原文を覚えている人が多いので、途中から一緒に歌ってくれる事もあり得る。
実は先日、新しいこの構成で書き直し、改訂1として、試しに路上ライブで歌ってみたのだ。
①番はこの歌詞で、
②番は改訂1と改訂2では、かなり修正した。
そして、
まだまだ、歌も演奏も安定していないにもかかわらず、
うわ、カッコいい~!
と、感嘆の声を漏らす観客がいた。
聴いてくれた人が、そんな言葉を漏らすのだ。①番の歌詞は、もうこれでOKだろう。
②番、☆繰り返し部分は、今回はこんな感じにしたが、修正の余地はまだまだある。
まだまだオチが弱い気がする。
ボク自身、まだ迷いがあり、納得していない。
もっともっと面白くしたい。
面白いのを思い付いたら、どんどん修正するつもりでいる。
※1、沙羅双樹の花の色は、実際には赤ではないようだ。
検索すると、参考写真に、白やピンクの花が載っていた。諸説あるらしい。
歌として印象に残るように、「赤い花」のイメージにした。
赤い花弁が、ヒラヒラと落ちる映像が浮かべば、歌が立体的になるはずだ。
※2、賽の河原(さいのかわら)とは、三途の川(さんずのかわ)の河原の事。