12月上旬特選映画【36】★映画のMIKATA『母と暮せば 』★映画をMITAKA | 流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

都市生活者の心と言葉を掌にのせた小説、電脳化社会の記号とイルージョンを巡る映画、都市の孕むシンボルと深層を探るエッセイ、街の風景と季節の色を彩る短歌…。小説と映像とエッセイと短歌をブログに・・・掲載します。




今回も障害者を廻る映画«障害者と映画»というテーマで4本のDVDを鑑賞しました。取り換えず冒頭で簡単な紹介だけして、後に改めてDVD特選映画の«障害者と映画≫編を特集したときに改めてコメントします。


➀全身にタトゥーを入れた進行性筋ジストロフィー患者、再訪した時には亡くなっていた。オートバイ事故で家に閉じ籠って寝たきりの身体麻痺の青年、障害をネタに本番の挿入まで要求する車いすの常連客…を相手に、在宅身体障害者向けの風俗店ハニーリップの派遣型風俗嬢として働くヒロイン・沙織(小泉麻耶)が主役の暗闇から手をのばせ』 (2013年公開。戸田幸宏 監督)。性描写が逸脱するとポルノ映画になりそうでしたが、ただ、障害者の性は、もっと大らかに明るく痛切に取り上げたいテーマですーね。パラリンピックの選手たちの性生活を映画化、ドラマ化してもイイですね。
②人生に悲観した捻くれ者の全盲の退役軍人・フランク・スレード中佐(アル・パチーノ)と、ボストンの名門私立高校に奨学金で入学して寄宿生活をする苦学生チャーリー・シムズ (クリス・オドネル)の2人の信頼と友情を描いた『セント・オブ・ウーマン/夢の香』 (1992年公開。マーティン・ブレスト監督) 。ラブロマンスのような映画の題名を胡乱に思ったが、高級レストランで、寂しく一人待ち合わせをしていた美しい女性(ガブリエル・アンウォー)との華麗なタンゴ・ダンスを誘うきっかけは、中佐の敏感な鼻が嗅ぎ分けた彼女の香水の香りでした。障害者のガラスのような自尊心が見事に描かれていました。

③モン・サンペドロの手記「レターズ・フロム・ヘル」を原作に映画化した作品で、水泳事故により首を骨折、全身麻痺の障害から寝たきりの生活を送る主人公ラモン(ハビエル・バルデム)は26年後、毒を飲み安楽死を実行する『海を飛ぶ夢』 (2004年。アレハンドロ・アメナーバル監督)。法的に許されていない障害者の「安楽死」の権利を裁判で争ったが、負けた…。障害者の生きる義務と死ぬ権利ーというのは、依然≪命の倫理≫として問題は続いています。

④知的障害者4人、ペルッティ、カリ、サミ、トニのメンバーで結成されたフィンランドのパンクバンド「ペルッティ・クリカン・ニミパイヴァト」を追ったドキュメンタリー映画『パンク・シンドローム』 (2012年。ユッカ・カルッカイネンJ=P・パッシ監督)。知的障害者のパンクバンドでという点では特色があるのだが、練習風景やメロディー、パンクロックの歌詞そのものは、音楽として聞いてもさほど訴える力はないと思いました。吹き替えの日本語が悪かったのかな…。


さて、12月上旬の特選映画をアップロードします。今回5本を映画館で観賞しました。選んだ特選映画1本は、家族愛の物語でもあり、また、戦争映画でもある山田洋次監督の『母と暮せば 』でした。今月は期せずして戦争に関係する作品が4本揃いました。これも現実政治へのアンチテーゼなのかもしれませんね・・・。戦争映画『黄金のアデーレ 名画の帰還』も名作でしたーね。


11本目は、夫と共に亡命したアメリカ・ロサンゼルス在住の82歳のマリア・アルトマン(ヘレン・ミレン)は、1938年にオーストリアを占拠したナチスに略奪された、グスタフ・クリムトが描いた伯母の肖像画、1907年制作の≪アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I≫を取り戻すため、オーストリア政府を相手に返還訴訟を起こした美術&戦争映画『黄金のアデーレ 名画の帰還』(サイモン・カーティス監督。 アレクシ・ケイ・キャンベル脚本)でした。


ただ単に美術品の映画であるばかりでなくて、ウィーンに住む裕福なユダヤ系一族の全財産を没収したうえ、その先にガス室に多くのユダヤ人を送ったナチのユダヤ人虐殺まで想像させる戦争映画でもあります。


マリアと共にオーストリア政府を相手に絵の相続権をめぐる法廷闘争と返還訴訟に手を貸した新米弁護士のランディ(ライアン・レイノルズ)は、ナチ時代の協力者と言われた12音階の指揮者・フルトヴェングラーの孫であったという素敵なストーリ展開でした。見事な脚本なので、拍手したい傑作でした。


22本目は、『007』シリーズの4度目のジェームズ・ボンド役ダニエル・クレイグが主演のスパイ&アクション映画『007 スペクター』(サム・メンデス監督)でした。


一応「007」シリーズ新作公開なので観賞はしたが、今更主役の俳優を変えてジェームズ・ボンドの映画を製作することはないだろうーね、余りに退屈な駄作なので辟易しました。近頃ハリウッドの映画製と創造性は、停滞しているのだろうかーな?余りにも多くの続編の続編の続編が多すぎるー。更に、過去のヒット作のシリーズ化とリピートが多すぎますーね。


33本目は、1948年8月9日、長崎の原爆投下で亡くなった、医者を目指して医大に通い、爆死した息子の浩二(二宮和也)が突然3年後に姿を現した。原爆で多くを爆死させた長崎を舞台に、あの世から舞い戻った浩二が母を労る母子の家族愛の物語『母と暮せば 』(山田洋次監督)でした。


今では名女優・吉永小百合というよりも、母親役ぴったりの母性愛を感じさせる女優・吉永小百合です。私は公開初日に舞台挨拶が有楽町から全国に配信されるというので、横浜の映画館で見ました。12:50の上映開始だけれども、私は早めに10:30に行ったが、殆ど切符は売り切れ間際でした。超満員の人気でした。流石に吉永小百出演の映画ですーね。


近頃、東日本大震災の被災地では、津波や地震で家族を亡くした地元住民の間で、「亡霊」を見たという噂が広がっています…。震災の死者たち1万5,884人の亡霊が、或は、長崎広島の被曝者、被爆後5年間の広島での20万人、長崎での14万人の亡霊たちが、恰も、再び原発を次々に再稼働させ、再び日本を戦争へと駆り出させる「安保法制」の自民党・安倍政権に対して、亡霊たちが呪いの姿を現しているのではないのかな…!!!http://matome.naver.jp/odai/2142040937271984101


44本目は、第2次世界大戦中、リトアニア・カウナスの日本領事館領事代理として勤務していた杉原千畝(唐沢寿明)が、ナチスのユダヤ人迫害から逃れるのために独断でユダヤ難民に日本通過のヴィザを発行して、6,000人あまりのユダヤ人の命を救った外交官・杉原千畝の生涯を描いた戦争&政治映画杉原千畝 スギハラチウネ』(チェリン・グラック監督)でした。


久々に杉原千畝の妻・杉原幸子役に小雪が出演していた。2011年4月に松山ケンイチと結婚、2015年7月に第3子を出産したばかりですが、もう女優カンバックなのでしょうかーね。兎も角も、相変わらず美しかったです。


55本目は、1890年、和歌山県串本町沖で紀伊大島の樫野崎に連なる岩礁に激突座礁して、海難事故に遭ったオスマントルコ帝国のトルコ軍艦エルトゥールル号を、串本町の島民が救援した事と、イラン・イラク戦争中の1985年、イラン・イラク戦争に取り残された日本人をトルコ人にが脱出援助という、トルコと日本の関係を象徴する二つの出来事を繋いだ航海&戦争映画『海難1890』(田中光敏監督)でした。


元紀州藩士の医師・田村元貞(内野聖陽)とその助手役のハル(忽那汐里)の二人の演技で、何とか映画らしい体裁でした。でも、明治23年の田村があんなに英語がうまいというのは不自然でしたーよ。安政元年(1854年)は、ペリーが浦賀に来航し、黒船騒動の大騒ぎでようやく開港の動きー。オランダ医学を長崎で学んだとしても、運上所のイギリス人相手の通詞でなければ無理だな…。


日本の航空会社も臨時便をチャーチせず、自衛隊も救援機を飛ばさず、絶体絶命の窮地に置かれた日本人たちをトルコ人の飛行機が脱出を援助するというシーンは、まるで、「それ見たことか、安全法制があれば自衛隊機は国会の承認なしでも飛ばせるぞー」と言わんばかりの政府広報宣伝の映画かな???…と錯覚しそうでした。兎も角も、突然のトルコ軍艦エルトゥールル号の難破事件映画でした…。





尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…


ご案内下記アドレスでファンタジーノベル「ひまわり先生、大事件です。」序章~第5章連載№7を掲載しました。宜しかったら、一度お立ち寄りください。感想もブログ内に頂ければ嬉しいです…!http://blog.goo.ne.jp/sasuganogyosuigyatei