11月上旬特選映画【20】★映画のMIKATA「ミニスキュル 」★映画をMITAKA | 流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

都市生活者の心と言葉を掌にのせた小説、電脳化社会の記号とイルージョンを巡る映画、都市の孕むシンボルと深層を探るエッセイ、街の風景と季節の色を彩る短歌…。小説と映像とエッセイと短歌をブログに・・・掲載します。





鹿児島県の伊藤祐一郎知事と県議会は11月7日に九州電力川内原発の原発再稼働に同意する旨を発表しました。私は驚き、呆れ、ヘーゲルの次の言葉を思いおこしました。…ミネルバの梟(哲学の知恵)は、時代が終わり迫り来る夕闇と共にはじめて黄昏に飛び立つ…


私たち日本人は、過去の悲惨な戦争と長崎広島の原爆投下、福島原発による放射能汚染の恐怖をもう忘れてしまったのか…な、最早そこから掴んだ日本人の体験と恐怖の知恵を忘れ、「平和と安全」の哲学を捨ててしまったのだろうかーな!と驚き、呆れました。これは安倍自民党政権の汚点と失策なのだろうか…、それとも後々、後世で「それでも21世紀の日本人は原発に賛同したー」と誹られる国民の汚点と智慧の欠如なのだろうかーな…???


今回レンタルDVDで「原子力」の恐怖を訴える映画を4本見ました。いずれの作品も「平和と安全」の智慧を見事に追体験させてくれました。


初めは、静岡県焼津漁港から出船した第五福竜丸の乗組員たちがビキニ環礁の水爆実験の「死の灰」をかぶり、放射能に汚染された事件を描いた第五福竜丸』(1959年、新藤兼人監督)です。二本目は、チェルノブイリ原発事故から16年後の2002年、「ホット・ゾーン」と呼ばれる高濃度放射能汚染地域、ウクライナとベラルーシの子どもたちの健康への影響をドキュメント映画にした『チェルノブイリ・ハート』(2003年、マリアン・デレオ監督)です。この地域では生まれつき「チェルノブイリ・ハート(Chernobyl Heart)」と呼ばれる心臓や内臓の疾患、先天性の身体障害を持つ奇形の幼児など、原子炉事故による放射線障害に苦しんでいることをフィルムに収めた衝撃的な映画でした。三本目は、チェルノブイリ原発事故から25年後に被曝30キロ圏内の危険地帯に生息する動物たちの生態を研究する科学者たちを記録した『被ばくの森から ~チェルノブイリの生態系~』(2010年フランス制作 リュック・リオロン監督)です。ネズミの遺伝子研究をしていた科学者の発見で、この生物が被曝によって破壊された遺伝子の修復力が早いことを研究者が語っていたことは興味を引きました。四本目は、原発事故の隣国・ベラルーシに住む少女カリーナを主人公に、事故のせいで家族がバラバラになって生活する童話風の映画『カリーナの林檎~チェルノブイリの森~』(2011年、今関あきよし監督)でした。


安倍自民党政権は、消費税10パーセントを先送りにして衆議院解散・総選挙を12/2公示、12/14投票・開票の日程で進めているようですーね。いやいや、これも安倍晋三総理のプレーンが国民の支持率の低迷をとどめようとする奇策と策略なのかな…?もしもこれが選挙戦術ならば税金の無駄遣いです。2012年12月の衆議院選挙では約650億(そのうち選挙執行管理費等の選挙事務費だけで約588億)が使われたそうだー。これも、消費税を値上げした財政の余裕なのだろうかなー。ただ。日本の赤字国債は巨額です…よ!自民党が選挙公約した「社会保障と税の一体化」を確約したにもかかわらず、依然、消費税の税金を社会保障の充実に回さずに、貧困層の社会保障給付が次々と削減されていることを忘れずに、もしも仮に年内解散総選挙になったならば、是非ぜひ、後世に汚点を残さない投票をしてください…!!!


さて、前置きが長くなり、さらにまた少し掲載を遅らせてしまいました。11月上旬の特選映画をアップロードします。今月に映画館で観賞した特選映画は6本でした。今回は団栗の背くらべでした。もう聖書とギリシャ神話は見飽きたーぜ、特にアクションものは退屈はしないが、ワンパターンの銃撃戦と爆弾の炸裂で、なにか別の映画が見たくなりました…。そんなわけで、今月上期は、昆虫の微小な世界を描いた王冠1ミニスキュル ~森の小さな仲間たち~』を特選映画に選びました。


1

1本目はギリシャ神話に登場する全能の神ゼウスと人間の間に生まれた超人的ヘラクレス(ドウェイン・ジョンソン)を主人公とす『ヘラクレス HERCULES 』(ブレット・ラトナー監督)でした。

聖書とギリシャ神話は、エピソードと語り話とキャラクターの宝庫です。映画は多くのネタとストーリ、ヒーローとヒロインと怪獣と猛獣と善人と悪人たちの伝統的な原像と豊富なイメージをここから抽出しています。この映画でもヘラクレスの12の試練ー。劇中の多頭の蛇ヒュドラ、不死身のライオン、巨大なイノシシ・エリュマントスなどの魔物と怪獣は文化的な古層から取り出しています。これまで聖書とギリシャ神話を源泉として多くの映画が製作されましたー。ただし、今はスペクタクル画像にCGを駆使したリアルで精緻で広大な加工フィルムが使えるので、よりダイナミックになりました…。だから今CG技術の発達によってヘラクレス物語が製作され易くなったのかなーと思います。観ていて飽きない映像で、とてつもなく壮大な冒険ロマン映画が完成したなと思いました。ただ却って、醍醐味はあるものの、使い古された「ヘラクレス」神話だなと思いました。私の評価は特に可もなく不可もない、やや物足りない映画でした。


2

2本目は、オスマン帝国の侵略から自国を守るため、古代より伝説のように伝わる洞窟の中の闇の力と契約を交わしたトランシルバニア君主ヴラド・ドラキュラ(ルーク・エヴァンス)を主人公とする『ドラキュラZERO DRACULA UNTOLD 』(ゲイリー・ショア監督)でした。


これまでいろいろなドラキュラ映画が製作されました。ドラキュラのイメージには«吸血鬼≫という恐ろしい力を持った魔物の姿が浮かびます。しかし、美しい≪ヴァンパイア≫、超人的で禁断の力のイメージと共に登場した、現代風のドラキュラも現れました。


特にステファニー・メイヤー原作の「トワイライト・シリーズ」3作品、『トワイライト~初恋~』(2008年、キャサリン・ハードウィック監督)、『ニュームーン/トワイライト・サーガ』(2009年、クリス・ワイツ 監督)、『エクリプス/トワイライト・サーガ』(2010年、デヴィッド・スレイド監督)以来、警官の娘・美少女ベラとヴァンパイアの美青年・エドワードの禁断の恋に世界中が異界との禁じられたラブロマンスに酔いしれました。あたかもニューヨークの街角にファショナブルな装いで歩いていそうなヴァンパイアがここに登場しましたー。


今回の『ドラキュラZERO』 もまた、オスマン帝国から自国の民と愛する家族を守るために魔的な力を手に入れるという奇想天外なストーリ設定とオドロオドロしさはあるものの、従来のドラキュラストーリとはまた一味違った展開をした内容でした。やはり「ヘラクレス」と同じくCG駆使した映像は迫力がありましたので、退屈はしません。が、何となく私には物足りませんでしたーね。


3

3本目は、シルヴェスター・スタローンを初め、ジェイソン・ステイサム、ドルフ・ラングレン、ジェット・リー、ハリソン・フォード、メル・ギブソンらベテランアクションスターが再び集結して、ワンパターであるけれども、いつものように爆発音が鳴り響き、いつも通り激しくも痛快な銃撃戦がある、アクション俳優が勢ぞろいの『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション THE EXPENDABLES 3 』(パトリック・ヒューズ 監督)でした。


今月は図らずもアーノルド・シュワルツェネッガー主演の『サボタージュ 』が公開されているので、激しい銃撃戦と耳がジーンとくる爆発音のアクション物が重なっています。だから、ほどほどに迫力はあるが、二本を続けて見るとなにかハラハラドキドキが慢性化して、トキメキが少なくなるようでしたー。シリーズの中では、若手とこれまでのベテランの顔ぶれが世代交代するというストーリ設定で、脚本にやや工夫が凝らされているのかな…!


4

4本目は、稚野鳥子の人気コミックを映画化した、ホテルに勤務するOL鈴木沙耶(武井咲)とイベント企画部のエリート主任・柘植暁(大倉忠義)のラブロマンスを甘ーく甘ーく描いた『クローバー 』(古澤健監督)でした。


漫画だから許されるものの、実際の職場で権柄な態度で書類にケチをつけて突っ返したり、交際を迫ったりする上司がいるならばら、今ならば確実に「セクハラ」「パワハラ」として訴えられるだろうーね!そこがマンガです、でも、若い女性はこんなラブロマンスに憧れて痺れるのだろうかーな? 男と女の恋愛をあまりにもワンパターンに見てる気がしました…!日本の女性の恋愛観って、美男男子に奴隷的に愛されるのが好きなのかなー?

5

5本目は、家族から逸れた迷子の小さな子供のてんとう虫を主人公に、広い森の中をさ迷った挙句に黒アリ集団と出会う、昆虫の≪minuscule≫(フランス語で微小なーの意味)な世界を描いた王冠1ミニスキュル ~森の小さな仲間たち~』(企画・監督・脚本エレーヌ・ジロー / トマス・ザボ。 フィリップ・デラリュープロデューサー )でした。人間が捨てた缶の中の角砂糖を仲間のいる巣まで運ぶ黒アリたちと共に森の旅に同行するかわゆいテントウムシの物語です。


小さな蟻たちが自然の巨大な岩山、激流に阻まれながら困難を乗り越える昆虫が主人公の過酷な旅と冒険の物語です。途中赤アリの大軍に襲われそうになる危機にも遭遇するー。本物の森の風景と、CGアニメ映像と脚色を融合させた映像が、リアルな昆虫の生態とはまた違った面白い昆虫の「物語」に仕上がっています…。こんな映画はやはりディズニーには製作できない…。2012年4月よりフランスのNHK「Eテレ」で放送されたアニメシリーズの劇場版なのですが、恰も『イソップの寓話』や『ファーブル昆虫記』を観ているようで大変面白い作品です。私はこの映画を特選映画に選びました。


6

6本目は、最強の麻薬取締局DEAのリーダー、ジョン・ウォートン(アーノルド・シュワルツェネッガー)が率いる特殊部隊が次々と武装化された凶悪な麻薬カルテルのアジトを襲って、アンダーグラウンドの巨額な資金を壊滅するアクション映画なのだが、プラス、麻薬カルテルから強奪した巨額資金の一部1,000万ドルの大金が消え、行方が分からないまま、さらに屈強な隊員たちが何者かによって一人ずつ襲われ殺害される事件が起こる、いわばミステリーの要素を含んだ『サボタージュ 』(デヴィッド・エアー 監督、脚本:スキップ・ウッズ)でした。


この作品の唯一のユニークさは、激しい銃撃戦とドキーとする爆発音ばかりでなく、最後の最後にストーリにヒネリがあるアクション物という点でしょう。ネタを明かしてしまうと、麻薬カルテルから抜き取った闇の資金1,000万ドルが消えた謎の犯人は、DEAのリーダー、ジョン・ウォートンでした。彼はメキシコの麻薬カルテルに誘拐され拷問の末に殺害された妻と息子の復讐を果たすために準備した、情報収集のための資金であったというどんでん返しがありました。でもねー、なんか取ってつけたようなストーリ展開で、無理すぎるのではないか、「そんなの変だよ…」と、私はやや首をひねりました…!納得もいかないし、、不満だらけのラストシーンでした…!