10月上旬特選「推理作家ポー 最期の5日間」★映画のMIKATA【25】★映画をMITAKA… | 流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

都市生活者の心と言葉を掌にのせた小説、電脳化社会の記号とイルージョンを巡る映画、都市の孕むシンボルと深層を探るエッセイ、街の風景と季節の色を彩る短歌…。小説と映像とエッセイと短歌をブログに・・・掲載します。

◆映画情報
上映時間 110分/劇場公開(ディズニー)/2012年10月12日公開/映倫 R15+/
オフィシャル・サイト
http://www.movies.co.jp/poe5days/

◆スタッフ
監督: ジェームズ・マクティーグ/製作: アーロン・ライダー 。マーク・D・エヴァンズ。トレヴァー・メイシー/脚本: ハンナ・シェイクスピア/ベン・リヴィングストン/ 撮影: ダニー・ルールマン/プロダクションデザイン: ロジャー・フォード/衣装デザイン: カルロ・ポッジョーリ/編集: ニーヴン・ハウィー/音楽: ルーカス・ビダル/

◆キャスト
ジョン・キューザック=エドガー・アラン・ポー/ルーク・エヴァンス= エメット・フィールズ刑事/アリス・イヴ= エミリー・ハミルトン/ブレンダン・グリーソン= ハミルトン大尉/ケヴィン・マクナリー= マドックス編集長/



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携帯初めにいい訳めいたことを書いておきます。「ペットセメタリー」part2を一度掲載したのですが、補筆訂正、訂正削除をしているうちに、なにやら私の勘違い?、宿直夜勤明けのボンヤリした頭でやらかしたヒューマンミス? 或は、XPの古いOS故に、パソコンそのものの誤作動なのか? アメーバーブログのホストコンピュターの機能障害なのか? … 兎も角、よく分からないうちに削除した後に、part1が二つ掲載されている唖然とする結果となりました。part1は荒筋を追いかけて、作品解釈の視点だけを書いて、途中、長すぎたので分割する方針で終わらせました。でも、part1だけでは「ペットセメタリーのコメントは完結していないので、改めて記憶を辿りながら書いて、もう一度アップロードしますー。なにせ、書きながら考え、書いてまた補筆して、読み直して訂正し、削除してまた書き直して、さらにまた書き加えるー。その場限りの瞬間的なくり返し作業なんで、下書き控えを全く残してい私としては、初めから書くに等しい新しい気分で書き直すつもりでいます。従って、やや時間が掛かります。その分、次回予定していたスティーブン・キング論の「シャイニング」の掲載がやや遅れます。ご容赦下さい…。ブログの管理発行元に、誤操作による「削除」なので、一度アップロードした文章の復活をお願いしたのですが、返事ナシでした…。パソコンの時間設定をミスした日付に戻すとかー、何か助言があるかなと期待したのですが、無料でしかも登録者を多数抱えているので、瑣末な個個のトラブルに対応するのは無視なのかー、無理なのだろうかねー。幻滅ハートブレイクとブーイング目


10月上旬の特選映画ベル推理作家ポー 最期の5日間」をアップロードします。映画館で観賞した映画は5本でした。その中でも、「夢売るふたり」は、小粒ではあるが、真面目な詐欺師役の阿部サダヲと、樹木希林がいつも、キレイだけで演技力がないかのように揶揄する妻役の松たか子の熱演は、奇妙に歪んだ犯罪性のある愛嬌の笑いと親しみは、迫力があり、意外と秀作でした。勿論、「アウトレイジ ビヨンド」は、これまでの北野監督作品の中では一番面白かったです。


11本目「アウトレイジ ビヨンド」(北野武監督)は、前作「アウトレイジ」(2010年公開)では、関東の組織暴力団「山王会」周辺の勢力争いと、シャブと賭博の縄張りとシノギをめぐる下克上の争いでした。が、その抗争で元山王会配下大友組の組長・大友(ビートたけし)は、親分の姦計によって、配下の組員の命を次々と獲られ、自分も狙われる。刑事の片岡(小日向文世)の忠告で、ヒットマンから獄中へ逃げ込む。その続編の「アウトレイジ ビヨンド」では、元幹部の加藤(三浦友和)が、どさくさに紛れて山王会の組長を射殺して、今は会長の座に座ってー、関東最大の組織暴力団へ成長した。元大友組で裏切り者で、今は山王会若頭にのし上がったインテリヤクザ・石原(加瀬亮)の悪智恵で、政界の「金と権力」にまで手を伸ばし始めるー。大友が刑務所から仮出所し、関西最大の組織暴力団「花菱会」との駆け引きの中で、かつては暴力団同士の抗争で潰した残党組員木村(中野英雄)と共に、山王会の加藤と、裏切り者の石原たちと、とうとう復讐の激突が始まる。関西と関東の組織暴力団の抗争が始まるー、いわば山口組と稲川会との抗争のようなものです…。


アウトレイジ ビヨンド」は、前作「アウトレイジ」のブログ(2010年7日掲載)で書いたように、ヤクザの「女」たちが゛もっともっと荒ぶれた「悪人」でよかった筈ですー。そこで私は、ビートたけしが女の演出の仕方が下手ですねーと、ダメ出しのコメントをしました。ヤクザ映画の魅力は、「暴力」と「エロス」ではないかー? 続編でも過激で過剰な「暴力」シーンはあるのだけれども、ヤクザのヒモたちとの、豊満な肉体と喘ぐようなセックスシーン、刺激的で妖艶なベッドシーンが皆無でしたー。やはり、北野武監督のヤクザ映画は、日本経済の高度成長期の昭和の「ヤクザ」ではなくて、「明治」の愛と正義と義理と人情の「任侠」の映画に停滞しているのではないのか…な。そういえば、高倉健の任侠者も≪エロス≫がなかったー。或は、山王会会長(北村総一朗 )の、恰も子分の命をエゴイスティクな利益のために鉄砲玉として簡単にポイと捨てる組長像や、マルボウの片岡刑事が、警察組織の階層を昇るために「手柄」を優先させ、チンピラや組員を利用する姿は、経済優先の昭和の企業リーダと、サラリーマンの実像そのものです。それが彼の「ヤクザ」映画の好さと認めてしまえば、ファンは納得するだろうがー、私はやや物足りなかったです。私はまだ構想さえないだろう次回part3を、ついつい想像してしまいますー。「先輩」と呼ぶ片岡刑事を射殺した大友の刑務所行きから、再び娑婆へ仮出獄して、獄中の彼を支えた「女」と共に、戦後の焼け跡闇市の元上野のチンピラで、韓国のフィクサーの庇護下で、東南アジアへ高飛びする。ビンク一色のさながらロマンポルノのような映画、ベッドシーンばかりで、『往生できない極道ーアウトレイジ』といった映像を待ち望みたいです。ビートたけしが濡れ場シーンで初登場ー、高倉健のように筋肉を鍛えて、贅肉と脂肪を落として裸体を曝して欲しいーな。


さて、ビートたけしがこうまでヤクザ映画に拘泥するのは何故だろうか?恐らくこの次に、私は、この疑念を映画論として分析する必要があるだろう…。


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22本目は、第32回吉川英治文学新人賞を受賞した辻村深月の小説「ツナグ」を、平川雄一朗監督が映画化した作品です。死者と生者の再会を仲介する「ツナグ」の使者役の孫と祖母を、松坂桃李と樹木希林が演じます。


ツナグ」のストーリの骨子となっていた、死後の彼岸世界と現世を描いた映画も数々ありまし。死者の復活「甦り」と蘇生を描いた映画も数々ありました。≪死≫にまつわる死者の再生と復活の神話的物語は、既に私はスティーブンキングの「ペットセメタリー」でコメントしました。死者と生者の再会を仲介する「ツナグ」もまた、そんな系譜の映画に繋がる1本です。それ以上でもそれ以下でもない、可も不可もない映画でした。もう一捻りの脚色と、小説にない登場人物の登場とか、ストーリにない追加の演出があればいいなー。例えば、古代の≪もがり≫の映像が、現在に甦るとか。あの豪華なホテルの一室に突然死後の世界から死人が現れるのは、とても不自然ですよね…。


33本目は、馴染み客で繁盛する小さい料理屋を営む貫也(阿部サダヲ)と妻の里子(松たか子)は、ある日、串刺しの焼き鳥の炎で店を全焼させて全財産を失ってしまう。そこから、新しい店を再開する開店資金を稼ぐために、「白馬の王子様」を一人寂しく待つ女たちの心の涸渇につけ込んで、結婚詐欺をくり返す「夢売るふたり」(西川美和監督)でした。女が描く女の弱さと強さー、これは女性監督ならではの映像なのかなーと、想いました。


ただ、私は「結婚詐欺」という一点に着目し、この映画は、まだ私たちの記憶に新しい、結婚話を餌に中年男性を次々と睡眠薬と練炭で殺害し、貯金を奪って豪奢な生活を送っていた「木嶋佳苗」を髣髴とさせました。女が、男の結婚願望と一人住まいの侘しさや心の隙を巧みに操る結婚詐欺には、女の身の上相談を親身に耳を傾け、親密な恋人心をくすぐる巧みな交際がありました。女の悩み・すき間を操る結婚詐欺を、私は、木嶋佳苗の結婚詐欺・練炭殺人事件のパロディーと看做しています。どちらかというと、今度は「男」の視点で男の弱さと「性」を操る結婚詐欺の映画が見たいです…。


44本目は、1841年に初の推理小説「モルグ街の殺人」を発表した実在の作

家・エドガー・アラン・ポーを主人公に、彼の推理小説以上に怪異な死直前の最期の5日間を脚色しましたした「推理作家ポー 最期の5日間」(ジェームズ・マクティーグ監督)です。作品の主旋律は、泥酔状態で発見され、危篤状態が続いた後に亡くなったポーの、謎に包まれた死因と、さらに、恋人との結婚も決まっていた矢先での理由の分からない死因など、1849年の40歳の時に、死を迎えたポーにまつわる突然「死」をモチーフにした伝記的なミステリー映画です。この映画の魅力は、エドガー・アラン・ポーの推理小説ファンには、たまらない推理小説の犯罪のトリックが折り込まれている事です。一粒で二度美味しいこの映画は、ベン・リヴィングストンとハンナ・シェイクスピアの≪推理作家を主人公にした探偵映画≫の脚本のアイデアの勝利でした…。



発端は1849年の米国・ボルチモア。ポーの推理小説と酷似した模倣殺人事件が次々と起きる。深夜の街を切り裂く悲鳴とともに警察が駆け込むと、母は絞殺後に首を刃物で切られー、娘は煙突の中で宙づりになって殺されていた。惨殺された母娘の現場は、密室であった。エメット・フィールズ刑事(ルーク・エヴァンス)は、密室の釘付けされた窓枠に、ばね仕掛けのトリックがあることに気付き、「モルグ街の殺人事件」と類似していることを発見する。そこで、売れない詩人にして推理作家、酒に溺れる文無しのエドガー・アラン・ポー(ジョン・キューザック)を容疑者と看做す。次に、ポーをいつも酷評するライバル文芸評論家が、巨大な歯車と振り子に仕掛けられた斧で、胴体を真っ二つに切り裂かれる第2の殺人事件が起こるー。この殺害方法はポーの「落とし穴と振り子」の模倣殺人でした。そしてとうとう、求愛者エミリー(アリス・イヴ)に、「赤き死の仮面(赤死病の仮面)」「早すぎた埋葬」等のポーの作品を模倣した魔の手が及び、ポーに対して、地元の新聞社パトリオットに、この誘拐事件を推理小説化して載せるならば、エミリー失踪のヒントを与えるーという、恰もポーの推理頭脳に挑戦し、ポーの推理小説を挑発し、ポーの犯罪トリックに挑むような猟奇殺人者とポートの知恵比べが始まるー。


これまでさまざまな実在作家を主人公にする映画が製作されました。例えば、ロシアの文豪トルストイの家出と、その妻との晩年の夫婦喧嘩を描い『終着駅 トルストイ最後の旅』( 2009年公開。マイケルホフマン監督)は見応えがありました。或は例えば、18歳の少女が一夏で書き上げた小説『悲しみよ こんにちは』は、天才少女作家として注目を浴び、たちまちベストセラーとなり、奔放で豪奢な生活を与えた。が、死去したときには破産状態であったフランス作家フランスワーズ・サガンを描いた『サガン -悲しみよ こんにちは-』(2008年公開。ディアーヌ・キュリス監督&脚本 )は、寂しく哀しい映画でした…。私は、この「推理作家ポー 最期の5日間」を、この系譜の傑作として鑑賞しました。この作品でも、幻想怪奇小説家としてのポー、論争家としてのポー、演劇好き音楽好きとしてのポーなど、ポーの多面的なパーソナリティーも如何なく描かれています。


55本目は、二組の男女の恋愛の形と夢の恋愛を描いた「新しい靴を買わなくちゃ」(北川悦吏子監督。プロデュース:岩井俊二)です。 カメラマンのセン(向井理)は、妹のスズ゛メ(桐谷美玲)に付き添いパリへ旅行にやって来る。が、途中で妹スズメは失踪、地理不案内なパリの只中で道に迷う。妹スズメのパリ旅行の目的は、離れている画家志望の恋人と甘い逢瀬をするためでした。パリを彷徨していたセンは、パリ在住のフリーペイパー編集者で、日本人女性アオイ(中山美穂)と、パスポートに躓いてハイヒールの踵が折れる偶然の事故をきっかけに出会う。


中山美穂が主役となっている映画のラブストーリで、印象に残っている作品の1本に、辻仁成原作の「サヨナライツカ」(2009年。イ・ジェハン 監督)がありました。この映画は、男も女も肉体の悦びに溺れ、欲望のままに生きる「沓子」役を中山美穂が演じていました。沓子の愛と性の形は、男が永遠に憧れ、「女」に切望する夢見るラブストーリでした。翻って、脚本家・北川悦吏子が脚本・監督を努めた「新しい靴を買わなくちゃ」は、女が夢見み、男に対して渇望する恋愛ストーリです。偶然にハイヒールの踵が折れて困っているときに偶然に出会ったカメラマンのセンと共にパリの街を飲み歩き、結婚の破綻と離婚、恋愛が破綻した後に残された子供との孤独な家庭と、子供の死を、センと同衾し、彼の胸の中で抱かれ、慰撫されながらアオイが心情を淡々と語る姿は、女が憧れる「女と男」のピアーな関係性なのだろうかーな…!


サヨナライツカ」には、『男』が求愛するセクシャルなラブストーリの原型があり、「新しい靴を買わなくちゃ」には、『女』が理想とする幸福な結婚願望のラブストリの原型が描かれているー。折れたハイヒールの踵は、だから記号論的には、男との幸福な結婚の挫折であり、新しい男との新しい結婚の夢を「新しい靴」のように表現しているのかーな…。是非とも、女性の感想を聞きたい作品です。


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