6月推奨「ミッドナイトインパリ」★映画のMIKATA【13】ウ・アレン監督★映画をMITAKA | 流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

都市生活者の心と言葉を掌にのせた小説、電脳化社会の記号とイルージョンを巡る映画、都市の孕むシンボルと深層を探るエッセイ、街の風景と季節の色を彩る短歌…。小説と映像とエッセイと短歌をブログに・・・掲載します。

◆映画情報
上映時間 94分/劇場公開(ロングライド)/初公開 2012年/5月/26日/
オフィシャル・サイト
http://midnightinparis.jp/
◆スタッフ
監督: ウディ・アレン/製作: レッティ・アロンソン/スティーヴン・テネンバウム/ジャウマ・ロウレス/共同製作: ヘレン・ロビン。 ラファエル・ベノリエル/製作総指揮: ハビエル・メンデス/脚本: ウディ・アレン/ 
撮影: ダリウス・コンジ/プロダクションデザイン: アン・シーベル/
衣装デザイン: ソニア・グランデ/編集: アリサ・レプセルター/キャスティング: ジュリエット・テイラー/ パトリシア・ディチェルト/ステファン・フォンキノス/ 
◆キャスト
 キャシー・ベイツ* ガートルード・スタイン/ エイドリアン・ブロディ* サルバドール・ダリ/ カーラ・ブルーニ *美術館ガイド/マリオン・コティヤール *アドリアナ/レイチェル・マクアダムス *イネズ/マイケル・シーン *ポール/オーウェン・ウィルソン *ギル/ニーナ・アリアンダ *キャロル/


6月上旬の推奨映画をアップロードします。今の所、映画館で観賞した映画は8本でした。1本目の映画は、特殊能力を持った変てこな国家転覆を目論む凶悪なテロリスト集団に立ち向う、これもまた奇妙奇天烈な超能力捜査官の2人、当麻紗綾(戸田恵梨香)と瀬文焚流(加瀬亮)が活躍するテレビドラマの劇場版「SPEC 天」(堤幸彦 監督)です。2本目は二流のハリウッド脚本家ギルが、第一次大戦前夜の1920年代のパリにタイムスリップする幻想的映画で、爛熟した文化の香気と、サロンの雰囲気を味わえる「ミッドナイトインパリ」(ウディ・アレン 監督)です。3本目は、あのヴァンパイアと狼男がハイスクールの美女に恋する「トワイライト」シリーズで、狼族の筋肉隆々の青年ジェイコブを演じたテイラー・ロートナーが主役で登場する「ミッシングID」(ジョン・シングルトン監督)です。4本目は、たまたま愛を語り合っていた雪降る路上で追突事故に遭遇ー。結婚指輪をはめた婚約者は恋人との記憶を失ってしままベットの上で意識を取り戻すー。そこから「君への誓い」(マイケル・スーシー監督)は始まる。5本目は、NHKテレビドラマの劇場版「外事警察」(堀切園健太郎監督)です。6本目は、仕事と妻を失い意気消沈しているLAの新聞社に勤めていた突撃ルポライターのベンジャミン役に太って老いた主人公のマット・デイモンが演じる幸せへのキセキ」(キャメロン・クロウ監督)。 7本目の「シグナル・月曜日のルカ」(谷口正晃監督)は、古い映画館から3年間一歩も出ずにいる美少女のミステリアスな映写技師に新人女優の三根梓が起用されている。彼女とストーカ役の高良健吾とアルバイトの大学生役の西島隆弘が絡んだ青春ラブストーリです。8本目は、ホタル役の綾瀬はるかが「部長、ブチョー」と夫の高野(藤木直人)を呼ぶカワユイセリフがなんとも言えない。イタリアロケいっぱいの観光映画のような「ホタルノヒカリ」(吉野洋監督)。6月の推奨映画にミッドナイトインパリを選びました。

 1本目の「SPEC 天」の当麻紗綾(戸田恵梨香)と瀬文焚流(加瀬亮)の超能力捜査官が「悪人」と闘うストーリ設定です。もともと漫画が原作なので、余りにストーリが荒唐無稽でマンガチックと非難してもしかたないのだろうがー、映画館で見る価値のない作品でした…! ハリウッドの超能力の主人公の系譜は、思い出してみても数々様々に登場しています。スーパーマンやスパイダーマンやバットマンやアイアンマンやバイオハザードや✕-MENのミュータントー…とバラエティーに富んでいますが、この「超能力」映画の想像と創作の源泉はなんなんでしょうか?内にある物は外に在り、外にある物は内にあるー。現代人の心の中に「超能力」を誕生させる人類的な「欠乏感」に満ち満ちているのだろうか?そこには、例えばスティーブンキングの「グリーンマイル」の黒人死刑囚のコーフィのように苦痛と痛みでもがき苦しみ、生きる悦びと希望を消滅させ、命を蝕む病気を癒すような神の存在のような「超能力」の主人公は登場しなくなった。もはや「病」は、紙の癒しをj待つのではなくて、医学と医薬とサイエンスの「救済」を待つ苦しみとなったということなのかな…?「癌」の苦しみは、恐らく医学と医薬とサイエンスが解決する問題となったのかなー。

 私は、「SPEC」のテレビドラマスペシャル版も見たが、率直に言って近頃、テレビはクイズ番組とお笑い芸人のどんちゃん騒ぎと「食べ物」の娯楽中心でつまらないー、たまたまテレビドラマが放映されて、「高」視聴率を取る人気だと直に映画化されるー。映画化の要望がなくても、、儲かれば「劇場版」が製作されてしまう。こんなの、えーという映画が多いですねー。「こち亀」に代表される人気マンガの映画化され、「外事警察」が代弁するシリアルでよく出来たテレビドラマが映画化されるー。まあ織田祐二主演の「踊る大捜査線」シリーズや水谷豊主演の「相棒」シリーズまではいいですが、その後、続々と劇場版がシリーズ化されてますー。「テレビでヒットしたんだから、映画でも稼げるぜー。配役、セット、音楽、脚本、ストーリ、監督ー、全て横流しで節約できるー。」こんなテレビ関係者の声が聞こえてきそうです。私は、こんなイージーな利益追求のためのテレビドラマの映画化に不満一杯です…! 止めてくれ、安易な映画化、二番煎じの二匹目のドジョウの劇場化をー。

 2本目の「ミッドナイトインパリ」は、第84回アカデミー賞作品賞にノミネートされ、脚本賞を獲得した映画ですが、日本上映が遅かったー。スピルバーグ監督「戦火の馬」や、マーティン・スコセッシ監督「ヒューゴの不思議な発明」などの話題作が多かったので、地味な映画で話題作として余り注目されなかったのも一因。オスカー作品賞を獲得したジャン・デュジャルダンの「アーティスト」も更にもっと地味でしたがねー。今頃やっと鑑賞できましたが、評判どおりに素晴らしかったです。
 夜の酒場を飲み歩き、夜な夜な文人達が屯するサロンに迷い込む。そこで、文化と芸術を語り合い談笑する「失われた世代」のヘミングウェイ、フィッツジェラルド夫妻、ガートルード・スタイン、ドガ、マティス、ピカソ、ダリ、ゴーギャン、ブニュエルなどの煌びやかな作家達と多彩な画家や文化人たちに出会うー。爛熟したフランスのワインと芳醇な文化を楽しめる1本です。
 ストーリは、そこそこ仕事のあるハリウッド映画の脚本家のギルは、婚約者イネズと共に旅先のパリのホテルに宿泊する。作家への転身を望む彼は、処女小説原稿も携え、パリに移住して小説に専念したいと夢見ていたー。そんなギルが、酩酊故の夢見心地で、現実のパリから1920年代のパリに時間を飛び越えた街角に迷い込む。
第1夜でギルは、ワインの試飲会に参加した後、ほろ酔いで真夜中のパリをぶらついていたところ、ホテルへの帰道に迷ってモンターニュ・サント・ジュヌヴィエーヴ通りの広場で逡巡していた。そこに黄色いクラッシックカーのプジョーが走って来るー。誘われるままに乗り込んだ彼は、古めかしい社交クラブの、モンパルナスのカフェ「ラ・ロトンド」かもしれないパーティに参加する。 そこにはなんと、フィッツジェラルド、そばでピアノ弾を轢いているのがコール・ポーター、パーティのホスト役はジャン・コクトー、ヘミングウェイにも紹介される…。ギルは、1920年代のパリのサロンの中の夢か幻なのか、驚き興奮し酔いしれるー。第2夜では、あの華やかな夜が夢幻なのかどうか確めようと、 再び昨夜のモンターニュ・サント・ジュヌヴィエーヴ通りに佇んでいた。そして再び現れたプジョーに乗り、ヘミングウェイの案内でルリュース通り27番にあるガートルード・スタイン女史のサロンに招かれる。そこには、ドガ、マティス、ピカソ、ダリ、ゴーギャンなどの多彩な画家たちが屯していた。第3夜にもまたー。冒頭写真の女史がガートルード・スタインで、S・キングの映画「ミザリー」で倒錯したファン心理を好演したキャシーベイツです。

 3本目の狼族の青年ジェイコブ役のテイラー・ロートナーが、この映画「ミッシングID」(ジョン・シングルトン監督)の主役・高校生ネイサンで再び登場する。意外や意外で、子供のときより空手の修行をしている武道家ー、12歳の時にはジュニア世界選手権に出場する腕前です。学校の課題レポートを書くためにネットで、幼馴染でほのかに恋している近所の同級生・カレン(フィル・コリンズの実娘で女優のリリー・コリンズ)と一緒に調べていたところ、幼いころに誘拐されたのではないかという疑いを抱く。その幼児誘拐のサイトの真相を追い掛けるうちに国家規模の陰謀に命を狙われる。疑惑に包まれたまま「父」から教えられた破壊的な格闘技が「敵」の包囲を破るー、サンテイラー・ロートナーのアクションが素晴らしかったです。

 4本目は、たまたま愛を語り合っていた雪降る路上で大型トレーラーに追突され、結婚指輪をはめた婚約者は記憶を失って、病院のベッドの中で意識を取り戻すー、そこから「君への誓い」(マイケル・スーシー監督)は始まる。実在するある夫婦のエピソードがベースになっているようですーが、ハリウッドはラブストーリ過多だね。

5本目はNHKテレビドラマの劇場版の「外事警察」(堀切園健太郎監督)。既に核兵器保有国はアメリカ、ソ連、イギリス、フランス、中国、インド、パキスタン、北朝鮮の8か国がる国際社会で、核技術や核兵器が盗まれた、輸出された、売買されたーという事件や問題が何時あっても可笑しくない時代です。東日本大震災で政治の混乱が続く社会背景で、国内大学の原子力研究機関から警備の緩んだすきを狙って原子爆弾の起爆装置の設計設計データが盗まれるー。日本と朝鮮半島が絡んだ事件なので対国際テロ捜査に奔走する日本警視庁のCIA「警視庁公安部外事課」の住本(渡部篤郎)が探索と、原爆奪回に動き出す。バックのオーケストラの音楽がシーンを演出していて素晴らしいー、銃撃シーンのある韓国ロケも経費が掛かっているー、重厚感のある渡部篤郎の渋い演技も迫真に迫っているー、カメラ撮影はドラマを盛り上げているー、でも、暗いスクリーンが作品全体を暗くしていて、まるで凶悪な犯罪捜査のニュースを見ているようで、何か映画そのものが平板で面白くない…というのが率直な感想です。

6本目は、心機一転、14歳の息子と7歳になる娘のために新しい環境と土地と家を求めていた男が、閉鎖した動物園付きの家を買う「幸せへのキセキ」は、心温まるアットホームなドラマでした。、

7本目の「シグナル・月曜日のルカ」(谷口正晃監督)は、若く謎に満ちた映写技師役の新人女優・三根梓の、なんとも神秘を湛えたミステリアスな雰囲気がいいですねー。谷口正晃監督の演出が悪いのかー、脚本家(小林弘利 、鴨義信)の脚色が下手なのかー、原作は読んでませんが小説家・関口 尚のストーリ展開がつまらないのかー、あえて褒めれば 新人女優・三根梓のオーラのようなミステリアスな素顔です。

 8本目は、綾瀬はるか主演の「部チョー」と夫を呼ぶかわゆいセリフがなんとも言えない魅力の「ホタルノヒカリ」(吉野洋監督)です。綾瀬フゥァンの一人なので、余り悪口雑言は言いたくないが、一言、キスのシーンがギコチなく下手でした。清純派のハリウッド女優を見習ってください。「清純」であることも、ひとつの演技であり、女優のポーズです。それにしても、最近の堀北真希のキスもベッドシーンも巧いのは、余程女優修行をしていそうですよー。でも、全裸の沢尻エリカの「ヘルタースケルター」のように濃厚なキスシーンで、ベッドシーンが迫真の演技で艶めかしいのも綾瀬はるからしくないよなー。