5月特選「ポテチ」★映画のMIKATA【11】中村義洋監督★映画をMITAKA… | 流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

都市生活者の心と言葉を掌にのせた小説、電脳化社会の記号とイルージョンを巡る映画、都市の孕むシンボルと深層を探るエッセイ、街の風景と季節の色を彩る短歌…。小説と映像とエッセイと短歌をブログに・・・掲載します。

■映画情報
上映時間 68分/公開劇場公開(ショウゲート)/公開 2012年5月12日/

オフィシャル・サイト
http://potechi-movie.jp/
■スタッフ
監督: 中村義洋/プロデューサー: 若林雄介/企画・プロデュース: 松本整。宇田川寧/原作: 伊坂幸太郎『ポテチ』(新潮文庫刊『フィッシュストーリー』所収)/
脚本: 中村義洋/撮影: 相馬大輔/美術: 尾関龍生/衣裳: 西留由起子/編集: 李英美/音楽: 斉藤和義/主題歌: 斉藤和義『今夜、リンゴの下で』/VFXスーパーバイザー: 大萩真司/ヘアメイク: 池田美里/照明: 佐藤浩太/整音: 石貝洋/録音: 小林圭一/助監督: 平林克理/ポストプロダクションプロデューサー: 篠田学/企画協力プロデューサー: 遠藤日登思
■キャスト
濱田岳= 今村忠司/木村文乃= 大西若葉/大森南朋= 黒澤/石田えり= 今村弓子/中林大樹/松岡茉優/阿部亮平/中村義洋/桜金造/


新しいパートの仕事に就いたので、映画を見る時間がまったくなくなりました。アップロードが遅れて申し訳ありませんでした。日曜日週一回という時間では、せいぜい2~3本が限度でしょうかー。映画館での新作中心のプログから、DVDを見て感想を掲載するような「マイ・フェバリット・シネマ」の名画紹介を混載するブログに変更する必要も検討していたところです。

実は、折角就いた仕事を再び昨日辞めました。水道の検針会社で水道料金の未納督促業務に就いたのですが、その実態は、市民あっての地方自治なのにを市民を斬り捨てる「政治」の惨憺たる実態を見ました。小泉政権によって推進された「民営化」の欠点が見えました。昨今、会社をリストラ解雇されー、会社が倒産してお金が無くなったー、子供を抱えてパートの主婦労働だけではお金の余裕がないー、失業していて依然無職で収入がないー。様々な理由で、水道料金を払えない、或は、健康保険の保険料が捻出できない人が増えています。水道は各自治体が管理していて、尚且つ浄水場などの社会資本は老朽化しています。政令都市でさえ財政難に苦しんで昨今、そこで、健康保険費の滞納者や水道料金の未納者に対して、」「国保」保険証没収とか水道の給水停止とかの厳しい措置を取っていますー。これは実態を知れば知るほど大変なことになったなーと痛感します。皆さんも是非一度、こんなライフラインを止めてしまう「政治」の実態を考えて欲しいです。

さて、
5月の特選映画をアップロードします。映画館で観賞した映画は 9本でした。1本目の映画は、ジェイソン・ステイサムのアクションが炸裂する「キラーエリート」(ゲイリー・マッケンドリー監督)。2本目は、ジュリア・ロバーツが教師役を、トム・ハンクスがリストラスーパー店員役を務める「幸せの教室」( トム・ハンクス監督・脚本)。3本目は、ジョニー・デップとティム・バートン監督が今度はドラキュラ映画を製作した「ダークシャドウ」(ティムバートン監督)。4本目は、ハワイのカメハメハ大王の直系の子孫をジョージ・クルーニーが演じる「ファミリーツリー」(アレクサンダー・ペイン監督)。5本目は、小栗旬と岡田将生が主演になって宇宙飛行士役になる「宇宙兄弟」(森義隆監督)。6本目は、伊坂幸太郎の短編小説を映画化した「ポテチ」(中村義洋監督)。 7本目は、スティーヴン・スピルバーグの製作総指揮、ウィル・スミスとトミー・リー・ジョーンズのコンビが復活した「メンインブラック3」(バリー・ソネンフェルド監督)は、8本目は、キャメロン・ディアスが女教師役で主する恋愛コメディーの「バッドティーチャー」(ジェイク・カスダン 監督)。9本目は、奥田英朗の小説を映画化、香里奈、麻生久美子、吉瀬美智子、板谷由夏など美女女優たちが演じている「ガール」(深川栄洋監督)。 今月は小粒だがピリリと辛い邦画が二本ありましたが、その中で特選映画に「ポテチ」を選びました。 
 
1本目の「キラーエリート」の主役・ジェイソン・ステイサムといえば、「トランスポーター」シリーズの華麗でど派手のアクションにはいつも、映画ならではの醍醐味を堪能させてくれます。近作の「アドレナリン」(2006年)、「ブリッツ」 (2011年)「メカニック」 (2011)を見た映画ファンならば、いつもながらの飽きさせない彼のアクションに感嘆します。が、しかし、次第次第にステイサムのアクション映画がワンパターンで、以前に見たシネマと区別がつかなくなる程、類似しているように見えてくるのもまたいがめません。これは「007」シリーズの共産圏の悪者スパイや、時代劇の「水戸黄門」の印籠と同じ単調さなのかもしれません…。ストーリは、拘禁された暗殺の相棒・ハンター(ロバート・デ・ニーロ)を助けるために、アラブのオマーン首長の息子を殺した英国特殊部隊SASの元隊員に復讐するいつもながらの鬼気迫る迫力のアクションですー。

トム・ハンクスの映画の役柄といえば、代表作「フォレスト・ガンプ/一期一会」 (1994年) や、「ターミナル」 (2004年)、「グリーンマイル」 (1999年)に象徴されるように、私には常に≪弱きもの≫≪少数者≫を演じ続けてきたように思えます。2本目の「幸福せの教室」でも、スーパーを解雇され、妻と離婚された孤独な中年失業者・ラリークラウンを演じています。しかも監督、脚本も務めています。私は、アメリカ社会で片隅に置かれた≪弱きもの≫≪少数者≫を演じる彼に拍手したいです。邦画で言えば、山田洋次監督の「フーテンの寅さん」を演じた渥美清だろうかなー。

しかも、彼の出演する映画に共通している要素は、一片の希望、一縷の望みを主人公の結末に残していることです。「幸福せの教室」のラリークラウンは、単科大学の仲間や、講師のメルセデス(ジュリア・ロバーツ)に新しい恋を見つけます。逆に、≪弱きもの≫≪少数者≫達が新しい共同体を作って、お互いの望みと希望の支えになっているところが面白いです。、≪弱きもの≫≪少数者≫が、隣同士でありながら足を引っ張り合い蹴落とすような敵対的関係しか描けない邦画との違いが、私には気になります。特に「資本主義社会」の「自助努力」の「自由主義の国家」アメリカは、所得の少ない弱者や学歴のない少数者や社会の底辺に置かれた移民やセイフティーネットで保護すべき病人や高齢者は-、社会と政治から見放された市民を容赦なく斬り捨てます。それゆえに彼の映画は、マージナルマンのあふれたアメリカで歓迎されるのでしょうか・・・。

これまでの映画史で吸血鬼・ドラキラを演出した作品は数々有ります。その中でも取分け近作≪トワイライトサーガ≫シリーズ「ブレイキングドーン」は、ドラキュラやヴァンパイアといえばホラー映画なのだが、その既成概念を見事に覆した美男美女の若者二人の特異なラブストーリの設定でした。そして、ジョニー・デップとティム・バートン監督のコンビもまた同様に、これまでのホラー映画の既成のオドロオドロシイ吸血鬼・ドラキュラ・ヴァンパイア映画を覆し、魔女によってヴァンパイアにされ200年もの間生き埋めにされていた男と、威厳と誇りと資産を失った子孫たちを主人公にしました。前作の「アリスインワンダーランド」(2010年)は失敗作でしたが、3本目の「ダークシャドウ」は、ややコメディーで幻想的なホラー映画で、楽しく鑑賞できました。

ハワイ・オアフ島の土地不動産専門の弁護士・マット・キング(ジョージ・クルーニー)は、カメハメハ大王の直系の子孫にしては、ハワイ原住民の血を一滴も感じさせない西洋人なのでやや違和感を受けました。4本目の「ファミリーツリー」は、一方で、妻のエリザベスがボート事故に遭遇して、植物人間状態で病院のベッドで死を待っている。妻は同じ不動産業者の妻子ある男と不倫していたようだ。他方で、カウアイ島にある先祖代々の広大な自然を受け継き、管理している土地を売却するかどうかという問題を抱えていた。本来、安らぎと慰安の美しいハワイの海と自然も、温かく心を包むいき甲斐の家族団らんも、マッドの身を苦しめる矛盾の板ばさみに置いた。最後のシーンでマットは、二人の娘と共に家族と自然を守ろうとするストーリで結ばれる。ハワイを舞台とするこの映画は、ある意味で、自然と家族を至高の価値と看做している顛末は、ハリウッド映画にしては珍しいなーと思いました。しかし、ハワイの海と自然を愛し、リゾート地としてハワイのロッジやホテルに宿泊する日本人も増えています昨今、見方によっては、この映画の背景に、観光地とリゾート地として乱開発され、ハワイの海と自然の破壊が起こっているーという深刻な事態があるのだろうかー。

5本目の「宇宙兄弟」は、週刊「モーニング」で連載中の小山宙哉のコミックが原作のようです。いつもながら恥ずかしいのですが、私はマンガ・コミックを一切読みませんので、原作の存在を初めて知りました。つい先日も、アメリカの民間企業が、宇宙飛行を格安で提供するニュースが流れていました。既に巨額を投資しなければ宇宙ロケットを打ち上げられないアメリカは、スペースシャトルの打ち上げを中止し、宇宙ステーションへの輸送を民間会社に委託する、さらに有人輸送までも民間に委託するNASAの方向転換が活発に報道されている。民間企業の商業通信衛星の発射から、宇宙旅行や、小惑星の鉱物資源探索や新薬品開発等々、宇宙空間を商業利益の追求にする目論見は果てしなく広がっています。「コスモス」は人類にとっては、究極の神秘の世界と存在であった。「宇宙兄弟」のストーリは、子ども時代にUFOを偶然見たムッタとヒビトの兄弟は、将来、宇宙飛行士になることを誓い合う。そして2025年、弟のヒビト(岡田将生)は、夢を現実に摑み、NASAの宇宙飛行士となる。兄ムッタ(小栗旬)は、自動車車体のデザイン開発の会社を解雇され、失業していた。弟は月面のクレータに落下して危機一髪の事故に遭遇する。兄はJAXAの宇宙船搭乗員募集に応募して、適正試験を受けていたー。その兄弟が最後に共に宇宙飛行士としてNASAのロケットに乗り込む。こんな映画が製作されるとは、既に「月」への宇宙飛行から「火星」旅行プランへと関心が移っている現実の科学技術の飛躍を垣間見ました。それにしても、昔、「ホリエモン」が宇宙事業に関心を持っているとーと話している姿に、何を大風呂敷を広けるんだーと思っていましたが、まんざら夢物語でもなくなったな…。

5月の特選映画に「ポテチ」を選びました。原作小説は伊坂幸太郎の「フィッシュストーリー」に収録された短編小説ー、主演の濱田岳ー、「ゴールデンスランバー」 (2009年) 、「フィッシュストーリー」 (2009年)、「アヒルと鴨のコインロッカー」( 2006年)と、伊坂と4作目の共同制作とも言っていい中村義洋監督が映画化しているー。主題曲主題歌が斉藤和義ー。山椒は小粒でもピリリと辛い邦画でした。ちょっと間の抜けた空き巣狙いのこそ泥の若者・今村(濱田岳)と、たまたま侵入した結婚詐欺師に騙され弄ばれた女が掛けてきた自殺予告の受話器を取って以来、相棒のように恋人のようにいつも一緒に居る若葉(木村文乃)と、今村の空き巣狙いの師匠であるプロのこそ泥・黒澤(大森南朋)と、生年月日がピッタリ同じの地元のプロ野球選手(阿部亮平)が絡んで、ストーリは軽妙洒脱な笑いを作り出している。濱田岳のかん高い声とちょっと味のある惚けておっちょこちょいの演技が冴えている映画でした。「アンフェア the answer」(2011年)で見せたどこかとらえどころのない闇を抱えた猟奇犯罪者の大森の演技に注目していたが、最近よく見かけるようになりましたねー。特に大きな時代性や人間社会に関る重要なテーマを孕んだ映画でもなく、映像表現や映像技法のために、製作費用に莫大なお金を使っている壮大なスクリーンでもないが、 スクリーンの幕が降りた時に、えもいわれぬ余韻の残る映画でした。

7本目の「メンインブラック」は、姿を人間として変身させて地球で暮らすエイリアンたちが悪さをしないように常に監視する秘密組織MIB所属のエージェントJ(ウィル・スミス)とK(トミー・リー・ジョーンズ)のコンビが、いつもながら人類と地球に不穏な動きをするエイリアンとクールに戦い、何事もなかったかのようにエイリアンを後始末をする奮闘が、この『メン・イン・ブラック』の第3弾でも爆笑を誘っています。大法螺吹きの大間抜けの荒唐無稽なコメディーがこの「MIB」の真骨頂です。ゲラゲラ笑えば、それ以上もそれ以下でもないー、それで十分な映画です。

8本目の「バッドティーチャー」は、キャメロン・ディアス主演の恋愛コメディーです。同僚教師のスコット(ジャスティン・ティンバーレイク)が大企業の御曹司だと知り、玉の輿に乗ることに闘志を燃やす女教師エリザベス(キャメロン・ディアス)の、ハチャメチャドタバタ恋愛コメディーです。最後に、金持ちの二枚目のスコットではなくて、彼女に求愛を続けていた体操教師の「愛」に気付いた結末は、何か微笑ましかったです・・・。

9本目の「ガール」は、女による女のための女たちの「映画」といって過言ではないです。いまどきの日本の「女」の群像をスライスして、女の意識の標本を映像化しているのかなーと、興味津々に見ました。出演者は、大手広告代理店でデパートの女性ファッションの宣伝企画を担当指定する29歳独身の滝川由紀子(香里奈)。その恋人役のがさつな森本蒼太(向井理)は、造船会社のエンジュニアー。大学時代以来の友達で、由紀子のよき理解者であったー。大手不動産デベロッパーでキャリアウーマンとして男たちを部下に従えてバリバリと仕事をする武田聖子(麻生久美子)。いわば彼女の収入に寄生している夫が 武田博樹(上地雄輔)。社内で上役の女課長聖子と対立する営業マンに今井哲夫(要潤)。30歳を前に仕事と結婚に焦り始めていたー。文具メーカー勤務の小坂容子(吉瀬美智子)は、新入社員の新人研修をしている内に、一回り年下の青年・和田慎太郎( 林遣都)に微妙に心ときめき始めたー。夫のたった一回の浮気を理由に離婚したシングルマザーの平井孝子(板谷由夏)も同じように、子育てと仕事と:結婚に悩んでいた。四人が知り合うきっかけは「ソフトヨガ教室」で、今現在は「パン作り教室」に通っています。麻生久美子、吉瀬美智子、板谷由夏の美女四人の女優たちが共演しています。それだけでも、目の保養なのかな…。特に、吉瀬美智子は「死刑台のエレベーター」(2010年)以来-注目していた女優だが、結婚出産した「小雪」の代わりに最近、松下電気の白物家電のコマーシャルに出演しているが、爽やかで透明感のある彼女の存在は目立っていました。

ここに現代日本女性たちの意識の実態が表現され反映しているのだろうかー。私は、「否」という印象を持ちました。例えば、ハリウッド映画の「セックス&ザ・シティー」や、キャメロン・ディアスの「バッドティーチャー」の女たちは、もっと自由に仕事に就き、金を稼ぎー、もっと「女」の性を大らかに開放し、人生の余暇を楽しみ、男の肉体と心と交わり遊んでいますよね…。日本の女性たちが、この映画のように、男と恋愛と結婚と仕事と家庭に、こんなにも悩んでいるばかりでは、つまらないや・・・!日本の女たちの21世紀の≪性と心の自由開放曲線≫は、ここで終わりなのかー、暗澹としました。