再び巻頭にイラストを掲載しました。山頭火のイラスト第3弾です。勉強がてら、イラストレータで山頭火の自由詩からインスパイアーされたイマジネーションを形象化しました。
山頭火は放浪行乞の俳人ですが、同じ系譜の放浪詩人たちには、旅を棲家とした西行や芭蕉など、誰でも知っているポピラーな歌人たちもいます。
何故、山頭火ブームが湧き起る程にポピラーなのだろうか。地方の素封家から転落して破産。大正12年の関東大震災で全てを失い、母を小学生の時に失い、弟を36才の時に失う不幸の連続、妻とも離婚…。まったく滑って転んで、得度した山頭火の変転万化の半生が余りにも劇的なので、私たちには彼は「異形のもの」と映ります。さらに、心情を率直に詠む自由詩が、飾り気のない共感を生むのかもしれません。
◆
上映時間 146分/製作国 日本/公開情報 劇場公開(日活)/初公開年月011/01/29/
http://www.coldfish.jp/
◆スタッフ
監督: 園子温/製作: 杉原晃史/プロデューサー: 千葉善紀、木村俊樹/ラインプロデューサー: 姫田伸也/脚本: 園子温、高橋ヨシキ/撮影: 木村信也/特殊造型: 西村喜廣/美術: 松塚隆史/衣裳: 荒木里江/編集: 伊藤潤一/音楽: 原田智英/VFX: 鹿角剛司/アクションデザイン: 坂口拓/照明: 尾下栄治/録音: 小宮元/助監督: 吉田聡/
◆キャスト
吹越満 (社本信行)/でんでん( 村田幸雄)/ 黒沢あすか( 村田愛子)/ 神楽坂恵( 社本妙子)/ 梶原ひかり( 社本美津子)/ 渡辺哲( 筒井高康)/ 諏訪太朗( 吉田)/
映画館で観賞した映画は全部で10本でした。1本目の映画は、「冷たい熱帯魚」(園子温 監督)。2本目は「ザ・タウン」( ベン・アフレック監督)。3本目は、「GANTZ」( 佐藤信介監督)。4本目は、「ウォール・ストリート」(オリバー・ストーン監督)。5本目は「ジーン・ワルツ」(大谷健太郎監督)。6本目は「毎日かあさん」(小林聖太郎監督)。7本目は「あしたのジョー」(曽利文彦監督)。8本目は「太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-」(平山秀幸監督)「9本目は「洋菓子店コアンドル」(深川栄洋監督)、10本目は「グリーン・ホーネット」(ミシェル・ゴンドリー監督)。。私が選んだベスト特選映画1本は、これは迷う…、ヨシャ★「あしたのジョー」を選びます。さらに、ベター特選映画もまた難しいな…、私は★★「冷たい熱帯魚」を推します。ただ、★★★「洋菓子店コアンドル」と★★★「毎日かあさん」もまた邦画としては捨てがたい魅力があります。
今月は観賞した映画の本数が多いので、ここでは1本目の「冷たい熱帯魚」のコメントだけを掲載いたします。
犬が熱帯魚に変わっているとはいえ、ペットプームを利殖の対象とするバブル:経済の破綻する1993年に起きた埼玉県の愛犬家殺人事件を材料に製作された猟奇殺人事件の映画です。監督は、昨年「愛のむきだし」でもやはり家族の崩壊を映像化した園子温 監督。小さな熱帯魚店を経営する一人の平凡な男・社本(吹越満)が、娘の万引きをきっかけに、身の毛もよだつ連続猟奇殺人に巻き込まれていく姿を描いています。
手広く熱帯魚店を経営する「アマゾンゴールド」のオーナー村田幸雄(でんでん)が、投資や融資の甘い儲け話を持ちかけて、次々と殺人をくり返すストーリ。社本は、山奥にある十字架の立つ山小屋まで遺体を運び、村田と妻の愛子(黒沢あすか)が風呂場で死体を解体する作業を手伝う破目になる…。細切れにした肉と内蔵が詰め込まれたビニール袋と、骨の灰だけが残り、死体(ボディ)は跡形もなく透明になってしまう…。最期に社本が、狂気の末に、村田と妻の愛子を殺害して、自分も喉首を切って自殺したとき、娘の美津子(梶原ひかり)が笑いながら息絶えた社本を何度も足蹴りにする…。これが家族崩壊の末路の姿であった。楽しめる映画ではないが、見た後にいつも重たい現代的な「テーマ」を残す映画です。
渡辺哲のヤクザの親分役は見慣れていますが、TVドラマではいつも惚けた中年役が多い「でんでん」が、この映画では、饒舌な殺人鬼を熱演していました。これは、はまり役でした。