もう映画ファンの多くが、既に試写会などで「レツド・クリフpartⅡ」を観賞した人は居ますが、「さあ、これからいい場面だ…」という所で、、partⅠが終わってしまったので、あれ以来、あの後が見たいと欲求不満の人も多いのではないでしょうか。
待っている時間は長かった、でも、今日はpartⅡの封切り初日です。早々に見てきました、壮絶な「赤壁の戦い」のクライマックスが、迫力あるスクリーンで漸く見れました。映画の感動が鮮明に残っている内に、partⅠの感想だけでも簡単に載せておきます。
<三国志>といえば、私は昔、横山光輝原作のアニメ版「三国志」をテレビで興奮して見ていました。原本を遡ると、三世紀末の西晋時代に陳寿によって書かれた正史「三国志」、十四世紀中頃の元末初明に羅貫中によって書かれた「三国志演義」。千数百年の歴史の中で、中国民衆の手で育てられた長編小説は、ストーリのトリミングの仕方と、登場人物の脚色によって、「三国志」の物語性はいろいろな濃淡を見せる。
いまアニメの「三国志」がYahoo動画http://streaming.yahoo.co.jp/playlist-qvQQwTO_Fwgkt.Oqli9A9_69b3HQvg--?myp0=list&myp1=lid576460752303947150 で無料で観賞できます。
ただ横山光輝版アニメの「三国志」とは、似て非なるもののようです。静止画像が多いので迫力に欠けますが、「赤壁の戦い」以後のストーリも楽しめます。3部作なので昨日は、午前中からパソコンに噛り付きで、ビールを飲みながらほろ酔いかげんで楽しみました。
西暦208年。天下統一の野望に燃える漢の丞相・曹操()の率いる80万人の軍隊の、壮絶な攻撃が始まろうとしている。それを迎え討つのは、劉備(ユウ・ヨン)と孫権(チャン・フォンイー)の率いる五万人の軍隊と、天才軍師・孔明(金城武)。私は<三国志partⅠ>の見所を一点に絞ると、二人の女性に焦点を当てたいです。
一人は孫権(チャン・チェン)の妹、尚香(ヴィッキー・チャオ)がいます。おてんばで男勝りな女性です。両軍には、軍勢の大差がある。「赤壁の戦い」を目前に控えて、尚香は男装をして敵地に潜入する。曹操軍の秘密情報を白い鳩を飛ばせて頻繁に孔明に送る。曹操軍の兵隊に淡い恋を抱くが、戦いで喪う…。後日、尚香は憤慨してましたが、劉備と政略結婚をするようです。
もう一人は、三代にわたり孫家に仕えている周瑜(トニー・レオン)の妻・小喬(リン・チーリン)がいます。曹操は、自分の女にしたいと恋慕していた。曹操が戦いを仕掛けている真意を知ると、周瑜の子を腹に宿しながらも、曹操の陣地に乗り込む。戦国の世に輝く可憐な美女です…。
小喬の美貌に見せられているのは、私だけではなかった…。80万の大軍を率いる総大将の曹操もまた、小喬の魅力の幻影を追いかけていた。
曹操が小喬の姿の素描画を懐かしく見つめているのを見て、側近の一人は、「女のために戦いをしているのか…」と、呟く。
「赤壁の戦い」に関しては、ドラマチックな歴史の転換点でしたので、数多くの伝説や虚構を生み出しています。その中の一つが曹操の大軍を率いて攻め立てるのが、喬家の美人姉妹、孫策に嫁した姉の大喬と、周瑜に嫁いだ妹の小喬を捕らえて、曹操が築いた<銅雀台>という楼に閉じ込めて、侍らせたい曹操の欲情ゆえという噂でありました。唐の詩人、杜牧は≪赤壁≫という七言絶句で、
…東風 周郎の与に便ぜんば 銅雀 春深くして 二喬を閉さん…
と読んでいます。(出典は集英社新書、八木章好教授著書の『「三国志」漢詩紀行』による。)
今まさに出陣を控えている曹操の元へ単身で乗り込む小喬は、 死を覚悟に秘めて、和平交渉を申し出る。そして、曹操に茶を振舞う一時で、孔明の予見どおりに風向きが変れば…と時を稼ぐのだが。小喬がたくらんだ茶室での一杯のお茶と、曹操の足止めが、曹操軍の出陣の勝気をものの見事に逃す。
ジョン・ウー版「赤壁の戦い」オリジナリティは…?「正史三国志」、「三国志演義」とは違ったジョン・ウー監督の解釈は…?
映画の最後で、民衆と兵士のために曹操軍に和議を申し入れた小喬はこう洩らして言う。ここに私は、戦乱と虐殺と貧困と政情不安の長い歴史の苦渋を飲んできた民衆の苦難を知っている中国人としてのジョン・ウーの歴史観と、アジアや中東に戦争や紛争の火種を放って来たアメリカの映画監督としてのジヨン・ウーの゛愛と平和゛の人間観を垣間見た気がしました…。
…戦争は勝っ方も、負けた方も大きな痛手を負う。…国は荒廃し、民衆が苦しむのものだ。…