とある日、メガネの訪問販売店の事務所にて、ポスティングのチラシを準備する作業を、号車長、わい、事務員さんの3人で行っていたトコロ、

「サッソンズくん、なかなか手際がいいね。」

とお褒めの言葉をいただいた。
にもかかわらず、号車長にディスられていたせいか素直に喜べず、
「いーえ、そーでもないですヨ。号車長からは、仕事遅いなって言われましたし。それもお客様の前で。」
との返事をするや、事務員さんは憤慨して、
「号車長さん、性格悪いわねぇ!」
と吐き捨て、号車長はムッとした。

そしてその翌日、販売車で営業所を出発するや、号車長はあろうことかこうのたもうたのだ。

「あのバカ女、いちいち小うるさくケチつけやがって。サッソンズ、あのバカ女のいうことが全てじゃないからな。」

「………キサマの言うことこそ、全てじゃないわい!」
この言葉と共に唾液を飲み込もうとすると、号車長がプカプカタバコを吸った、大量の副流煙も喉に入りむせてしまった。号車長、その煙の量、公害ですわ。

号車長が放つ口害はこれに留まらず、わいが入社して3週間後に退社した、N、T両マネージャーの悪口にも及んだ。
「わいのことだけじゃなくて、より結果を出して来たマネージャーのことまで………。マネージャー方は、一生懸命売り上げ出して、わいらを守ってくれたのに、何だと思ってるんだろ⁉︎」

わいはむしろ、マネージャー方から薫陶を受けたかったのにな。

………そう思いつつ、北海道の田舎の集落の中を一軒一軒、検眼の誘いをして回る毎日でありました。

〜つづく〜