なみくんと由依の結婚はすぐに城下町の人々に知らされました
町ではすぐに噂が広がりました
莉乃の耳にも話は入りました
(莉乃)…えっ

なみくんが結婚

…なみくんが…
莉乃は信じられませんでした
…いや…信じたくなかったのかもしれません
なみくんは若様とはいえ
よく抜け出して町に出てきていました
莉乃は子どもの頃から
なみくんとよく遊んでいました
そのうち…なみくんを好きになっていたのです
なみくんと莉乃はよく似ていました
なみくんの母親は大奥にいて
なみくんが生まれてからは
城に帰ってくることはありませんでした
なみくんは母親のことをほとんど知りませんでした
一方
莉乃は生まれてすぐに母親を亡くしました
ずっと名医である父と2人で暮らしてきたのでした
母親のことは全く知りませんでした
そんな似た境遇があって
なみくんと莉乃は
武士の子と庶民の子という差を気にせず
自然と打ち解けていました
莉乃はなみくんが結婚することがずっと気になって
父の手伝いも手につきませんでした
(莉)……

(莉乃の父)どうしたんだい?
元気がないようだけど
(莉)なんでもないよ…
(莉乃の父)何かあったら
すぐに話すんだよ

(莉)うん…
一方城では…
なみくんと由依は
結婚することが決まってから毎晩のように一緒に寝るようになりました
しかし由依はなみくんと距離を置いていました
京都の公家の家で両親からも見放され
由依は人を信じられなくなったのです
(由)…
(な)由依?
(由)…
(な)も~我慢できない
えいっ

ギュッ

(由)キャー


(な)わわわっ

ごめん

離れるから

(女中)さ…先ほどの声は

(な)何もない
今日はもう休め
(女中)はい

(由)…
(な)結婚するんだよ

少しぐらい…

(由)ウチは結婚したくて来たわけやないから
(な)じゃあどうして?
(由)来るしかなかったんや…

(な)えっ

(由)ウチは公家としてちゃんと教育を受けへんかったんや
それで嫁ぐ先はなくて…
ここに来るしかなかったんや…
(な)そうなんだ…
ごめん
何も知らなくて…

(由)えぇんよ…
(な)由依…
由依が結婚する気がなくても
俺は由依のこと愛してるから

(由)えっ?
(な)好きだ

ギュッ

(由)は…離れて

(な)…

(由)…
(な)

(由)寝てる?

………続く