兵庫県のとある地方都市、
かつて仕事の関係で長らく住んだ町、
旧知の仲間と一緒に数年ぶりに馴染みだった店の暖簾をくぐった。
締めは絶品の「炒飯」と決めて。
3時間半飲んだあと、
昔に比べて幾分ほっそりとした女将さんに「炒飯お願いします!」。
「ごめんなさいね、今はもう作ってないの。」
「えっ?」
聞くと、ご主人が亡くなった事、
それ以来メニューには載せてない事を教えてくれた。
そう言えば、、、
いつも厨房の奥で丸いパイプ椅子に腰掛けていた、
白い調理服姿のあのご主人の姿を今日は見ていないことに気がついた。
女将曰く、
「どうしてもあの味が出せないの。
 たくさんのお客さんに炒飯って言われるけれど、、、ごめんなさいね。」
ココロがキュッと音を立てて痛んだ。
確かにメニューリストが変わっていた事には気づいていた。
でも、ご主人が亡くなっ事や、そこに「炒飯」の文字が無い事までは。。。
配慮の無い言葉だったことを酔いが醒めるほどに恥じた。
この町で仕事をしていたころ、
昼に夜に、
接待や宴会、
時にはワガママを言ってTVを持ち込んでサッカーワールドカップの応援をした事も。
仕方が無い、、、
締めはこの地域の名物料理「ホルモンうどん」に。
このメニュー、かつては無かったはず。
「ご馳走様~♪美味しかったです。」
そう言って店を出たあともズキズキとココロの隅っこがしばらく痛んだ。

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