もしも20年前のあなたがタイムマシーンに乗って、
現在のあなたに会いにきたら？
何を感じ、何に驚き、
どんな言葉をかけるでしょうか。
かんころ手帳6月のコラムより
20年前の私は28歳。
3月に半年の精神科入院を終えて、
一人暮らしに戻った。
両親とは離れて暮らしていたけど、
常に見張られてるような状態だった。
外出は許されなかった。
携帯に電話がかかってくると、
家にいるのか？
家に電話したのになんで出ないんだ？
家にいるなら家に電話をかけるぞ
と脅迫めいたこともあった。
生きたくないのに生きなきゃいけなくなって、
自分から復職したいという気持ちはなく、
だけど復職することは当然だという
周りからの圧力の中で過ごしていた。
アルコール依存症だったので、
入院時の主治医からは
気をつけるように言われていた。
だけど飲んでしまった。
あっという間にお酒に飲まれ、
多量の薬を飲む日々。
そんなまともではない状態で、
彼氏と同棲するんだと部屋も家財も手放した。
彼氏は同棲する気はなかったけど、
行く宛てのなくなった私を
数ヶ月家に置いてくれた。
彼氏が側にいるのに、
私はいつも空虚な状態だった。
そして、
私は飲んではいけないものを飲んでしまった。
何故かはわからない。
もう普通の神経ではなかった。
私は病院に運ばれた。
運ばれた後、
最初に意識を取り戻した時、
手術室のような場所に寝かされていて、
ライトが眩しかった。
隣に運ばれた人はトリカブトを飲んだらしく、
なんで死なせてくれないんだと発狂していた。
そして意識は遠のき、
次に気づいたのはICUの病室だった。
ベッドから見る限り、
周りは深刻な状態の人ばかりだった。
私の隣には、意識不明で、
家族から生きて欲しいと望まれている人がいた。
私は5日ほど、“ある”治療をしながら、
人工透析、絶飲絶食で過ごした。
もしかしたら明日死ぬかもしれないとも言われた。
いざ命尽きるのかと思ったら恐かった。
そんな中、
駆けつけた私の母親は、
お前なんか死んでしまえ！
と言った。
だけど、私は死ななかった。
1週間後、退院することとなった。
後遺症が出てるかもと言われたけど、
それもなかった。
つくづく命が太かった。
事故で同じような状態になった人のために、
私にした治療は役立つので
この経験を使わせて欲しいと署名を求められた。
ICUで私を担当してくれた主治医からは、
これだけ死ぬ気になれるなら何でもできるよ！
と言われた。
死ぬパワーを生きて他の力に変えるのだと。
退院した私は、
学生時代の友達の実家で療養することになった。
彼氏にはとうてい手に負えなかった。
友達の実家で療養を終え、
一度彼氏の家に戻り、
私は家探しをして引越しをし、
また一人暮らしに戻った。
それから私は復職訓練を受けることになった。
この頃からそうだ。
私は1人になると安定を取り戻していた。
元々いた職場、部署に戻った。
慣らしのため、勤務時間は短かかった。
仕事は前のようにはさせてもらえず、
腫れ物を触るような感じだった。
とても辛かった。
それでも私は復職訓練を終え、
正式に復職することになった。
その矢先。
職場で倒れた。
すぐに意識を取り戻し、
自分の足で救急車に乗れたらしいが、
私本人は記憶がなく、
記憶を取り戻したのは病院のベッドだった。
これがきっかけで、
私はまた休むことを強いられた。
休んでしまうとまた引きこもりになり、
お酒に依存し、多量の薬を飲んだ。
20年前、2004年はそんな感じだった。
そんな絶望の中にいた私が、
タイムマシンで今に来たら、
絶句するだろう。
そしてきっとこう言うと思う。
私は20年経ってもまだ生きてるの？
え？
生きるのが楽しい？
ちょっと意味がわからないんだけど。
逆に私が20年後に行ったら
どう声をかけるだろうか。
辛いだろうが、声はかけない方がいい。
過去は変えない方がいい。
こんな過去があったから、今の私がいるんだ。
それにしても、
改めて過去を振り返ったら辛過ぎた
やばい人過ぎる。
それに付き合わされた人、振り回された人には、
ほんと申し訳ないし、感謝したい。
病気になって切れた縁はたくさんあった。
縁が切れたことを恨んだこともあったけど、
切れて当然、必然だったんだと思う。
みんなはどう？
もしも20年前のあなたがタイムマシーンに乗って、
現在のあなたに会いにきたら？
何を感じ、何に驚き、
どんな言葉をかけるでしょうか。
