先週末、『平場の月』の原作を読んだ。

中学校の同級生だった
青砥健将と須藤葉子は50歳になり、
偶然再会を果たす。
2人は『景気づけあいっこ』
と称して逢瀬を重ね、
会う度に、空白の35年間、
お互いどう生きてきたかを知る。
中学生の時には思いもしなかった
相手の姿を知るが、
それでも2人は惹かれ合い、
恋仲になるのだが…。
映画の予告を見て、
原作を読んでみたくなり、
買いに行ったけれど、
1軒目では完売。
2軒目でも残り2冊しかなく、
その人気の高さが庫からも伺えた。
来年私は50歳になる。
青砥と須藤と同じ歳になる。
50歳になって、
もしも中学の同級生の男子と再会したら、
こんなにフランクに話せるだろうか?
そして、恋愛関係になり、
生活を、人生を共にしたいと思えるだろうか。
新しく恋愛を始めるよりは楽だろうが、
どこか気恥しさもありそう。
また、
50歳で人生を共にし始めるということは、
本当に最後の生涯の伴侶となるということで、
その覚悟を持てるかどうかも真剣に考えそうだ。
同級生なのだから、同じように老いていく。
お互いに、
若くキラキラした頃を知っているからこそ、
その老いていく姿を見せたくもないし、
最期の時もすごく辛いんじゃないかと思う。
そんなことを思わず考えて、
今でもぐっときてしまう。
『平場の月』には、
平場の50歳のリアルな人生、
生活、恋愛、病や死との対面が
淡々と書かれていた。
【平場】とは「普通の場所」。
波乱万丈はあれど、
華やかな世界とは異なり、
平々凡々で生きてきた青砥と須藤と同じように、
私の人生も平場で、
これからも平々凡々と過ぎていくのかなと思うと、
何だかとても寂しくもなった。
そうしたテーマ性から、
恐らくこの物語は、
アラフィフ、
または以前はアラフィフだった人たちの
注目を浴びてるのではないかと思う。
アラフォーだと、
「こんなリアルもあるのか」
と思うかもしれないけどまだ遠く、
アラフォー未満だと想像もつかないかもしれない。
50歳からの人生のことを考えると、
私も『景気づけあいっこ』みたいに
フランクに話せる人や、
伴侶とまではいかなくても、
最期まで添い遂げられる相手がいたら
心強いかもしれないな~と思った。
原作のあらすじを検索しても、映画の予告でも、
触れられていない衝撃的な内容があるが、
私もあえてそれに触れない。
この淡々とした
50歳の男女のリアルな人生が気になる人には、
『平場の月』をおすすめ。


