Believe 43/Side-S
⚠️CAUTION⚠️
⚠️まだまだ存在がダメ、名前も見るのもイヤ、という仔羊ちゃんは暫し読むのをお控えください⚠️
「違うんだ!」
言った後で、ハッとする。
驚いて俺を見る雅紀と、彼女。
「あ・・・、いや・・・、ゴメン、」
超高速で言い訳を考える。
焦っているはずなのに、不思議と頭の中はクリアになっていった。
「その・・・、
今回の件のメリットはさ、お互いデカいスクープの隠れ蓑になる事だったじゃん?」
そう。
これは至極、単純なことなんだ。
「そっちはキミの不倫をカモフラージュさせる為、
こっちは事務所の後輩の不祥事の数々を払拭させるためのクリーンなニュースをっていうさ。」
回りくどくするからややこしくなる。
「・・・櫻井さんに・・・、
嵐の皆さんには無関係のことばかりなのにね・・・、」
───ほら、
また、カラマワル。
「まぁ、表向きには、ね。」
「・・・え?」
「えっ?」
彼女の眉がピクリと動いた。
同時に、視界の端で雅紀の双眼がこちらを向いたのを把握した。
「しょぉちゃん?」
雅紀が心許ない声で俺の名を呼んで、
腕にその体温が伝わる。
その不安を包み込むつもりで手に手を重ね、雅紀にも、彼女にも、事実確認をするように言葉を整理(ならべ)た。
「事務所の副社長に言われたんだ。
コトの成り行き次第では、社運を賭けて俺とキミとの入籍も辞さないつもりだって。」
視界の隅で雅紀が俯き、その指にキュッと力が入る。
「キミの方もそれを表向きの形式的なものだって納得してるって。」
「そう・・・、
そうなの・・・。
ごめんなさい。私の勝手で・・・、」
言葉の合間に見せた彼女の視線に、
どこか違和感を感じた。
「本当に・・・、
櫻井さんには申し訳ないって・・・、
嵐の皆さんにも、申し訳なさすぎて・・・、」
・・・俺は、大きな勘違いをしていたのかもしれない。
「いや・・・、
俺も、今の職業を選んだ以上、ある程度プライベートも事務所に預ける覚悟はあったし。」
俺を見るその視線の奥
「それ以上に、事務所には護ってきて貰ったこともあるし・・・、」
今までは気付かなかった彼女の感情に気付いてしまった。
雅紀の前で、
きちんとはっきりさせた方がいい。
ギュ、
雅紀に勇気をもらうようにその手を握り直した。
果たして俺たちの事を伝えるのが正解なのかどうなのか、わからないけれど。
俺は、俺たちを、雅紀を、恥じてなんていないから。
彼女の中にあったであろう淡い自意識に、
俺の気持ちはこの流れにはないのだと、
あくまでも事務所の判断なのだと。
きちんと、伝えなくては。
もう一度雅紀の手を握ると、
まるで全て伝わっているかのように、
俺に舵を任せるというように、
雅紀がコクリと頷いた。
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