最初から→#1S
前回→#119A
Discostar★Love 4
#120/Side-A
マロがもらってきた紙にはクロスワードパズルが書いてあって、
「フーン?何?パズルを解いて正解していたら飲食代金を25%オフ?ヘェ、」
って、翔ちゃんが興味を持った顔をした。
翔ちゃんは代金っていうより、多分パズルを解いて正解したら、ってところに惹かれたんだと思う。
「サクライさんなら楽勝なんじゃない?」
「しょぉちゃんなら、」
言おうとしたことがマロと被って、言葉が止まる。
マロがテーブルに上半身を乗り出して来て
覗き込む翔ちゃんの頭にその頭が今にも触れそうで。
『欲しいものは言わなきゃ分かんないよ?』
翔ちゃんの声がリフレインする。
言わなきゃ分かんない・・・
言いたいよ、そりゃぁさ。
でも、言ったら困るのはおれより翔ちゃんだろ?
・・・でもコイツには言わないと・・・
グイグイ来んな・・・
ちょっとタイミング計って『おれの翔ちゃんだぞっ』、って言わなくちゃダメかな、
って思いながら、
覗き込んだ体勢でテーブルに置いてた左手を翔ちゃんの背に置いて
とりあえず小さなアピールをしてみた。
「ぅわ、サクライさんすげぇ!」
コロコロ笑いながら無邪気に笑ってるマロに小さなモヤモヤを感じてる自分が嫌で、
クロスワードが半分くらい埋まったところでまた席を立った。
トイレに、って思ったけど
飲み会なのか大学生くらいの男子が数人ふざけ合いながら順番を待ってて
仕方ないからちょっと新鮮な空気でも吸おうと思って外に出る。
「はぁ・・・、」
ダメだぁ、おれ・・・
じぃちゃんに『嫉妬からは何も生まれない』って教えられて今まで嫉妬なんて感情は持たないようにして来た。
長いことそう意識して来たおかげで、最近じゃ羨ましいな、って思う程度はあっても
強い嫉妬っていう感情がどんなだったか・・・、忘れてるくらいだったのに。