Reactivated Love 2 #56S | 山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

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最初お話→Reactivated Love1
前回のお話→#55S

Reactivated Love 2

#56S





「じゃあ買ってきますね、一番搾りでいいです?」





いつものようにマネージャーに言われたけれど





「あぁ、うん、今日は俺自分で買って来るわ。ありがとう、」





今夜の酒は自分で買いたくて断った。



キャップを深く被り直して、


なるべく人と目を合わさないようにオーラを消してレジに並ぶ。





「お願いします、」





千円札2枚と一緒に6缶パックを2つカウンターに置く。





「ありがとうございましたー」


「ども。」





最低限の会話でお釣りを受け取り、


また小銭が増えたなって苦笑しながらバンに戻った。




ここから雅紀の家までは車で2分。



心臓が、俄(にわ)かに早まる。


落ち着かない。





「あー、やっぱ俺ここから歩くわ。このまま帰っていいよ、お疲れ様でした。」





バンが走り出す前に声を掛けた。



ビール12本はちょっと重いけど。





・・・空を見上げる。



さっき、店を出た時に気付いたんだ。




今夜は、フルムーンだ。




験(ゲン)を担ぐってわけでもないけど


なんとなく



月の・・・、



満月の光を浴びたら、


物事がうまく行くような気がして。




マネージャーと別れ、懐かしい道を歩く。





・・・この道も、


いつか雅紀と歩いたりしたな・・・



・・・帰って、雅紀に会ったら


最初になんて言おう



雅紀(あいつ)、


どんな顔すんだろう





目的地まではすぐだった。





もうすぐ、雅紀に。





ふと立ち止まり、見上げる。




あの日、雅紀が駆け降りた非常階段。




その横に視線をスライドさせる。





期待していた部屋の灯りは



点(とも)っておらず





寝たか・・・? 



いや、寝るには早いよな、





胸にキュって、


嫌な締め付けが起きた。







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