最初お話→Reactivated Love1
前回のお話→#54A
Reactivated Love 2
#55S
今日はあの家へ・・・、
雅紀の、元へ。
朝からそう気負っていたのに。
・・・ンで今日に限って。
雑誌の取材が押して
当初帰れる予定の時間に
俺はまだグラビア撮影を続けていた。
「オッケーです!櫻井さんお疲れ様でしたー!」
「お疲れです!どうも!お先でーす、」
逸(はや)る心を抑えつつスタジオを後にすると
先回りして横付けされたマネージャーの車(バン)に乗り込む。
外はすっかり夜になり
後部座席に落ち着いた俺は鞄からスマホと腕時計を取り出した。
「もう8時か・・・」
時計を左手首に装(つ)けるとスマホを開き、メールのチェック。
数時間の間に溜まった二桁の数のメールやラインの中から、
プライオリティーの高いものを見つけてタップする。
ラインの中に、松潤を見つけた。
『お疲れ。『M』、無事送り届けてあります』
トクン、と、胸が鳴り
雅紀の顔が浮かんで気が急(せ)いた。
高速のライトアップされた橋に差し掛かり
眼下の夜景を眺める。
そうだ、と思い出してマネージャーに声を掛けた。
「あー、悪ィけど、今日雅紀のトコで降ろしてくれる?」
マネージャーがミラー越しに目を合わせて微笑んだ。
「了解です。
・・・何か買いに寄りますか?」
「あぁ・・・、」
あのグラスでやり直しの乾杯をしたい、
そう思って、
一番搾りを買って帰ろうと思った。
「じゃあ、ビール買って行こうかな、」
「了解です、」
ハンドルを切ったバンが左へレーンを変えて高速を出た。