「しょ・・・、」
「・・・聞いて?」
掴まれた手を解こうとしたのに
翔ちゃんの強い意志を感じさせる瞳(め)が
僕の心ごと捕らえて離してくれない。
「ぁ・・・、」
胸が苦しくて視線をそらす。
「相葉くん、
俺、 さ。
・・・、」
手を掴んだままの翔ちゃんが
何か言おうとしてるけど
なんだろう、怖い・・・
本能が、怯える。
聞いちゃ、いけない予感がする・・・
逃げ出したい・・・
翔ちゃんが触れたところに心臓があるみたいに
熱い・・・
「俺、相葉くんの一番近くにいたいんだ・・・、」
翔ちゃんが、呟くようにそう言った。
「ニノよりも
風間よりも
もっと近くに。」
近く・・・?
翔ちゃんは、
今でもいちばん僕に近いよ・・・?
翔ちゃんの事を見ると、
優しい目をした翔ちゃんが
もう一つの、
掴まれていなかった右手も掴んで言った。
「・・・分かる?
俺、今すっげェ緊張してんの。」
緊張?
翔ちゃんが?
違うよ、緊張してんのは僕の方だって・・・
「指、震えてるし。ハハ、参ったな、」
そう言った翔ちゃんの手は、
さっきは温かかったのに
今はひんやりと冷たくて
翔ちゃんは
その指先の冷たい両手で
僕の両手を引くとギュって包み込んだ。
「俺、一緒にいる時でも
離れてる時でも
相葉くんのことが気になっちゃってさ。」
本当に・・・翔ちゃんはよく気がついて
いつも僕の事を気にかけてくれてる。
今までどれだけ助けられたことか・・・
「メンバーだからかなって思ってた時期もあったけど
・・・違うんだ、」
え・・・
違う・・・、の?
じゃあなんで・・・
本当は、薄っすら気付いてる・・・
たぶん、合ってる・・・
でも。
それは、
嬉しいけど、
赦されない、コト・・・
翔ちゃんの瞳の奥に答えを求めるように見つめる。
「相葉くん、
だけなんだ。
気になって、
気になって、気になって。」
ドクン、
ドクン、
鼓動が早まる。
揺れる。
気持ち、が。
『まさか、』
『でも、』
ありえない状況なのに
期待で胸が高鳴る。
ずっと夢描いていた奇跡が、
起きようとしている・・・?
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