最初から→*1
前回のお話→*26
キミカケ*27
「お二人さんお待たせ!
買ってきましたよー!」
雅紀と振り向くと、
マネージャーがお土産屋さんの袋を胸の高さに上げていて
その表面に『笹蒲鉾』の文字を見た。
「おー!笹カマ!!」
「やった!おれ好き~」
その場で袋を覗いて手を入れるマネージャーを見ながら、
駐車場の奥側にあったピクニックエリアを思い出す。
「さっきあっちにさァ、」
「あったよね?!」
雅紀も同じことを思ったらしく、
俺を指をさしてキラキラの笑顔をこちらに向けてきた。
俺・・・幸せの沸点低すぎだろ・・・
ニヤけるのを誤魔化して大袈裟に身振り手振りをしテーブル席へと向かいながら、
途中、宮城くんにも声をかける。
笹かまを片手に写真を撮ると、みんなでペロリと一箱いってしまった。
そこからほんの数分で次の目的地、円通院に到着。
食べた分の笹カマが消化できるくらい歩いてる・・・
「しょぉちゃん、足痛くない?その靴・・・」
「おぉ、サンキュー。大丈夫だよ。」
・・・本当に、細かいところによく気がつくなってつくづく思う。
雅紀は普段から周りに敏感で、
テレビを通して見る彼とプライベートの彼は似て非なるもので。
ずっと一緒にいたって未だ初めて見る表情や引き出しがあったりと、
自然体に見えて多才で魅力は尽きない。
ちょっとオッチョコチョイなイメージの強い『相葉ちゃん』は、
実は人一倍努力家だったりもする。
ホント色んな顔持ってんだよな・・・
笑顔も超絶だし、目が離せないよ、雅紀・・・
黙々と歩きながら想いを廻らせ、
前を歩く背中に目をやる。
線が細く可愛らしく映る時もあるけれど今、参道を登る後ろ姿は力強くちゃんとオトコだ。
逞しく見える背中を見ながらフッっとまた色香を感じさせられた。
・・・細っこいくせに体力あンだよな・・・。
・・・アノ時の体力なら俺、勝つのになァ・・・
一瞬浮かんだ邪な考えに反応したかのように雅紀が振り返った。
「ホントだいじょうぶ?」
「大丈夫だって、」
「くふふ、そぉ?」
雅紀は背景の緑に吸い込まれそうな透き通った笑顔を見せると、
それでも歩調の遅い俺に合わせるかのように足元を見るフリをしながら
ゆっくりと横について歩き出す。
前を歩くみんなに聞こえないくらいの小さな声で、
「お前さ、マジいい奥さんになれるわ」
って呟いた。
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