最初から→#1A
前回のお話→#24S
〈Side-S〉
「えっと・・・
あのラインは・・・
おれじゃなくてニノが送ったんだけどね・・・」
「あっ、そうなの?」
・・・そうか、それならあの棘のある言い方にも納得がいくと、
少しホッとして
雅紀が話し易いように髪を撫でてやりながら
聞き役に徹する。
「その・・・」
睫毛を伏せて言葉を選ぼうとする雅紀を見守りながら
次の言葉を待つ。
『翔さん、相葉さんの腹筋もちゃんと褒めてあげなくちゃダメですよ?』
ここへ来る途中で
そうラインして来たニノの言葉を思い出す。
その時は何のことか分からなかったけど・・・
雅紀の髪を触りながら
ベッドルームのクローゼット前に
ハンガーで掛けられたサッカー選手のサイン入りTシャツが目に入り
あの収録を思い出す。
・・・あ・・・!
そうか、そういうことだったのか。
・・・どこかで聞いたセリフが頭をよぎって、
すべての点が線でつながった。
「しょぉちゃん・・・
なんか、ごめんね・・・
なんでもないんだ。
ニノも悪気があったわけじゃなくて・・・
おれが勝手に落ちてたのをさ、
しょぉちゃんに知らせてくれるつもりだったんだと思うんだ・・・」
「うん、」
多分おそらくこの読みは外れていない。
全てがクリアになったのはいいんだけど
なんて言うか
俺が気付いてやれなかった雅紀の心情を・・・
ニノは気付いてフォローまで買って出てくれて
それを雅紀も分かってる・・・
その二人の信頼関係に妬けるっつーか
・・・でも雅紀に器の小っちぇー奴って思われたくなくて
「ん。・・・おいで、」
雅紀の上体を起こして、
ベッドの上で抱き締めた。