最初から→#1A
前回のお話→#23A
〈Side-S〉
ラインでは・・・
突き放すような事を言っていたのに
電話の時も・・・
今も・・・
いつもより甘えた感じの雅紀に
擽ったいような
歓びの感情がフツフツと湧き上がる。
と、同時に
ラインのテンションが
小さな棘となって心を騒(ざわ)つかせた。
ベッドの上、
雅紀が俺の手を取って
唇を指に寄せる。
ちゅ・・・
唇が離れて・・・、
上目遣いに見られて・・・
ドクン・・・、
抱き締めたい感情に襲われるのに
小さな棘が
それを行動に移す邪魔をする。
「雅紀・・・、
昼間さ、俺・・・
何かしちゃったかな・・・?」
この甘えの裏にあるであろう
雅紀の感情を知りたくて
静かに声をかけた。
一瞬カラダを強張らせ、
怒られた子犬のように
上目遣いを一層潤ませて
見上げられた。