SASS the movie novelized Ⅶ #7 | 山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

ある時は嵐情報。またある時は櫻葉妄想小説。自由に生きております。
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櫻葉 Short Story the Movie
Episode Seven
Novelized Ver. Edited 2015
 

Ⅶ #1
前回のお話 #6

SASS*Ⅶ ~Side N~ #7




胸がザワつく。


再び自転車に飛び乗ると
少ない心当たりを片端から回るがどこにも見つけられない。



夜の闇に紛れて
二宮の自転車が東京の街を駆け抜ける。
 



・・・っくしょ、なんだよ翔さん・・・何でだよ・・・!


あの人の事は私が一番・・・
ずっとずっと前から見てきたんだ・・・!!

それが・・・いつの間にか、
気付いたらあの人の視線の先にはいつも翔さんがいて・・・


でもあの人が幸せなら、


その笑顔が輝いているなら、




・・・翔さんなら・・・!



身を引いて
見守ろうとこの気持ちに鍵を掛けてきたのに・・・!!



私なら、
あの人を泣かさない・・・!



 
息が上がる。

喉の奥が痛い。


でもそれより早く
相葉を見つけ出したい。

早くその姿を見て
安心したい。
 



「雅紀・・・っ!
あのバカ・・・どこ行ったっ・・・!!」
 



携帯にも
さっきから何度電話をかけただろう。


その度に無機質な自動音声が繰り返される。



 
ふとある考えが浮かび、自転車の向きを変えて自分のマンションへ向かう。


角を曲がり、マンションの入り口が見え始める。
 



「いたっ・・・!!」
 



二宮のマンション前、
エントランス横にあるレンガの花壇に凭れながら相葉が小さく蹲っていた。



#8