P•A•R•A•D•O•X #6 | 山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

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これまでのお話
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Moon#6





・・・取りあえず、呼吸はしてる。

顔色も何とか大丈夫そうだ。

このままあともう少しだけ様子を見て救急車を依頼するかどうか決めよう・・・。



容体が落ち着いた雅紀を抱き上げてベッドへと運ぶ。



ごめんな、雅紀・・・

俺のせいで・・・



もう暫くしても容体が変わらないようだったら119番に電話して・・・、そう思いながらベッド脇に跪き雅紀の手を両手で握りしめて、祈るようにおでこに当てる。



どのくらい時間が経ったのか・・・


たった5分のような気もすれば、

1時間以上経過したような気もしていた。



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「・・・しょぉちゃ・・・」




頭の上から小さな声がして見上げると、枕に埋もれた雅紀がうっすらと目を開く。




「・・・!! ・・・雅紀? 大丈夫かっ?」


「ん・・・」




ゆっくりと、自分で体を起こしながら何度か瞬きをして雅紀が俺を見下ろす。




「も、楽になった!」
 
 
「・・・え?」




拍子抜けするくらいスッキリとした雅紀のその声に、思わず顔を覗き込む。




「マジでっ?」


「ん・・・ ホントにもぉ、だいじょぶだと思う。」



コキコキと首を左右に傾けてから瞳だけクルンと上を向くようにして自分のカラダの様子を感じ取る仕草を見せる。




「・・・んとに大丈夫なのかよ?」



半信半疑でベッドに腰掛けて、雅紀の頬にそっと触れる。


呼吸も落ち着いているし、

つい先ほどまでの苦しげな様子は本当に・・・嘘のようにすっかり消えていた。




「ハァァ~・・・良かったぁ・・・ !俺が悪かったよ、お前にヘンなもん飲ませて。

ンとにバカだったよ。 苦しかったろ? ゴメンな・・・」




どこか変わったところはないかと身体を撫でるようにさすっていた俺の手を、急に雅紀が掴んだ。


 
 
「しょぉちゃん・・・」


「 何?どした?」


「ぅん・・・あのね、・・・なんか・・・くすり・・・きいてきたみたぃ・・・」