P•A•R•A•D•O•X #4 | 山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

ある時は嵐情報。またある時は櫻葉妄想小説。自由に生きております。
腐寄りにつきノーマルアラシックさまは速やかにご退出くださいませ。

これまでのお話
Chained Moons #1 #2 #3


Moon#4





「・・・で?しょぉちゃんはさ、これを飲んで欲しいワケ?」




妙に真剣な顔をしてこちらを覗き込む姿に、言葉を返せなくなる。




「べっ、別に俺は・・・」



「・・・いーよ?飲んだげるっ。」




言うが早いか雅紀は瓶の蓋を開けると

何のためらいもなく一口で中味を飲み干してしまった。




「うわっ、バカっ!お前何して・・・!!」




これだから、天真爛漫は怖い。


中味のわからないモノ、疑いもせず一気飲みって。


しかもこのタイミング?




「んん? ・・・別に味も匂いもなんもないよ?・・・しょぉちゃん、こんなのただのスイだよ、スイ。」



「味の問題じゃないだろ!?お前、成分もよく分かんないのに全部飲んでどーすんだよ!何かあったらどーすんだよっ!!」




今さらながら包装されていた箱の中を慌てて探り始めた俺を、雅紀が制した。




「どぉせ全部英語とかなんでしょ?

んなの読んだって、わっかんないよ?

もぉ~心配性だねぇ、しょぉちゃんは・・・」





「だってもし、お前に何かあったら・・・!!」



「だぁいじょうぶだって! ・・・あるとしたらさ、しょぉちゃんが楽しくなるコトなんでしょ?」




そう言って雅紀はくふふっと笑ってみせる。




「・・・なんか、嬉しかったから。

・・・しょぉちゃんがちゃんと話してくれて。」



「え・・・?」



「だってこんなスイ、味も匂いもないし、

内緒でご飯にかけてもさ、わっかんないじゃん?」



「・・・何でご飯にかけんだよ?

ってか、そもそもスイじゃねーし・・・」



「いぃのっ! ・・・とにかくね、しょぉちゃんが喜んでくれるなら、何でもいぃのっ♪ 」




そこまで言って立ち上がると、雅紀は




「んじゃ、お風呂入れてくるね」




と、浴室の方へ向かった。


・・・と思ったらすぐに小走りに戻って来て、




「ね、ね、今日一緒に入っちゃう?くふふふっ!」




と、飛びつくように後ろから抱きついてきた。







「バ、バーカっ!・・・お前、急に何言い出すんだよっ!」




軽い笑い声を立てつつまた浴室へと戻って行く雅紀を見ながら、


これも媚薬の効果なんだろうかと・・・ふとそんな考えが頭をよぎっていた。




#5へ