「ぅーわ、すげぇ!」
「眩しいな」
「テンション上がるねぇ~!ショウくん!」
露天からは海が見えて、少しずつ傾いてきてる陽がキラキラと銀盤のように波間を光らせている。
「貸切状態だな。」
そう言ったショウくんを振り向くと、少し眩しそうに細めた目がスゴくセクシーで・・・あれ、おれどうしたかな、ショウくんオトコなのになんか すげぇ今きゅんときた。
誤魔化すようにお湯を両手ですくい上げて顔を洗う。
「あー、気持ちイイな。サイコーだな。」
「うん。ショウくん、気持ちいいね。最高だね。」
岩風呂の縁にもたれて目を閉じる。
あー、なんかすっごくシアワセ。
美味しいもの食べて、温泉入って、隣にはショウくんがいて。
「アイバくん、今日・・・付き合ってくれてありがとう。」
「えっ」
目を開けてショウくんを見ると、少し照れたような表情をして、目を反らす・・・。
「いや、なんつーか。今の仕事してるとさ、どうしても『櫻井翔』って看板があるせいでイチ個人、イチ人間として接してもらえることが少ないわけよ。」
ショウくんがパシャン、と両手の掌を頬に当てて、そのままおでこへと滑らせ、前髪を後ろへと撫で流す。
露わになったカタチのいい眉とキリッとした綺麗な二重が目を惹く。
「でもアイバくんはいつも自然体でいてくれるからさ、肩肘張らずに俺も素でいられるっつーか。
貴重だよな、って思ってさ。」
・・・確かに・・・おれもフィズでチヤホヤされるけど、その時は自分でもディスコスターを演じてるからな・・・
リアルのおれは意外と人見知りで・・・カザマくらいにしか気を許してはいなかったかも・・・
ショウくんも同じ・・・いや、きっと関わる人が多い分、もっともっと切実なんだろうな。
「・・・ショウくんがそう思ってくれるの、嬉しいよ。ふふ。おれも、ショウくんといると素で楽しいし。
おれの方こそ、連れて来てくれてありがとう。
・・・でもさ、急に現実的なコトゆっていい?こんないいトコ、おれお金足りるかな、って心配なんだけど!くふふっ」
「ハハハハ!急だな!いいのいいの、今回は侘びの代わりでもあるし、俺持ちだから気にしないで?」
「えぇっ、いいよいいよ、お詫びなんてそんな!お互い様なのにそれじゃ悪いし。自分の分くらい出すって。」
「や、予約の時のカードレコードで精算になるし、マジ気にしないで?」
「えっでも・・・」
ショウくんの、穏やかな顔からキュッと目に力が入って、何かを思いついたような顔つきに変わる。
「・・・じゃあさ、カラダで払うってどう?」
「はっ?!」
えっ、ショウくんいきなり何言い出すの?!
→Step#61