「あぁ~、お腹いっぱい!」
「あー、美味かった!」
「ショウくんめっちゃ食べたね!くふふっ!」
「スゲー幸せ!ちょ、そっちで寝転んでいい?」
ここの特別個室は土間続きのテーブル席の向こう側に客室が広がっていて、休憩できるようになっていた。
・・・言ってみれば、デイユース可能な旅館の部屋に網焼きテーブルがある、という感じだろうか。
窓の外に広がる碧い海と、連日の仕事の疲れと、運転と、満腹と、何より無事アイバくんと仲直りできた心の穏やかさに午後のまどろみをカラダが欲する。
「えぇっ、ショウくん!なになに?!コッチも使っていいの?!ぅーわ、すげぇ!」
アイバくんが素直に喜んでるのを横目に座敷に上がって、座布団を並べた上に寝転ぶ。
「ショウくん、そんなとこに寝ちゃったら風邪ひくよ?」
「失礼します、お食事引き上げに来ました。」
両側からの言葉によいしょと身体を起こす。
「あら、お休みになりますか?」
そう言って、仲居さんが午後の贅沢を満喫してくださいと笑いながら布団を敷いてくれ、食事の後を手早く引き上げると再び扉が閉じられた。
「あの・・・ショウくん、なんだかちょっと落ち着かないんだけど、ここっていつまでいられるの?」
布団の上に寝転んだ俺を覗き込むようにしてアイバくんが側に来た。
「ココ?うーんとね、今回のプランだと確か夜7時までだったかな?」
「えっ!そんなに?!」
「そ!ショートステイなら2時間、ミドルが4時間、ロングが8時間。ロングだとさ・・・」
仰向けに寝てた身体をまた起こして胡座をかく。
俺の次の言葉をワクワクした表情(カオ)で待ってるアイバくんが可愛くてワザと勿体ぶってフフ、と笑うと『ナニ?ナニ?』と子犬のように好奇心いっぱいの瞳をまっすぐに向けてくる。
→Step#58