Discostar★Love 56 | 山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

ある時は嵐情報。またある時は櫻葉妄想小説。自由に生きております。
腐寄りにつきノーマルアラシックさまは速やかにご退出くださいませ。






「腹減ってる?」

「うんっ!ぺこぺこ~!」

「魚介好き?」

「好き好き魚介!」

「フッ、良かった」


ショウくんは店に入ると、受付の人に名前を告げた。


「あぁ!お待ちしてましたよ!」


女将さんはそう言うと、入り口右手の料亭になっている方ではなくて、逆の左手の方へと案内してくれた。

ショウくんが芸能人だからかな、個室でもあるのかな?そう思いながらついて行くと、エレベーターのボタンが押されておれたち2人を乗せ、女将さんが『ごゆっくり』と頭を下げた。


「えっ、どこ行くの?メシじゃなかったの?」


不安になってショウくんの背中を見つめながら聞くと、肩越しにちらりと振り返って微笑んだ。


エレベーターが下に着き、ドアが開く。

目の前の壁に『フロント→』というプレートが掲げられていて、廊下を右へと進むと細かな石畳だった廊下が大きな飛び石をあしらったようなデザインのフロアに変わり、両側に若竹が大胆に生けられている。


「えー、すご。何ココ?何ココ?!」


独り言のように小声で言いながらショウくんの後に続く。

若竹の先に旅館のフロントのような場所があり、ショウくんが歩を進めると『櫻井様、お待ちしておりました』と、仲居さんが一人つく。

『お連れ様もようこそ、』『あっ、どうも、』『どうぞこちらへ』なんて会話をしながら奥へと通される。

右手が大きなガラス張りになった廊下からは海の景色が一望でき、開放感に溢れて気持ちいい。


「ではお支度させていただきますので」


そう言うと仲居さんはまるで旅館の一室のような広い立派な部屋へおれたちを促すと、2重になった引き戸を閉めて出て行った。


「ねっ、ショウくん!何ココ?!凄いね!」

「でしょ?3年くらい前にロケで使わせてもらって気に入ってさ。一度家族を連れてきて、今日が2度目なんだけどね。」


そう言いながらショウくんがおれの後ろに回り、土間続きになっているテーブルへとおれの腰を押す。

向かい合って座った奥側の窓からは海の景色が見えて、テーブルの真ん中に仕切りの線がある。


「何コレ?」


興味津々でフタを開けるようにテーブルの板を持ち上げると、三角に開いた空間の下に炭が見えた。


「失礼します」


ちょうどその時、声が聞こえてさっきの仲居さんがたくさんの貝やイカなどを綺麗に並べた盛り籠を運び入れてきた。


「うわ、すげぇ」

「うほ、美味そう!俺スゲー貝好きなの。」


ショウくんめっちゃ嬉しそう。
ホント好きなのが伝わってくるよ、ふふ。


仲居さんは一枚窓の上側の、横に長い窓を開けるとテーブルの板を外して手際よく次々に魚介を網焼きにしていく。


「貝殻はこちらへお入れください。お食事が済みましたらこちらのボタンを押していただければ引き上げに参ります。何か御用の際も同じボタンでお呼びください、ではごゆっくり。」


ショウくんは飲んでいいよって言ってくれたけど、ドライバーを差し置いて飲むのは気が引けて結局2人でノンアルビールで乾杯。

2人で美味い、ウマイって連呼しながらいっぱい食べた。