Discostar★Love 55 | 山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

ある時は嵐情報。またある時は櫻葉妄想小説。自由に生きております。
腐寄りにつきノーマルアラシックさまは速やかにご退出くださいませ。







「じゃあさ、今日1日、アイバくんの時間俺がもらっちゃっていい?」


そう言って突然目の前に現れたショウくんは今、おれの左側、超ご機嫌な様子でハンドルを握ってる。


「あの・・・どこ行くの・・・?」

「んーとね、まだナイショ。あぁ、後ろにあるボックス、台北のお土産。ちょっと撮影で行ってたんだ。」


バックシートを振り返り、体を捩って置いてある紙袋を手に取る。
思ったより重い。


「おれに?見ていい?」

「もちろん♪」


何だろう、って思って膝の上にそっと置いて、簡易な包装の袋から木箱を取り出す。

フタを開けると、想像していなかった可愛らしい色遣いの茶器が2つ・・・入ってた。

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アレ?ショウくん、間違えてないかな?
おれに・・・コレ?


「あ・・・」


言葉が出てこないおれの代わりにショウくんが喋り出す。


「ちょっと可愛すぎたかな?や、俺も最初どうかなって思ったんだけど工芸品と思ったら見てるうちにいいなって思い始めちゃって、あ、その赤い方は俺のね?」

「え・・・」

「それ、見せといてアレだけどウチに置いとくから。」

「え・・・」


コレは、ショウくんので、コレは、ショウくんちに置いておくの・・・??

手元の茶器から目を離してショウくんを見ると、前を見たままショウくんの頬が急にサッと紅くなった。


「・・・酒じゃなくてもさ!フツーにお茶でも、飲みに・・・、いつでも遊びに来いよってこと!」


ショウくんが紅くなるから・・・なんだよ、なんだかおれも恥ずいじゃん。

まるで告白でもされたみたいに耳が熱くなる。


「あっ、ありがとう!・・・じゃあ、また今度遊びに行かせてもらうよ、お茶飲みに!くふふっ!」

「おっ、おう。」

「ふふっ、でも色違いのお揃いなんてなんだかコイビトみたいだね❤︎」

「ばっ、バァカ!変なこと言うなよ、オトコ同士で!」

「くふふふっ!確かに!だけどさ、やっぱオトコ同士で花柄ってちょっと可愛すぎるねぇ?くふふっ!すげーキレイだけど!」

「迷ったんだよなぁー!無地のと!いやでもソレ土産屋のオバちゃん一押しでさ!スッゲェ勧めてくんの!あっちの人、知ってる日本語、全っ部使ってスゲぇ勢いで来るからさ!」

「くふふふっ!」


元気のいいオバちゃんにまくし立てられてソノ気になっていくショウくんを想像したらおかしくて、胸の内側がフワッと暖かくなって、笑顔が止まらない。




おれたちは、色んな話を途切れることなく話しては笑って・・・

そうするうちに高速を降りて、ショウくんが房総の、海の見える料亭に車を乗り入れた。


Step#56