White Valentine Side.S *5 | 山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

ある時は嵐情報。またある時は櫻葉妄想小説。自由に生きております。
腐寄りにつきノーマルアラシックさまは速やかにご退出くださいませ。

Side-S *1 *2 *3 *4

Side-A *5






何だ?まさか、トランク開けたら雅紀からもバラの花束とか?


いやまさかだよな、仕込めるはずねぇよ。

乗る時雅紀、何か持ってたっけな・・・?



何だろうと期待に胸を踊らせながらトランクを開くと、そこには見慣れた雅紀のバッグと共に手の平サイズより少し大きいくらいの、背の低い赤い円筒形の箱が置いてあった。



To Sho



そう書いてある小さなカードを見つけて開く。



『ハッピー バレンタイン❤ 翔ちゃんへ 雅紀』



「ベタかよ!」



そうツッコミを入れながら、嬉しさに顔がほころぶ。


見る限り、中身はおそらくチョコだろうと予想が付いたが、雅紀と一緒に見たくて そのまま開けずにバッグと共に部屋へ戻る。



「見た?分かった?!」



玄関を開けると雅紀がワクワクした様子で待ち構えていた。



「なんだよ、サプライズじゃんかよ!」



少し大袈裟に喜んで見せると独特の声を上げて嬉しそうに雅紀が笑うから、幸せな気持ちになる。



「ね、ね?中身は?見た?!」


「ん、まだ。雅紀と一緒に見ようと思って。」



そう答える俺の手を取って、雅紀は待ちきれないと言った様子でリビングの横のカウンターへとグイグイ引っ張る。


ワクワクしたその様子が受け取った俺よりも嬉しそうに見えて、なんだか、より一層嬉しさが増してくる。



「じゃじゃぁ~んっ!」



二人並んでカウンターに座り、早く、早くと急かされながらそっと蓋を開けるとそこには小さなチョコが5つ、行儀良く収まっていた。



{CA01646C-312C-403E-B388-720AFED9C2C4:01}


「コレね、実はなんとっ!雅紀くんの手作りでぇす!ね、ね?すごくない?」


「マジか!いや、スゲェよ!ってか良くそんな時間あったな!」


「うん、実はさ、マツジュンがドラマの練習で家でもチョコレート・・・バッティング?してるってゆうからさ、教えてもらいに行ってきたの!」


「テンパリングな?」


「そう!そのテンパをね。教えてもらったわけですよ!今マツジュンちの冷蔵庫、すごいよ、ショコラティエだよ?」


「スゲェな、ショコラティエなんだ?」



軽くツッコミを入れながら、松潤の家に行ったんだ、っていうくだらない嫉妬心が胸に小さく渦を巻くように宿る。



「それでね、コレ!じゃぁ~んっ!コレね、おれがしょぉちゃんのイメージで作ったの!ね、ね、食べて食べて!コレさいしょに食べて!」


「えっ!マジで?いや、嬉しいわ!」



キラキラした期待に溢れた雅紀の瞳に あっと言う間に渦巻いていたモヤモヤが吹き飛び、(我ながらゲンキンだな)、なんて苦笑しながら小さなチョコをつまみ上げる。


まぁるい球形のフォルムをしたソレは、ココアパウダーでコーティングされていて、口に入れると上品なラムの香りが広がった。


Side-S*6