・・・っておれ何でこんなコト考えてんだろ。サクライさんにカノジョがいたってそんなのちっともおかしくない。
・・・げーのー界にいるから内緒なんだろうけど・・・きっとサクライさんのカノジョになるくらいなんだからキレイでかわいいヒトなんだろう・・・
「熱っっ!」
やべ、つい考え事しちゃって唐揚げの油の深鍋に右手が触っちゃった!
「大丈夫?!ちょ、冷やさないと!」
慌ててこっちに来たサクライさんに後ろから手首を掴まれた。
「ドコ?!ココ?!」
勢いよく流れる水に、サクライさんの手ごと冷やされるおれの右手・・・
「だっ、だいじょーぶ、だいじょーぶ!たいしたことないから!」
って、手を引こうとしたのにサクライさんの手に力強く引っ張られて動かない。
「ダメだよちゃんと冷やさないと!」
あんまりサクライさんが真剣に、大きな声で言うから・・・
「・・・はい・・・」
おとなしく手首を預ける。
右手が冷やされて痛いくらいになってきてるのに、おれは・・・左肩に充てられたサクライさんの左手とか・・・、すぐ右側にあるサクライさんの横顔とか・・・、背中の右側に触れているサクライさんの左半身とかが・・・気になっちゃって・・・
「も・・・だいじょぉぶっ!ありがとっ!」
もう一度手を引くと、向かい合わせになったサクライさんが両手でおれの右手を取って手の甲に顔を近付ける。
「良かった、このくらいなら大丈夫そうだね。オイ、あんまビビらせんなよ?」
「あっ・・・、うん・・・、ゴメン・・・」
炊飯器がピピッと鳴って、唐揚げも最後のグループが油の中で踊ってる。
「あ、炊けた!用意するね!」
「気を付けろよ?」
「あっ、うん、もう大丈夫。ゴメンね?」
・・・び・・・っくりしたぁ。
手に、キス・・・されんのかと思った・・・
そんな訳ないか。
そんな訳ないよ。
まさか・・・だよ・・・フゥ。
なんか疲れた・・・