「・・・俺、こんなだよ。雅紀のことになるとさ。
ウジウジ悩むし、すげェヤキモチも焼くし・・・女々しいだろ?」
「そんなこと・・・」
「こないだの夜会もさ・・・」
雅紀のカラダにピクンと力が入ったのを感じる。
「確かにヘンな緊張はあったけどそれは甘い想いとかくすぐったい感情とかじゃなくてさ、全然。
・・・例えて言うならそうだな、・・・ホラ、昔の写真を『こんな子供でした』って放送される感じっつーの?
・・・楽屋に挨拶に来た時だってフツーだったし、・・・なんか今いい人いるらしいし?」
「そう・・・なの・・・?」
「うん、オフレコだけど。それに・・・」
抱いていた肩をクィと遠ざけて顔を覗き込む。
「俺が選んだ最初の文字、憶えてる?」
「・・・元、気・・・?」
「そう、元気。」
「・・・?」
「アレ選ぶ時、雅紀の事が浮かんでたの!」
「えっ・・・」
「俺の中で元気つったら、雅紀の事しかねェもん。」
俺の手の爪を親指でなぞりながら、俯いたまま雅紀が口を開く。
「・・・でも恥ずかしいって言ってた」
「そりゃそうだよ!人生に大事だと思ってるもの、何より先に雅紀だよ?照れるわ!」
「・・・ぷ。くふふっ」
「フッ、良かった。やっと笑った。」
「しょぉちゃ・・・」
「分かった?俺の心ン中、いつだって雅紀でいっぱいなの!他のヤツが入り込む隙なんてコレっぽっちもないの!
・・・ヤキモチ焼いてゴメン。不安にさせてゴメン。なぁ、こんな俺だけどさ、許してくれる?」
「・・・ぅん・・・」
「これからはちゃんと俺も言うから、雅紀も我慢しないで思ったこと伝えてくれる?」
「・・・うん・・・」
ちょっと恥ずかしそうにしたまま目を合わせた雅紀が本当に愛おしくて、ずっと感じていたシコリが溶けたことに心から幸せと感じる。
「・・・キスしたい。・・・させて?」
「・・・んっ・・・」
返事を待たずに唇を塞ぐ。
最初は浅く・・・雅紀を傷つけていたことを懺悔するように・・・
俺の懺悔を受け止め 許すように雅紀の唇が薄く開かれると、愛しさが溢れて愛しているという気持ちを注ぎ込むように、
・・・その奥にある潤いを求めて、左手で雅紀の後頭部を支えて・・・角度をつけて、深く。
・・・チュ・・・
唇を離れ、見つめ合う。
「心配させてゴメンな。雅紀、愛してるよ。」
「心配かけてごめんね。しょぉちゃん、大好き。」
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