これまでのお話
雅紀の手を引き駐車場に停まる赤い車の先、見覚えのある白い車を確認すると運転席側へ回り込んで足を止める。
「じゃ、雅紀、気を付けて。」
パッ、と繋いでいた手を放して身体を向けると雅紀の瞳が不安げに揺れる。
「あ・・・、しょぉちゃんは?まだ、帰らないの・・・?」
「あー、うん、帰るけど、俺、今日自分の車じゃないんだわ。来る時マネージャーに送ってもらったからさ。」
「えっ・・・と・・・もし、良かったらさ・・・送ろうか・・・?」
俺より高身長のはずなのに上目遣いで聞いてくるコイツがなんだか小動物を思わせて、つい意地悪く構いたい衝動に駆られる。
「・・・いいの? そんなこと言って・・・?」
低い声で誘うように囁きながら、雅紀を囲うように左手を車のルーフについて寄りかかり、右手の人差し指で雅紀の右肘から肩へと辿る。
雅紀が怯えたように身を縮めたのを見て、その頭をワシャワシャと撫で回す。
「はははは!うっそ!冗談だよ。ゴメンな。いい?乗せてもらって?実はマネージャーの車断っちゃってさ、送ってもらえると助かる。」
「もっ・・・! もぉっ!しょぉちゃん、あんまビックリさせないでよ?!」
耳まで赤くなってるのが薄暗い駐車場でも分かって、やっぱりその白いうなじにこの舌を這わせてやりたいと下腹に欲が疼く。
助手席側に回り車に乗り込むと、センターのドリンクホルダーに俺があげたタンブラー。
「あ・・・」
「あぁっ!それっ!今年も使わせてもらってるよ! ホラ、ここんとこ朝、冷える日もあるし、コーヒー飲みながら来たいからさっ!」
「クス・・・うん、使ってくれてありがとう。嬉しいよ。」
そう言って、雅紀がテンパってよく喋ってるのを分かってて、ワザとその瞳を覗き込んだ。
→【4】