Lurked Gloom 8 | 山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

ある時は嵐情報。またある時は櫻葉妄想小説。自由に生きております。
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これまでのお話

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「たっだいまぁ~。フゥ、あちぃ~!アレッ?!ゴメンゴメン、運んでくれたの?ありがと、しょぉちゃんっ!」



雅紀は手際よく残りの惣菜をレンジで温めるとテーブルに運び、冷蔵庫から自分の分のグラスと缶ビールを2本持って当たり前のように俺の横に座り込んだ。

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「ハイっ、しょぉちゃんっ!セルフでおねがいしまぁす!」



二つのグラスに新しくビールがとくとくと注がれ、旨そうな泡を立てる。



「今日も一日お疲れっ!かんぱぁい!」


「ん、お疲れ~」



軽くグラスを合わせると二人ともグイグイ飲む。



俺は・・・

いつものようにテレビに突っ込みを入れながら楽しそうに飲んでは食べる雅紀を横目で見ながら・・・


心の中で、聞きたいけど聞けないモヤモヤした想いをこれ以上増幅させないように、喉の奥へ流し込み、流し込み・・・気付いたら結構な量、飲んでいた。



「雅紀・・・」

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見ていた番組が終わったタイミングで雅紀の肩を引き寄せ右頬にキスを落とす。

すると雅紀が胸を合わせるように向き直し、その長い腕が俺の首に浅く回され、柔らかな唇へ触れることを許される。


浅く触れ合う唇は少しずつ密度を増し、互いに熱を分け合いながらだんだん深く舌を絡ませていく・・・




「・・・んっ、・・・ハァッ、・・・んっ・・・」




雅紀の吐息と 殺したような可愛い声に、キスを唇から首筋に移して、胸の燻(くすぶ)りを掻き消すように強く吸い付く。

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その先へと進もうとしたその時、思いがけずグイッと両肩を押し戻された。



「・・・?ナニ?どした?」


「・・・ん、明日しょぉちゃん早いしさ・・・結構飲んでるから今夜はやめとこ?」


「・・・え。ダメ?」



「うん、ダメ。前もこのくらい飲んだ時さ、朝起きてくれなくてホント焦ったんだもん。」



まぁ・・・雅紀の言わんとすることには正直心当たりもあり、それはすこぶる正しい事なんだけども。


てかあン時は飲んだのも確かにあるけどそのあと雅紀の方がもっと、もっと、ってせがんだから・・・


って、違う、今考えるのはソコじゃねぇだろ。

なんだよ、久々に逢ったのに雅紀は俺を欲しくねぇのかよ・・・





考えたくねェけど・・・


やっぱ気持ちが離れちまったかな・・・


構ってやれてなかった俺が悪い・・・か・・・






[同日金曜日 22:50 Side.A]



「雅紀・・・」



見ていた番組が終わった時、翔ちゃんがキスをしてきた。

や、そんな期待もちょっとはあったんだけどさ。



翔ちゃんに内緒で腹筋を始めて4日目。

自分で言うのもなんだけどおれってすぐ効果出始めるから触られたら気付くかな程度には締まって来てる。


でもせっかくだからもうちょっとだけ、せめてパッと見てアレ?って分かるくらいにまで結果出してから披露したいじゃん。

だから、わざと風呂もずらして・・・っていう、おれのせい、なのかもしれないけどさ。
何となく、隠し事?って初めてだったしやっぱなんだか後ろめたくてキモチ的にずっと、翔ちゃんとの間に見えない薄い壁を感じていたから・・・


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いつもと変わらず翔ちゃんがキスしてきてくれて素直に嬉しかったんだ。



腕を翔ちゃんの首に回して厚みのある唇を味わう。

その熱と、舌の感触に脳の芯が刺激されてだんだん夢中になって意識しないのに小さく声が漏れる・・・


「・・・んっ、・・・ハァッ、・・・んっ・・・」


だけど翔ちゃんの強いキスが首筋におりて来てキモチを持って行かれそうになった時、一瞬正気が戻って腹筋のコトが頭をよぎった。


〈あ・・・違う違う、アブね!流されそうだった!もうちょっとだけ締まってからって決めてたじゃん、おれっ・・・〉


それに、今夜の翔ちゃんはちょっとペースが早くて飲み過ぎじゃない?


両腕に力を入れて、翔ちゃんの肩を押し戻す。


「しょぉちゃん、今夜はやめとこ?」

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「・・・え。ダメ?」


明らかに不服そうな翔ちゃんの声を聞きながら、以前の飲み過ぎて起きてくれなかった朝を思い出しつつ、強めの口調で説き伏せる。


だってあの朝は本当に起きてくれなくて、危うく翔ちゃんを迎えにマネージャーが部屋に入ってくるとこだったんだから。

あんなスリリングな朝はもう迎えたくないじゃん。



「その代わりさ、朝までギュってしててあげるから!ね?」


二人仲良く並んで歯を磨き、一つのベッドに入ると翔ちゃんの頭をそっと胸に抱え込むように抱きしめる態勢になる。

おとなしく腕の中に納まった翔ちゃんを見て大きな獣を飼い馴らせたような気分で、なんだかちょっと得意な気持ちになって口角がクイと上がっちゃう。


上側になった左手で翔ちゃんの髪を梳きながら目を閉じると翔ちゃんのいい匂いと温もりがおれを一気に眠りの渦へと引き込んで行って、いつの間にか深い眠りについてしまっていた。




... to be continued
LurkedGloom9