1ドル153円を超えて日本経済の停滞を問題視する声が出ています。

 

 
黒田日銀総裁の時は、為替は115円前後で推移していました。
 
この時は米国も金融緩和をしていた時期なので、
ドルと円はほとんど金利差がなく、若干の円高水準で動いていたのは、
米国は若干のインフレ、日本は若干のデフレなので実質金利が
日本の方が高かったので、このレートで収まっていました。
 
日銀は実際には、伝統的な金融政策を採っていましたが、
米国は、インフレによって実収入が減少する場合に、
金利を上げて景気を減退させて物価上昇を防ぐのが
セオリーなんですが、通貨供給量を増やして
名目収入を増加させるというアベノミクスと同じ
新自由経済を行いました。
 
いわゆるハイパワードマネーの創造です。
 

 

FRBと米国政府は、完全にマネーをコントロールできるという過信が

あったのだと思います。

 

日銀は、ハイパワードマネーという言葉は嫌い、あくまでも

準備預金率による金融政策は、ベースマネーととらえ

コントロールできないと考えています。

 

では、どうして米ドル高の状態が起きているのでしょうか?

 

通常インフレのある国の紙幣は下落していきます。

 

そのために金利を引き上げて通過を安定させる政策をとります。

 

ただ、輸出品が多い国際競争力のある国は、出来る限り円安に持ち込んで、

安い商品を世界中に販売することができます。

 

このような政策は近隣窮乏化政策っといって国際金融政策としては禁手なんです。

 

なので、財務大臣が怒っているなんて言うことは全くないはずです。

 

今回の韓国の国会議員選挙の結果、親日の政党がぼろ負けしたのも

そのためなんです。

 

中国経済の大減速も日本の円安が原因です。

 

日本は米国債を200兆円くらい持っています。

毎年5%の金利をいただいています。

 

その額10兆円くらいでしょうか?

 

1990年代の日銀は、米国の金利上昇による円安を怖れて、

三重野日銀総裁は高金利政策に転換しました。

 

その失敗を2度としてはいけないのです。

 

日本は現在、円安による物価高と言われていますが、

いままで外国から安く仕入れられていたので、国内での生産が

減少していました。

輸出向けの自動車でさえ、中国などに生産拠点を移していきました。

 

しかし、この円安で国内生産に切り替える企業も増えました。

国内生産・・・・そうGDPの増加です。

 

ただ、生産設備が日本にできるまで2~3年は輸入超過による

貿易赤字は膨らみます。

 

よって日本経済が好調になればなるほど、輸入が増えて赤字が増えてしまうのです。

 

しかし、日本で供給が出来るようになれば、貿易黒字に転換し

円高に向かいます。

 

このような流れをJカーブ現象と言い、米国が1990年代に経験したことです。

(日本は真逆で逆Jカーブ現象と言われました。)

 

そして、投資の原点としてはクーポンの高い国の債権を買うということです。

 

金利が高いということはその国に信用がなく、国債が暴落している現状なんです。

 

しかし、その価格は現実の価格よりも確実に上回っているフォーワードディスカウントバイアス

という現象が起きます。

 

計算上の債券価格は90円のはずなのに先物価格は92円くらいまでしか下がらない。

そこで、現物を買って先物を売る裁定取引によりノーリスクで儲けることができるからです。

 

黒田日銀総裁のときの為替政策が115円としたら、日米の金利差が5%あるとすると、

 

日本国債100円に対して米国債は99.5円で均衡します。

 

ドルを一定とした場合に

 

1ドル=115円 1年後 115円×1.05=120円となります。

 

5年間日米金利差が変わらないとみて、 115円×1.05の5乗で147円

なので、145円から150円で推移していたのだと思います。

 

アメリカのインフレが長引きそうなので、6年続くと考えると154円程度となります。

7年だと162円 8年だと170円 9年だと178円 10年だと187円に

先物ベースではそうなってしまいます。

 

これは、市場が完全に効率的ならばという仮説に過ぎませんが、

いまの円安は米国の問題で、日本には良いことしかないのです。