東京五輪をみていて、バルセロナ五輪でマラソンの優勝候補だった谷口浩美さんの名言「こけちゃいました」を思い出した。金メダル候補と聞いていたので、転倒した時は子供ながら「何やってんだ」と思ったものだ。

それがレース後のインタビューで、はにかみながらひとこと「こけちゃいました」と言った時、その潔さに子供ながらこの人はすごいなと尊敬したのを覚えている。

そこから谷口さんはすごい人気になった。新聞記事で読んだが、今、谷口さんは大学教授で「あれがあったから今がある」と答えていた。

今回の五輪でも負けた後の選手が十人十色の表情を見せるが、人間、負けた時、苦しい時、思い通りにならない時にどんな態度を見せるかで、その後が決まるかもしれないと思う。

もし、あの時、谷口さんがかかとを踏みつけた選手をなじるようなコメントをしていたら、普通の悔しがり方をしていたら、ここまで名選手として語り継がれできたとは思えない。

自分も苦しい時こそ、それを表に出さない人間でありたい。

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