前回に続き、出口治明著「働き方の教科書」より、「人生における仕事の時間は3割」という考え方を紹介します。

私は左遷された際にこの考え方に救われました。計算すると、 1年の8760時間のうち仕事に費やしている時間は3割の2500時間程度で、残り7割は睡眠、食事、趣味、家族や友人との時間です。

会社で左遷や挫折、大きなミスなどをしても、人生における仕事の比率はたったの3割なんだから、たいしたことはないと思えるようになりました。

これが100%に近づくにつれて、会社でつまづくと立ち直れないほどショックを受ける。左遷で寝込むほど傷ついたかつて私は、会社が人生の全てと思っていたのかもしれない。人生の全てであれば、失敗したら絶望してしまうのは当然です。

だが、会社は100%じゃなければ50%でもない。3割なんだから、その3割の世界で失敗しても、あくまでも3割の世界でのしくじりであって、残り7割の人生を全否定されたわけじゃない。そう考えると、左遷なんてそこまで深刻なことではないと思えるようになりました。

この考え方を持っていれば、上司から法に触れることをせよと命令されても、キッパリと断れるようになるでしょう。たかだか3割の世界で認められるために不正に手を染めるのはバカバカしいですから。

本日発覚したトヨタの不正もそうだが、企業不祥事が起こる根本も、会社が人生の全てとの思想がある。人生の全てだから、不正に手を染めてしまうのでしよう。人生の3割程度なら、不正なんてしないはず。

人生の3割だからいい加減でいいということではなく、上司からの命令であっても自分の信念に反するなら、やらなくてもいい。失敗も恐れず、チャレンジできる。そういう考え方に繋げていけます。

そもそも〇〇が人生の全てなんてありえない。そういう思想が女性に騙されたり、宗教にのめり込んだりする方向に行ってしまうのだと思います。